薬指の標本

劇場公開日:

解説

「博士の愛した数式」などの作品で知られる芥川賞作家・小川洋子による同名小説を、フランスの女流監督ディアーヌ・ベルトランが映画化。勤め先の工場で、作業中に薬指の先を切断してしまった21歳のイリス。事故をきっかけに仕事を辞めて港町へ引っ越した彼女は、森の中に佇む不思議な雰囲気の建物で標本技術士の助手として働くことになるが……。ヒロインを演じるのは、ウクライナ出身のトップモデル、オルガ・キュリレンコ。

2005年製作/100分/フランス
原題または英題:L'annulaire
配給:エレファント・ピクチャー
劇場公開日:2006年9月23日

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映画レビュー

5.0見方による

2024年11月15日
PCから投稿

謎だらけの作品
この作品が日本人作家の同名小説をフランス人が映画化したというのを見て驚愕した。
理解できない部分があまりにも多く、個人的にはこれがフランス人のものの考え方というのかセンス何だと思ってしまっていたからだ。
これは日本人の小説だった。
改めて驚きを禁じ得ない。だから再考察した。
小説は読んでいないので何とも言えないが、伏線のようなものが数々あるにもかかわらず、何一つ回収されないことが不思議過ぎる。
回収などしないことに意味があるのかもしれない。
しかし、
そもそもこの作品はリアルな描写にもかかわらず、ほぼほぼそれは幻想または幻覚を表現していると考えざるを得ない。
タイトルから想像するのは概ね1本の薬指だが、主人公イリスの指のほとんどは再生されているように見える。
飲料水工場での事故は、割と軽いものだったと思われるが、うら若きイリスにとっては重大な事故、心が傷つくような事故だったのだろう。
仕事を辞めて新天地に出向き、そこでようやく仕事を見つけた。
標本作り
中々仕事など見つからないご時世だったようで、選択などできなかったのだろう。
面白いのは、彼女に対し何人かの人が妙な話をする点だ。
それは表面上、映画を見ている我々にとって代わる質問のようでもあるが、物語を進行させるためのご都合主義的なものだとも受け取れる。
彼女は「自由になりたくないの」という。
それは、このご時世自由などないし、多少縛られていた方が生きているのを感じるからだろうか?
彼女の気持ちが読み取れない。
そもそも標本という概念からしてそうだ。
意味が解らない。
それに意味を持たせたのはわかるが、エスカレートして楽譜や火傷やマージャン牌など、おおよそ標本になどできない、または少なくともホルマリン漬けにはならないものばかりだ。
標本
作品の中のそれは、持ち主と品物との関係 遠ざけたい思い出 封じ込めるためのもの そして想い出からの解放を願ってやってくる。
あるはずのない仕事
幻想
主人公の幻想
その標本を作る仕事を選んだ彼女は、自分自身が標本となることを願っていたのだろうか?
特に最後のシーンは読みとくのが難しい。
火傷を標本にしてほしと依頼した少女
彼女はどこへ行ったのか?
自分の薬指も標本にしてほしいとイリスは頼んだが、拒否された。
薬指の先端はすでにないし、再生もしている。
でも彼女はラボの標本カードに「薬指」と記載した。
26 F 300g
サイズが26 女性 300gは片方のパンプスの重さだろうか。
そして地下室へ。
奥の扉からあふれる光。
その前で両方の靴を置いたまま彼女は中へと消えた。
それは、この建物に未だ住んでいる女性の話した「前の人」が消えた話と呼応する。
この物語は、
世相への当てつけ表現なのかもしれない。
世の中も人間も変わってゆくが、想い出は変わることがない。
その思い出が良いものであれば問題ないが、悪い思いでしかない。
その思い出すべてを私から遠ざけてしまいたい。
作家のそんな思いがこの小説を書かせたのかもしれない。
そしてそんな思い出しかない私そのものを、遠ざけてしまいたい。
火事で何もかもをなくした少女は、イリスの群像だろう。
前に勤めていた娘も群像に違いない。
一つや二つの辛い思い出なら標本化できるが、何もかもが辛い場合、自分自身が標本化された方が早い。
ただし、
少女のように悩み悩んだ末の決断であれば、それを認めるが、イリスのようにまだ十分に悩んでない場合はそれが認められないのだろう。
この作品のテーマは自殺への過程かもしれない。
高野悦子さんの日記「二十歳の原点」を思い出してしまう。
自殺の前に考えてしまうこと。
それがこの作品そのものだったのだろうか?
そう考えるとかなり重々しい。
そしてこの考えは、フランス人の考える人生観とも深く呼応しているのだろう。

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R41

1.0うーん

2024年9月11日
スマートフォンから投稿

難しい

寝られる

原作が好きなので視聴。意味合いがかなり違う感じがしました。

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yuu000

3.0偏愛の末路を描く?

2024年8月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

〈映画のことば〉
忠告しておこう。
履き心地が良くても、履き過ぎはいダメだ。
さもないと、足を失うことになる。
足と靴との間に、ほとんど、ゆとりがない。
その靴が足を侵し始めている証拠だ。

いきなり唐突な話題になりますけれども。
イリスの前任の事務員は、どうして急に、このラボを「辞めた」のでしょうか。
イリスと同じ条件を提示されていたとすれば、彼女も、その前職の25%アップの報酬という好条件を提示されていたはずですけれども。

彼女の「辞職」…否、失踪に、ラボの所長が無関係ではないことは明らかだと思いました。評論は。
(最後に彼女を目撃したという223号室の女性は、彼女がハイヒールを履いていたと言っていました。やはり、ラボの所長から贈られたものなのでしょうか。)

そもそも、標本の素材になるのは、依頼主が身の回りから離して、忘れてしまいたいもの。
そして、それ故に、依頼主が標本を見学に訪れることは、ほとんど皆無とのこと。

職探しに疲れてか、当て所なく歩き回るうちに偶然に見つけたようなラボでしたけれども。
そのラボに就職してから、紐とじの踵の低いパンプスに代えて、ラボの所長から贈られた濃紅色の(官能的な?)ハイヒールを履いていたイリス。

靴磨きには「自由になりたくない」といっていた、その言葉の通りに、いわば吸い込まれるように、ラボの所長がふだん起居している地下室へと入っていったイリスの後ろ姿には、思わず身震いすらするような感慨もあります。
脱ぎ捨ててしまったということは、たぶん、くだんのハイヒールも、もう彼女には拘束具としての必要性(役割?)が、なくなったことを意味するものだと、理解しました。

おそらく、最後にはイリスも、このラボで事務員として働いていた多くの女性がそうなったように、ラボの所長の標本にされて、永遠に、このラボで「保存」される末路を辿(たど)ることになるのでしょうか。

いわゆる「のめり込み」が危ないというのは、何も競馬やパチンコなどのギャンブルの世界に限ったことではなくて。
愛欲の世界への「のめり込み」も危ないよという教示的な一本でもしあったとすれば、どこかのサイトの解説にあった「静謐な愛の寓話」というフレーズそのものとして、佳作であったと思います。

(追記)
ちなみに、ラボの所長がイリスとの密会に使ったのは、ラボの建物が女子寮として使われていた頃は、お風呂場だった場所。

もちろん、本作でも、このラボ自体の見取図(平面図)のようなものは出てこないので、あくまでも評論子の推測なのではありますけれども。

お風呂場だったのであれば、湿気を考慮して、建物全体では、他へは音も聞こえないような端の方に位置していたはず。

仮に、男女が争うような物音…もっと言えば、男が無理矢理に女の首を絞めたりしたときのような物音や(例えば、イリスの前の事務員の)叫び声がが立つようなことがあったと仮にしても、きっと、女子寮時代からの住人の223号室にも309号室にも、何も聞こえなかったのだろうと思います。

21歳の若いイリスと、そろそろ中年の域に達しようかという年代のラボの所長―。

評論子の想像力(妄想力?)は、逞(たくま)しすぎるでしょうか。

(追記)
ラボのたてもは、もとは女子寮だったとのこと。
ラボの所長の標本にされるためとはいえ、「多くの女性が集まる」という意味では、ある意味では、やはり、このラボの建物は今でも「女子寮」なのかとも思いました。

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talkie

2.0キュリレンコンさんの裸

2023年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

を、観せたかった?魅せたかった?だけかな。
原作は知らないけど、たぶん全然違うんだろうな。
誘って、やって、次の人…って事?
ミステリー?変態?純愛?
オチも私には理解不能?
やっぱり女優さんは経験重ねて円熟してきた方が
全然イイですね

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けはえ