硫黄島からの手紙のレビュー・感想・評価
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両方見なきゃダメ
父親と手紙、両方でワンセットですから両方観ましょう。
一旦戦場に出てしまえば、大義名分や建前は消滅して、ひたすら目の前の敵を倒す、仲間がやられたら悲しい、自分は死にたくない、の一心に集中され、弾に当たったら誰でも死ぬ、という意味では「米兵も日本兵も同じ」と言ったイースト君はその確信通り、どちらにも肩入れせず、善いも悪いも語らず、反戦も声高に叫ばず淡々と凄惨な戦闘風景の描写に努めたんでしょう。
その意味で、二作は表裏ではなく、同じ方向を向いた並列作品です。
敢えて比較すれば、父親は戦闘以降の話、手紙は戦闘以前の話に焦点をあてています。物語としては、父親が旗を掲げた六人は誰だ問題に終始しているのに対して、手紙は様々な階級の軍人の硫黄島に至るまでの人生が丁寧に描かれていてドラマチックです。手紙の方がオスカー候補になったのはよくわかります。
私も手紙は五点、父親は四点です。父親だけなら五点だったかも。
ただ、手紙の方はさすがのイースト君も日本語のニュアンスは演出できなかったと思うので、セリフのトーンがバラバラのきらいがありました。まあ、それは小さいことです。
戦争映画といえば…
やっぱり戦争なんてするべきじゃない
クリント・イーストウッドが、ほぼ全編日本語で映画を一本撮ったことは、素直にすごいと思う。
ただ、その日本語が聞き取りづらい…。
私の耳が悪いのかもしれないけど、1割くらい何言ってるかわからないところがあった。
二宮くん演じる西郷が、ほぼ現代日本語でしゃべってるのは正解だった気がする。
彼の、反抗的で正直なキャラクターが際立ってた。
日本軍が米軍に投降した時に、一瞬米軍を天使のように描くのかと思ってがっかりしたら、そうではなかった。
父親たちの星条旗と同様、戦争は一方が善で一方が悪なわけではないこと、現場の兵士たちは、心身ともに極限状態まで疲弊しながら、自分の信じるもののために、大切な人のために、ただ必死だったのだと伝えたかったのだろう。
日本人が見ても違和感が少ない、日本が舞台の映画。
でも、日本人には作れないだろう感覚が混ざってる。
2つはあまりつながらない
賛美せず、いたずらに英雄を作らないという点では、そうあるべきだと思います。映画として2部作とするのであれば、あえての仕掛けがあってもよかったのではとも思ってしまいますが、それは素人考えなんでしょうね。きっとそういう声がありながらも抑制をきかせたことに価値があるのかもしれません。
硫黄島の激闘(日本目線)
演技が軽くリアリティに欠ける
アメリカ人が撮った純ジャパンな映画
戦争の真実に誠実なイーストウッド監督
日本の敗戦が濃厚だった頃の、南洋の最前線で最後まで諦めず敵と戦う日本兵の姿を、クリント・イーストウッド監督が紳士的に描く。本来、この脚本ならば日本人監督が撮るべきものを、全編日本語の台詞にも関わらず遣り遂げたことが意味することは、イーストウッド監督の懐の深さであり、戦争に対する見識の高さであろう。モノトーンに近いカラーの色彩が代表するように、内容も演出も編集も冷静な視点が行き届いた生真面目さが特長になっている。戦後も60年以上経つと、これまでの一方的な反戦思想だけでは全てを語ることが出来ない。戦死していったひとりひとりの事情に配慮した客観的な再考が必要とされる。日本映画の欠陥を指摘されたようで、映画を離れて考えなくてはいけない作品だ。
俳優では、唯一加瀬亮の演技に感銘を受ける。
圧倒的リアリティ。
観なくてはいけない映画
アメリカ人とこの映画について語り合いたい
ドキュメンタリー風。目の前で爆破して血や肉片がこっちまで飛び散ってくるような臨場感がある。
『父親達の~』を観ていると「あ、この場面」と二重の楽しみも。
日本制作にありがちの「それ泣け〜!!」とか教訓的な盛り上がりには欠ける。
ただ淡々と綴られる。
役者の熱演で感情移入して盛り上がれるけれど、演出として、音楽とか総動員して盛り上がらせようとはしていない。
それだけに、考えさせられる。この戦争ってなんだったのだろうと。特に二部作両方見て、両方の事情知ってしまうと、なんだったのだろうと。
あの時代の人々が何故あのように、一つの価値観に追い込まれていってしまったのか、よくわからない。教育制度や、非国民にされないためという人もいる。
でも、それよりも何よりも、あの極限状況に置かれて、自分がやっていることの意義を妄信しないと心が折れちゃうと、この映画を観ていて思った。自決も視野狭窄。
しかも考えてしまったのが「家族を守るために自分の命を投げ出す」「困難なミッションと知りつつも、あえて挑戦する」姿に憧れを感じるのは、あの時代特有なものではない。『宇宙戦艦ヤマト』『ガッチャマン』その他たくさんの映画にも流れている主題。
あの時代特有の狂気としてしまうだけでいいのだろうか?
とてもたくさんのことを考え、感じさせられた。泣いて、感動して、なんていう言葉が薄っぺらに思えるほど。
観て、そして多くの人と語り合いたい。
戦争の恐ろしさ
この映画は数ある戦争映画の中でも有名な作品であり、人生で1度は見ておきたい作品である。
今の私たちにとって戦争というものがどれほど恐ろしく、残酷で悲しいものであることは想像でしか感じることが出来ない。目の前で味方がやられていく辛さ、勝ち目がないとわかっていても自分の命をかけてまで国を守ること、戦争というものは決してあってはならないものだと思う。
私も学校で硫黄島の戦いを勉強する機会があったが栗林閣下は兵士のことを考え、しっかり向き合うかなりいい方だと学んだ。そのこともこの作品では描かれていた。
西郷役の二宮の演技もかなりすばらしかった。
今の世界でも戦争している国はある。私たちは戦争についてもっと深く考えていくべきではないだろうか。
葛藤抱える兵士の信念、胸締め付けられる
戦況分析続け斬新な戦略練る上官の、部下を見守る優しい眼差しや相手の立場に立って敵味方関係なく状況判断下す姿に胸打たれる
戦地へ配属された兵士の過去が描かれ、大切な人への切ない思いが綴られた手紙や、難航極めながらも攻め続け、信念持った兵士の無念にじませる心情が胸に突き刺さる
アカデミー賞サウンド編集賞・ゴールデングローブ賞外国語映画賞受賞作
日本軍側に焦点当て戦時下の緊迫した情勢や人間関係を考えさせられる、クリント・イーストウッド渾身の一作
今平和に生きれていることに感謝
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