悪い奴ほどよく眠る
劇場公開日:1960年9月15日
解説・あらすじ
黒澤プロ設立第1作として監督が選んだテーマは、当時社会問題となっていた政治汚職。汚職事件の隠蔽工作により自殺に追い込まれた男の息子による復讐劇を通して、政界に根深くはびこる腐敗の構造にメスを入れた意欲作。極めて社会性の強いテーマでありながら、スリルとサスペンスを盛り込むことで十二分に娯楽映画として通用する作品。
1960年製作/151分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1960年9月15日
劇場公開日:1960年9月15日
黒澤プロ設立第1作として監督が選んだテーマは、当時社会問題となっていた政治汚職。汚職事件の隠蔽工作により自殺に追い込まれた男の息子による復讐劇を通して、政界に根深くはびこる腐敗の構造にメスを入れた意欲作。極めて社会性の強いテーマでありながら、スリルとサスペンスを盛り込むことで十二分に娯楽映画として通用する作品。
1960年製作/151分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1960年9月15日
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2010年2月19日 土地開発公団の西幸一に扮する三船敏郎さんが、見たことのない別人のような雰囲氣です。
脚本が凄い人が5人も揃っているので面白くないわけが無いのですが、興行的には失敗したのは有名らしいです。後の作品は大ヒットするので、失敗は成功の基ですね。
主人公の西の汚職暴露計画が失敗しなければ、もしかしたら興行的にも成功したかもしれませんが、その代わりに黒澤明監督の命も危なかったかもしれませんので、これで良かったと思うしかありません。
シリアスな復讐劇で、俳優陣の迫真の演技が見応えがありました。
1960年公開、配給・東宝、製作・黒澤プロダクション。
【監督】:黒澤明
【脚本】:小國英雄、久板栄二郎、黒澤明、菊島隆三、橋本忍
【製作】:田中友幸、黒澤明
主な配役
【西幸一】:三船敏郎
【岩淵副総裁】:森雅之
【岩淵佳子】:香川京子
【岩淵辰夫】:三橋達也
【守山部長】:志村喬
【白井課長】:西村晃
【板倉】 : 加藤武
【和田課長補佐】:藤原釜足
【殺し屋】:田中邦衛
1.黒澤プロダクションの処女作
黒澤明 50歳
三船敏郎 40歳
三橋達也 37歳
香川京子 29歳
田中邦衛 28歳 ※辛うじてセリフのある端役
披露宴会場の場面から始まる本作。
非常に凝った演出が随所に見られる。
一時釈放された重役・三浦が自殺するシーン。
絶望に打ちひしがれ拘置所の壁に寄りかかった三浦の耳に疾走するクルマのエンジン音が聞こえる。
観客は三浦になったように感じるだろう。
西が、自殺を思い留まらせた和田課長補佐を連れて、
和田の葬式を見せに行くシーン。
読経の声をバックに、クラブの賑やかな音楽と共に「悪い奴ら」の会話がテープから流れてくる。
これを境に和田は西に協力するようになる。
凝った脚本だ。
肩にチカラが入っています、というのが伝わる。
2.てんこ盛りの内容〜「まあ、一杯いこう」
◆汚職(大竜建設と公団)甲乙つけがたい悪党たち
◆悪党たちの命懸けの結束と疑心暗鬼
◆復讐
◆友情(戸籍を入れ替えるほどの友情)
◆兄妹愛(障がいを持った妹、原因を作った兄)
◆男女の愛
◆人間の弱さ
『モンテ・クリスト伯』に着想を得たというが、
まさにそれを感じるのが、上述した「てんこ盛り感」だ。
「まあ、一杯いこう」
このセリフに西村晃演じる白井課長が強く反応する。
油断させるときの決まり文句だからだ。
「悪い奴ら」のバッグには、「さらに悪い奴」がいることが何度か暗示される。
3.まとめ
みずからの利益、あるいは立身出世のためなら、
殺し屋を雇うことや、自殺教唆も厭わない。
エリートたちの悪事は、やくざよりたちが悪い。
私生児が親の仇を討つ、、、
よく出来た私生児だな。まあ良いのだが、
スンナリ感情移入できなかったりもする。
興行的には失敗した本作。
映画は、わかりやすくないとダメだと思う。
☆3.0