レベッカ(1940)

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

鬼才アルフレッド・ヒッチコックが「風と共に去りぬ」で知られる名プロデューサー、デビッド・O・セルズニックに招かれ製作した、アメリカ進出初作品。南仏のリゾート、モンテカルロにやってきたヒロインの“わたし”は、イギリス人の富豪マキシム・ド・ウィンターと出会い、結婚する。イギリスにもどったマキシムと、広大な邸宅で新たな生活を始めた“わたし”だったが、マキシムには1年前に亡くなった前妻レベッカの存在があった。邸宅を仕切る家政婦のダンヴァース夫人は、いまだレベッカを崇拝し、上流階級に溶け込もうとする“わたし”は、精神的に追い詰められていく。やがて事態は思わぬ方向へ転がっていき、レベッカの死因を改めて調べられることになるのだが……。第13回アカデミー作品賞受賞。1940年製作で日本では51年に劇場初公開。2020年9月、人気声優による名画吹き替えプロジェクト「NEW ERA MOVIES」で新たに制作された吹き替え版(わたし役=早見沙織/マキシム・ド・ウィンター役=三木眞一郎/ダンヴァース夫人役=宮村優子)で公開(モービー・ディック配給)。

1940年製作/130分/G/アメリカ
原題または英題:Rebecca
配給:モービー・ディック
劇場公開日:2020年9月11日

その他の公開日:1951年4月24日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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映画レビュー

4.5ヒッチコックのアメリカ時代がここから始動

2020年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ヒッチコック監督のフィルモグラフィーの中で、本作ほど重要なターニングポイントとなった作品はない。というのも、これは彼がアメリカからの招聘を受けて初めて撮った記念すべき「アメリカ映画」だから。 序盤はコミカルなロマンス物を予感させ、身分の違う二人が惹かれあって開始30分で「結婚しよう!」と劇的展開を見せるさまに驚かされる。さらにそこから「ダウントン・アビー」ばりのお屋敷生活の中で用意周到に展開していくミステリーとサスペンスは、安心して身を委ねていられるほど重厚で高品質。なるほど、特定の人物に対し募っていく疑心暗鬼や(疑惑の影)、あるいは死んだ者の影響が身辺にずっとはびこってヒロインを得体の知れない運命へと導いていく(めまい)あたり、のちのヒッチコックの傑作に通じるエッセンスもひしひしと感じられる。ちなみに本作はこの年の作品賞オスカーを受賞。こうして彼のアメリカ時代は華々しく始まったのだ。

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牛津厚信

4.0非常によく練られた、心理ミステリーの一級品だ。

2024年10月8日
PCから投稿

主人公の「わたし」は、ヨットの事故で先妻レベッカを亡くしたマキシム・ド・ウィンターと結婚する。屋敷の家政婦ダンヴァース夫人は、レベッカへの忠誠心から、「わたし」を病的なまでに、精神的に追い詰める。 レベッカの遺体発見後の展開も秀逸で、レベッカの従兄弟と名乗る男の関わりや、驚くべき真相が判明した後の、救いようの無い結末まで、全く目が離せない。 ヒッチコックの他の作品に比べると、派手さに欠けてるとは思う。しかし、これは、静かに、かつ、激しい心の動揺をもたらす、心理ミステリーの一級品だ。 ホラーや怪奇映画、ゴシック作品が持つ、不穏でおどろおどろしい雰囲気が全編に渡っているが、そうした作品とは全く別物だ。ミステリアスな魅力とスリルに満ちていて、観る者の感情を揺さぶる、極めてドラマティックな傑作サスペンスだ。

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瀬戸口仁

4.5「見えない存在に怯える」その演出力は素晴らしい。

2024年4月2日
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大好きな監督のアメリカ第1作目 監督得意の怖がらせは最高潮には達していないが 手をつくし主演女優や観客の心理を揺さぶる。 当時のスタッフは、まだ彼の演出は理解不能で 撮影の方法について行けないスタッフも居たはず。 「恐怖とは何か、考えてごらん」 「隣に座る人が犯罪者だったら…」 「突然罪をなすりつけられたら…」 そこから始まる”怖がらせの流儀” ラブロマンスものに慣れた製作陣には難しい。 前妻の名前の刺繍に恐怖を覚えさせるにはー 美しいはずのランプの光も恐怖に変わるー 声のトーンもまた恐ろしい世界へ誘うこともある。 恋愛…、新婚…、お金持ち…、幸せ…のはずが、 小さな疑惑、大きな疑惑、実態のない闇が襲う。 ところどころアメリカ的だけど それでも「ヒッチコックの映画」 と、言い切りたい。 ※

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星組

4.0佳作ですがヒッチらしさは希薄

2024年2月17日
PCから投稿

脚本、ストーリー優先です。換言すれば他の監督が撮ってもそれなりに面白く仕上がります。格調は高くオリビエ先輩の演技も申し分はないですが、前半から中盤にかけてはゆったりした調子で唯一女中さんの曲者ぶりだけが際立っています。 終盤は何とかスリラーを感じますが、ヒッチらしい畳みかけるようなサスペンスは希薄です。ヒッチ自身もプロデューサーが大物過ぎて現場で意見が通らず不満の残る撮影だったようです。

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越後屋