屋根裏の散歩者(2006)
劇場公開日:2007年7月7日
解説
江戸川乱歩の傑作「屋根裏の散歩者」を、「村の写真集」の三原光尋監督が映画化。舞台を現代に、主人公を女性に置き換えて原作に大胆な解釈を加え、乱歩による猟奇的・耽美的な世界を再現する。今は亡き画家・郷田三郎を取材するため、彼が生前に暮らしていた東栄館を訪れた編集者の富岡奈緒子。郷田が好きだったという屋根裏に上った彼女は“散歩者”となり、館の住人たちが繰り広げる惨劇を目撃してしまう……。
2006年製作/87分/R15+/日本
配給:アートポート
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乱歩映画に改変はデフォであるものの、ここまで変えられると、原作を全く知らない人間がテキトーに脚本書いたとしか思えない。横溝原作の映画「悪魔の手毬唄」(高倉健主演版)もあんまりな出来だったが、あちらは本当に原作を読まずに脚本を書いたと聞いた。しかし平成の今日、本作を知らない脚本家がいるとも思えないのだが。
今は亡きカルト画家、郷田の家に取材に訪れた女性記者が見たものは、残された同居人達による殺人儀式だった...って、どこの西洋ホラーか。女性記者も儀式の生贄にされそうになり、その悲鳴の凄まじいこと。更に反撃に出た際もギャーギャー叫びながら首を絞め、うるさいうるさい。情緒も耽美も欠片もなく、乱歩世界とは真逆の映画。アメリカン・カルト・ホラー「悪魔のいけにえ」を思わせるが、あそこまで吹っ切れておらず、さして怖くもない。
「ほ~ら怖いだろー」とブラジャーの肩ヒモ切られてもねぇ...。かぼそい小学生の女の子に殴られて気絶する殺人鬼が怖いか?そもそも、事件全体が女性記者の回想形式なので、助かることがわかっていて緊張感に欠ける。冒頭で天井の染みに怯えたのも意味不明。
それに、同居人達の不倫セックスや、女性記者役の嘉門洋子を中途半端に下着姿にしたのが「エロチック」だというのか?乱歩世界のエロはそこじゃあないだろう。なんか、エロに対する意識が中学生レベル(小学生レベルかも)。この頃の嘉門は既に乱交パーティ参加疑惑やらヤクザの情婦疑惑やらで、ブラックなイメージが強かったので、被害者役が不似合いというのもあるが(ガタイが良くってケンカ強そーだし)、前半の、明らかに迷惑がってる同居人達への強引な取材や、危機意識の無さ過ぎる行動に、同情する気も起きない。これを原作/乱歩と表示するのは、大乱歩に対する冒涜以外の何物でもない。この映画のスタッフ、頼むから、もう乱歩に関わらないでね。