幻の光

劇場公開日:

幻の光

解説

能登の雄大な自然を背景に、ひとりの女性の喪失と再生を描いたヒューマンドラマ。独立系制作プロダクション「テレビマンユニオン」のドキュメンタリーディレクターとして活躍してきた是枝裕和の映画監督デビュー作で、原作は宮本輝の同名小説。

12歳の時に祖母が失踪したゆり子は、祖母を引き止められなかったことをずっと悔いていた。大人になり結婚し、息子の勇一を授かり、幸せに暮らしていたゆみ子だったが、ある日、動機がわからないまま夫の郁夫が突然自殺をしてしまう。再び愛する者を引き止められなかったゆみ子は、悔恨の思いを胸に秘めながら、日本海に面する奥能登の小さな村に住む民雄と再婚する。先妻に先立たれた民雄には友子という娘がいたが、勇一と友子も仲良くなり、ゆみ子は新しい家族と再び平穏な日々を過ごすが……。

第52回ベネチア国際映画祭で金のオゼッラ賞(撮影に対して)を受賞。本作が俳優デビューとなった江角マキコが主人公ゆみ子役を務め、第19回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受賞。郁夫役に浅野忠信、民雄役に内藤剛志。そのほか大杉漣、木内みどり、柄本明らが共演した。2024年8月、同年1月に能登半島で起きた地震で大きな被害を受けた、本作の舞台でもある石川県輪島市を支援するため、デジタルリマスター版でリバイバル公開。

1995年製作/110分/G/日本
配給:テレビマンユニオン
劇場公開日:2024年8月2日

その他の公開日:1995年12月9日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第52回 ベネチア国際映画祭(1995年)

受賞

金のオゼッラ賞(最優秀撮影賞) 中堀正夫
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

  • 画像1
  • 画像2
  • 画像3

(C)1995 TV MAN UNION

映画レビュー

2.5幻の光とは??

2024年12月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
映画イノッチ

4.0是枝裕和監督のデビュー作品

2024年12月2日
PCから投稿

是枝裕和監督のデビュー作であり江角マキコのデビュー作でもあった。
Maborosiというタイトルがついていて海外で評価が高い。RottenTomatoesのオーディエンスレビューを見て解ったがMaborosiは海外にコアなファンをもっている。
一方日本でそれほどでもないのはおそらく主演女優の保険料の未納問題や落書き問題が影響していると思われる。

良くも悪くも芸能界を駆け抜けた人であり、幻の光の「ゆみ子」とはタイプが違い、ショムニや肉食系のイメージが固着しているので「むかし猫かぶって是枝映画に出てた」という下馬評が形成され、映画自体もそんなふうに流された、の感がある。

じっさい本作の江角マキコの演技は棒であり上手ではなかった。ただし言わば小津映画のように上手ではない棒演技で大丈夫につくってある映画だった。江角マキコの素人っぽさはむしろ好ましく、且つ内省的な「ゆみ子」の性格を表現し得ていたと思う。
また是枝映画ファンなら解ると思うが是枝監督は女優に関して面食いで、演技力と面なら、面をとる監督だと思う。当時、新進で曲がりなりにもきれいな江角マキコは監督好みだったに違いない。

海外では特に撮影がほめられていて小津安二郎や侯孝賢(ホウ・シャオシェン)が引き合いにされているが、長回しや静けさや遠景での撮影距離感などテオアンゲロプロスを思わせた。ご覧になれば解ると思うが演技力を必要としない俯瞰的な映画だった。
現行の是枝裕和よりずっとアートハウスな、と言うか、ばりばりのアートハウス映画だが、こけおどしなアートハウスではなく、ペーソスが解る、内容のある監督がデビューしたことが解る映画だった。

ちなみにこけおどしなアートハウスとは河瀬直美みたいに深刻or高尚っぽいテーマをもっていて、その真意は解らないし、そもそも下手なので伝わらないのだが、深刻or高尚っぽい雰囲気に気圧されて、なんとなくサムズアップが醸成される、という感じの映画をこけおどしのアートハウスと言っているのだが、きょうびの日本映画、ほどんどがそこへ当てはまると思う。
ていうか「こけおどしのアートハウス」は所謂「日本映画」の特徴と言える。

幻の光の話の骨子は、ゆみ子が郁夫(浅野忠信)の自殺を理解できないことである。
優しく温厚な民雄(内藤剛志)と再婚し、海辺の村で息子と連れ子と幸せに暮らし、悲しみが次第に和らいではいくものの、しかし郁夫の死は痼り(しこり)のようにゆみ子の心に影を落としている。それを民雄に打ち明けたときの回答がこの映画の題にも関わる白眉になっている。

ゆみ子『うちな、わからへんねん、あの人がなんで自殺したんか、なんで線路の上あるいてたんか。それ考え始めると、もうあかんようになんねん、なあ、あんたはなんでやと思う?』

民雄『海に誘われる言うとった。おやじ、まえは船に乗っとったんや。ひとりで海のうえにおったら、沖のほうにきれいな光がみえるんやと。ちらちら、ちらちら光って俺を誘うんじゃ言うとった。誰にでもそゆことあるんとちゃうか。』

幻の光は、大切な人の自殺について生き残った人にその理解方法を提供する話、と言える。
自殺は、忌まわしく、やってはいけないことだが、もし誰かの自殺に遭ってしまったなら、幻の光に誘われて行ってしまったんだ──と理解したほうが生きるのが楽だ、と民雄、ひいては作者宮本輝は言っていて、それを婉曲に語っている。

世の中には「なぜ死んでしまったのだろう」という自殺がある。有名人でも、ある。その「なぜ」の深淵を見つめてしまうと「もうあかんようなんねん」という混沌と不信に陥る。だから光に誘われて行っただけ──という、気持ちを和らげる理解が必要なんだ、と映画幻の光は言っているわけ。

こだわったのは長回しよりも自然光で暗くてリマスターがなされてほしいと切実に思った映画だった。また、イケボな内藤剛志がテレビづいていて映画へ来ないのを改めて残念に思った。
imdb7.5、RottenTomatoes100%と83%。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
津次郎

脇に目が行ってしまった

2024年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 能登半島地震・輪島復興支援上映に参加しました。是枝裕和の監督デビュー作に当たります。

 幸せな家庭だと思っていたのに夫が予想もしなかった自死を遂げ、後悔と割り切れない思いを抱えたまま再婚の為に輪島へ移り住んだ女性の物語です。その喪失感は分かるのですが、彼女がなぜ再婚しようと思ったのか、新しい夫にはどんな思いなのかが僕には十分に見通せませんでした。

 そして、「ああ、この朝市の光景もなくなり、街並みや石垣も全部潰れてしまったんだろうなぁ」「浅野忠信さん無茶苦茶若いな」「江角マキコさんはもう復帰する事もないのかな」と、申し訳ないが物語以外にばかり目が行ってしまったのでした。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
La Strada

3.0昭和時代にタイムスリップしたような感覚

2024年10月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

能登半島地震輪島支援特別上映にて鑑賞。ひとりの女性の喪失と再生を描いた是枝監督の長編デビュー作。昭和時代にタイムスリップしたような感覚で懐かしさ満載のドラマです。能登の景観も素晴らしく、まるで能登を旅行しているかのような映像が印象的でした。

2024-177

コメントする (0件)
共感した! 0件)
隣組