ブラック・レインのレビュー・感想・評価
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日米合作だから?
ただただ松田優作の狂気が印象に残る。彼が死を賭して挑んだ作品、宜な...
●優作さん怖すぎる
公開前と公開後
若い人はご存知ないだろうが、この映画が封切られる前。
宣伝では
「あの高倉健がマイケル・ダグラスと競演!」
「健さんハリウッド進出!」
「米超大作の舞台は大阪!」
「当然、日本人俳優も多数出演」
「ちなみに悪役には松田優作」
みたいな感じだったんです。
ところが、日本上映期間中に優作が逝去。
すると、世間の評判は一気に変わって
「優作、命を懸けた渾身の演技」
「ハリウッドではオファーが続出した中での早すぎる死」
「次回競演候補はロバート・デ・ニーロだった」
「遺作で光り輝いた松田優作」
と、完全に「松田優作作品」になってしまいました。
もちろん活動期間も芸暦も違いすぎるので比較はできませんが、
この作品は「松田優作の代表作」であっても
「高倉健の代表作」ではない。
作品自体は、摩訶不思議な日本の描写が
若干鼻につくとはいえ
実際に日本をロケ地にして撮影しているだけあって
当時の「ベストキッド2」とか
ほかの日本を舞台にした映画とは格段の差がありました。
その分、カルフォルニアで撮影した日本のシーン
(ラストの農園風景)なんかは、かなり不可思議ではありますが。
この映画のテーマである「異文化の衝突」「相互理解」は
見事に描かれてると思いますよ。
そして、あまり触れられない、
マイケルダグラスと、アンディガルシアもかなりいいです。
異世界大阪物語
もっと凶悪で、殺戮と復讐の連続でテンポの良い映画だと思ってたけど、
間延びしてアクションシーンも少なくだるかった。
松田優作のハリウッド進出作で遺作と言うフックがなかったら平凡な作品のように思う。
今となってはバブルの大阪には違和感を感じた。
大阪ロケなのに、アメリカ人がイメージで作った中国のような日本なのがおもしろかった。
デパートの中をバイクが走り、のぼりを持った暴走族が出てきたり、自転車集団が行く手を阻む、今の中国とバブルの頃の日本は変わらないじゃないかと思った。
ブラックレインと言えば松田優作。と思ってみたら出番は割と少なく、でもインパクトを残してやろうと言う気迫のこもった表情や演技はインパクトがあった。
そして、ハリウッド映画、世界を相手にしてもいつもと変わらない演技で存在感のある高倉健もスゴいんだなと感じた。
忘れてはいけない
どこのカテドラルかしら?
これはリドリー・スコット監督自身による「ブレード・ランナー」の大阪版。はみ出し者の刑事が凶悪な犯罪者を追い詰めるところと、オリエンタルな雰囲気満点の都市が舞台。
ヤン・デ・ボンの撮影によるオートバイのアクションなど、次から次へと観客を飽きさせない映像のオンパレードである。バブル期の大阪ミナミも、今となっては懐かしさすら感じるが、エネルギッシュかつ猥雑で興味深い。
それにしてもあの阪急百貨店をどこかのカテドラルかと錯覚させるとは、なかなか日本人には出来ない芸当だ。もちろん、大阪の地理を肌身で理解している観客からすると、梅田の阪急百貨店で襲われたマイケル・ダグラスが次の瞬間には心斎橋にいるというのは飲み込み難いロケーションであろう。
しかし、別に気にすることはない。スコットは大阪を描きたかったのではない。「ブレード・ランナー」で表現した様々な匂いの漂う近未来都市と同様な舞台として、たまたま大阪を選んだということなのだから。
鬼気迫る松田優作
穴熊。
寂しいね
Ken Takakura!
Tohoシネマズ午前10時の映画祭で劇場観賞。
松田優作の悪役が話題になった映画だが、萩原健一なんかもオーディションを受けたらしい。
プロデューサー兼主演のマイケル・ダグラスは、ジャッキー・チェンにオファーを出したという話もある。
松田優作が映画は本作を最後に夭逝したことも、この作品のステイタスを上げている。
だが、改めて観ると、高倉健がいい。
真面目一徹なキャラクターは見事にはまっているが、マイケル・ダグラスを気遣うような場面がいくつかあり、そこで見せる切なそうな表情は魅力的だ。
演技派には分類されない役者だが、スターの存在感があり、だけど出すぎない控えめな演技が見事。
ラストの空港でダグラスの贈り物を開けて、やられた…というような苦笑いが最高だ。
ものすごく粗くてヘンだがものすごく熱くてシブい
TOHOシネマズの『午前10時の映画祭』にて鑑賞。
『エイリアン』『ブレード・ランナー』などで知られる
映像派リドリー・スコットの1989年度監督作品。
大阪を舞台に、ハリウッドと日本のスターが共演。
NYの刑事が日米間のカルチャーギャップに苦しみながら
凶暴なヤクザを追うサスペンスアクション作。
* * *
好きな作品なんですけど、まあ最初に
まとめてツッコミを入れてしまおうかしら。
マイケル・ダグラス演じる主人公が過剰にヒロイックに
描かれるのは鼻につくがしようがない。主人公だし。
けど、ニセ札見抜けないわ犯人逃がすわ、日本の警察
(と高倉健)があまりに頭悪く描かれ過ぎだと思うし、
仇役サトーも、松田優作の鬼気迫る演技が無ければ
かなーり薄っぺらな悪党である。
それに、クライマックスの展開を急きすぎたか、
終盤の主人公たちの行動が粗い。
サトーがアレを取った後の行動とか無計画すぎ。
そしてやはり怪しげな日本描写の数々も気になる。
(まあそこは余談として追記しときます)
* * *
……そういった具合にね、
ツッコミ所も多少は(?)ありますともさ。
けれど、日本を描いた映画のなかでは風紀描写も
日本文化への理解もかなりマシな方だと思うし、
パチンコ屋やネオン街とかってやっぱ“画”になる。
日本を知らない“ガイジン”にとっては
異国感バリバリで面白いに違いない。
少なくとも、先日の『ウルヴァリン:SAMURAI』よりは
ずっと日本らしいニッポンだと思う。
(なんで25年前の映画より退化してんの)
それに映画の好き嫌いってけっきょく、
そういうトコだけじゃ決まらないじゃないすか。
やっぱ好きなんすよ、この映画。
もうかれこれ10回くらいは観てるハズなんだけど、
全然飽きずに観られるし、ラストシーンでは
いつも目頭を熱くしてしまう。
* * *
R・スコット監督の他作品でもしばしば思うのだが、
彼は『物語上で自然か否か』よりも『物語に効果的か
否か』、つまりはその画が観客の感情に訴えるものか
どうかを優先するんだろう。
彼が撮ると、見慣れた日本の光景が実に妖しく見えてくる。
深い闇、射し込む白い陽光、そのコントラスト。
白煙がもうもうと昇る朝焼けの工場地帯、
白んだ空気を行き交う人や自転車の群れ、
紅く飛び散る熔鉱と換気扇の生み出す動的な影。
妖しく輝くネオンと濡れた舗道の艶っぽさ。
街に立ち込める煙、人影がそれを掻き分ける瞬間の
説明し難い美しさ。
* * *
そして強烈なキャスト陣。
主人公が追う新興ヤクザ・サトーを演じた松田優作。
蛇を思わせるヌメッとした言葉遣いや所作
(眉の上をピッと弾く動作とか)が頭に焼き付く。
この役が彼のベストアクトとは思わないが、
それでも鮮烈。もっと世界で活躍してほしかった。
アンディ・ガルシアも良いよね。日米の主人公を
つなぐ重要な役どころ。あの人懐っこい笑顔を
思い出すとちょっと泣けてくる。
若山富三郎のズシリとした存在感も最高。
ドスの利いた英語や決め台詞が猛烈にカッコいい。
「ブチ殺したろかこのガキゃあ……」って、
一度でいいから誰かに言ってみたい(やめとけ)。
そしてもちろん、高倉健。
ニックに友人の遺品を渡すシーンや
彼の過去の行いを静かに諭すシーンなど、
さりげなさの中に熱さが垣間見えるマツが本当カッコいい。
何を今更だが、高倉健てシブい。シブいわ。つくづくシブい。
* * *
ストーリーやキャラクターは粗いし
演出も過剰な部分がある映画だと思う。
けれど僕は、日本の風景を、そして日本の役者を
これだけ魅力的に撮ってくれたことが嬉しいし、
国境を越えても共通に存在する熱いものが
あることを見せてくれたことが嬉しい。
価値観の異なるもの同士がぶつかり合いながらも、
互いの尊重するものを理解し合う。
言葉や文化の壁を越えた友情。
映画のラスト、
現状に甘んじて失いかけていた高潔な心と、
自分が正しいと信じるものの為に飛び出す勇気。
2人の男がそれぞれ何か誇り高いものを手にし、
笑い合って帰路に着く姿に、どうしようもなく
胸が熱くなる。
<2014.04.12>
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余談1:
ヘンテコ描写覚え書き。
・綺麗だけど大阪はあそこまでもくもくスモーク出てないと思う。
・突入前の特殊部隊がなぜにパチンコ屋を通る。
・“しゃぎゃうむじゃう”って何だ。
・選挙カーのウグイス嬢の声が明らかに外国の方。
・スパンコールのお姉さんの変装がすっげえ目立つ。
・彼は本当に高倉健の息子かどうかDNA鑑定した方がいいと思うんだ。
・ヤクザの会合をあんな製鉄所でやる理由が謎。
・ヤクザの会合をあんな農場でやる理由が謎。
・そもそもあの農場って絶対日本じゃないよね。
・ガッツ石松と島木譲二と安岡力也。
・「オヤブンガダマチャィネェゾ」
余談2:
ダグラスと高倉健の食べてたうどんが
やたら旨そうに見えたので、鑑賞後に
うどんを食べた。食べたのはもちろん
海老天うどんだ!
(↑それ別の映画だしそもそもどうでもいい)
優作はすごい。。。
新・午前十時の映画祭で上映の1本。今回はできるだけ参加しようかと画策中。
1989年のリドリー・スコット監督作品。
公開当時は松田優作の遺作ということで、あまり平静な気持ちでは観られなかった気がする。
ダイナーみたいなところで、佐藤(松田優作)が頸動脈を切って人を殺すシーンには、鳥肌がたつほどだったが、いま観るとややオーバー・アクトである。
完成度としても、実はたいしたことはない。
しかし、この映画が映画史に残るのは、松田優作最後の出演作品だからである。日本だけ特別ということになるが、松田優作の出現は、アメリカでも驚異、脅威だったに違いない。
ただ、松田優作個人でいうと、「家族ゲーム」(森田芳光監督)や「探偵物語」(根岸吉太郎監督)のほうが素晴らしい。
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