羊たちの沈黙のレビュー・感想・評価
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タイトルなし(ネタバレ)
クラリス(ジョディ・フォスター)が知的で美女、ハンニバル・レクター(アンソニー・ホプキンス)は連続猟奇殺人犯で野獣。
レクターはクラリスの心にどんどん入っていく展開は、プラトニック的なエロスを感じる。
タイトル回収はセンスが良いし、視聴者をも騙す脚本で素晴らしい。面白くて大好きな映画。
う〜ん・・
クラリスが一人で、犯人の家を見つけたのはいいけど、あんなビビりながら女の子一人で、家の中を犯人探すとか、もはや無謀。
強引すぎる。
あそこで少し冷めた。
あとは、最後のエンディングが個人的には非常に後味悪い。
警察2名殺したレクターが逃げる。
次の犯罪向かうと思われるが・・
中途半端なエンディング・・
すっきりしない
総合的におもしろくなかった。
ようやく観られた。2時間緊張しっぱなし
2度目の鑑賞。シリーズとしてはハンニバルまで観ていたが全作品通して...
仔羊の啼く夜…サイコ・スリラーの金字塔!
ハンニバル・レクター・シリーズ第1作。
第64回アカデミー賞作品賞受賞作。
GYAO!で鑑賞(吹替)。
原作(新訳版)は既読。
本作をオマージュした作品は多く観ましたが、本家本元初鑑賞。金字塔なだけあって、不気味さの演出が巧みでした。
特にクライマックスのバッファロウ・ビルのアジトでの死闘は緊迫感漲るアクションシーンで、思わず手に汗握りました。
アンソニー・ホプキンスの怪演が本作の白眉であることは疑いようがありません。クラリスとの対峙における精神的圧迫感は迫力があったし、狂気の宿る眼差しは、完全に頭のイカれたシリアルキラーのそれとは異なり、精緻な頭脳に起因する聡明さが滲み出ていて、一筋縄ではいかないハンニバル・レクターと云う人物を体現する見事な演技だと思いました。
レクターと対決し、連続猟奇殺人の解明に挑むクラリスを演じたジョディ・フォスターも、数々の演技賞を受賞するのも納得な名演。男性優位の組織において色眼鏡で見られながらも仕事に肉薄していく姿は本当に力強く、議員の娘を救出することで幼少期のトラウマを克服するラストも鮮やかでした。
※修正(2024/03/23)
大傑作 それしか言葉が浮かばない。
静かに持続する緊張感。
憧れのクロフォード主任捜査官に呼び出され、認めてもらえるチャンスに対する期待。
目に飛び込む猟奇殺人のビジュアル記録。
とんでもない任務…。
映画が作られたころの、男社会の女性の位置もさらりと、強調して見せ、
これからどうなると、物語に引き込まれていく。
そして、想像を軽くはずす。
”恐ろしい”殺人者の、洗練された物腰・しなやかさ・間のとり方。あれ?と思わせておいて、いつの間にか虜になってしまう狂気。
知的で、優しげな笑顔、物言い、ふるまい。それなのに、にじみ出てくる狂気、下卑た表情もちらつかせる。しかも、言葉だけで隣の囚人を自死に追い込むことができる、その危うさ。その様子に距離をとろうとするが、こちらの手の内はとっくに読んでいて、小出しにしてくる餌。その餌をつまもうとすると、さっと引き上げられてしまう。なのに、心の奥底に忍び寄ってくる在り様。
間合いをとる難しさ。レクター博士に振り回される。続く緊張感。
犯人を追いつめる緊張。
プロファイリング。わずかな情報を聞くだけで、次々に犯人の実像に迫っていく、その面白さ。知的好奇心を掻き立てられ、途切れぬ緊張感。
タイムリミット。
クラリスが訓練中に失敗するのをあえて見せておくことで、後半の追跡劇の緊張が高まる。
”蛾”が引き出す不気味さと緊張感。
クラリス訓練生と、レクター博士の関係性がどうなっていくのかという緊張感。
クロフォード主任捜査官とクラリス訓練生の関係がベースになっていて。明確ではない、まったく違う次元の関係性に見えるのに、ひそかな三角関係。
そして、レクター博士がこれから何をするのかという緊張感。
レクター博士の造形も見事。
ただの凶悪犯ではない。
”羊=助けを求めるもの”を助けようとあがく者への対応と、己の欲望だけを満たそうとする者への対応の違い。ちょっと気持ちがいい。
それでいて、クラリスを貶めた隣の囚人への仕打ち。己だけの正義感?美意識?諫めてくれるのは嬉しいが、その常人には真似のできないやり方に戦慄が走る。
そして、使えるものは何でも使い、己の要望は満たす。
どこを信じて、どこを頼ってよいのか、どこからは…。
これだけ様々な緊張感が入り乱れているのに、不協和音とならずに、お互いのエピソードがお互いの緊張感をさらに高める作り。
レクター博士とクラリスの、ある種禅問答のような会話。さらっと聞き流してしまいそうでいて、ちょっと立ち止まると、深淵にはまり込む。
なんてすごい映画なんだ。
演出・脚本も究極なのだが、
ホプキンス氏の演技があってこそ。
最高の人たらし。
相手を利用しようしている眼。知的好奇心にワクワクして目が輝いている眼。相手の正直さを喜ぶ眼。罠が仕掛けられていることがわかっていてもなお、惹きつけられ、近づきたくなる。
ホプキンス氏も決して大柄ではない。今のお姿よりも、スマートで、小顔。それが、大柄な男たちを従え、翻弄していく。
そんなふうに演じられたホプキンス氏。
それに対して、物静かなクロフォード主任捜査官。どちらかと言えば、人を避けようとするタイプ。
この二人の対比も面白い。
後世へも影響を与え、
レクターもどきがたくさん生まれることになったのも納得。
そこに、その二人に翻弄されつつ、示された手掛かりを使って自分なりに自分の答えを見つけ出そうとあがくクラリス。ひよっこ度が初々しく、応援したくなる。
努力家で、精いっぱい背伸びして、それでいて隙だらけ。それなのに、レクターについていけるだけの知的なひらめきを見せ、人を救うための実行力も兼ね備える。
フォスターさんならでは。
レクターだけがとびぬけてしまいかねない設定でありながら、クラリスを配すことで物語に収まってくる。だのに、たんにクラリスのお守、バディには収まらない。
この先何が起こるのだろう、目の前の獲物の先のことを示唆するラストも秀逸。
次々に物語を欲したくなる。この二人を永遠に見ていたくなる。
(原作未読・他のレクター物未鑑賞)
アナログ時代の傑作
完成されてる
以前、どこかのサイトで解説されていたのを何とか思い出しながら書く。(この解説が正しいというのではなく、鑑賞後の自分の感想に最もフィットしていると感じたため)
ミステリーの用語で、「アームチェア・ディテクティブ」というのがある。又は「安楽椅子探偵」と呼ぶが、それに類する作品である。
クラリスとレクター博士は、二人とも同じものを持っている。その正体は「絶望」だ。それがこの映画の要になっている。
クラリスの父親が死んでしまうことは、幼かった彼女にとって「絶望」だが、それだけでは抽象的で弱い。だから子羊の屠殺を目撃して、子羊を一頭だけでも救い出そうとするという具体的なエピソードを加えている。こうすることで、子羊を助けて鳴き声が聞こえなくなるために(絶望に打ち勝つために)クラリスは行動している、というストーリーの目的が明確になる。クラリスの真っ直ぐな性格も表現できる。
一方でレクター博士は、精神科医として様々な患者と向き合いながら苦しみ闘ってきたはずで、そこで「絶望」に飲み込まれて人間を喰らうという悪魔になってしまった人間だ。レクター博士は精神科医としてクラリスのことをよく分析できるのと同時に、自分も同じ「絶望」を知っているから、彼女のことをより理解できるのだ。
面白い作品は必ず、表のストーリーと裏のストーリーの二本立てになっていて、二つの話が同時に進行する。この作品で言えば、犯人探しや謎解きにドキドキするのは確かにあるが、それは表のストーリーで、物語の主軸はあくまでもこのクラリスとレクター博士の関係性にある。
クラリスが汚れていない無垢な、ひたむきで、美しい、絶望に立ち向かう勇敢な女性だったからこそ、レクター博士はクラリスに興味をもったし、彼女にだけヒントを与えてくれた。クラリスは自覚は無いかもしれないが、この相反するように見える二人が、心の深いところで共鳴できる部分を持っている、特別な間柄だということが、この作品の最も大きな魅力になっているのである。
原作では、クラリスはもっと激しいキャラだそうで、作品の印象がかなり違うらしい。この映画はまた別の一つの完成形と言えるだろう。
ジョディ・フォスターの聡明で可憐な美しさよ…この役は彼女しか考えられない。
殺人者の心に入り込むには、彼女は狂人の心に挑戦しなければならない。
FBIの謎めいた若きクラリス・スターリングは、懸命に訓練に励んでいる。冒頭からダークな音色が耳に残り、病みつきになりました。クラリスを冷酷な殺人鬼で人食いでもあるハンニバル・レクターに会わせようとするジャック・クロフォード、これから繰り広げられる異常な風景を予感させる印象的なオープニングです。何度観ても怖く、飽きない作品です。ジョナサン・デミの演出はもちろん、脚色が光っている。レクター博士との初対面で心理的につけこまれるクラリスを演じたジョディ・フォスターの演技はとてもリアルだ。忘れてはならないのは、アンソニー・ホプキンスだ。いまでもアンソニーの顔を見ると恐怖を感じる。『ファーザー』(2020)の痴呆老人も見事だが、あまり出番のないこの殺人鬼がオスカーを受賞するのは当然だろう。
金字塔的傑作
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