ハリーとトント
劇場公開日:1975年12月20日
解説
72歳になるハリーは愛猫のトントと一緒にニューヨークの古いアパートに暮らしていた。しかし建物の取り壊しが決まり、ハリーは退去せざるをえなくなる。近くに住む長男の家は居心地が悪かったため、ハリーはトントをつれてシカゴに暮らす娘を訪ねることに。車で旅するハリーは様々な人々と出会う……。孤独な老人のアメリカ横断行を明るくドライに綴る。アート・カーニーがバイタリティあふれる主人公を好演。
1974年製作/116分/アメリカ
原題:Harry and Tonto
配給:20世紀フォックス映画
スタッフ・キャスト
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2021年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
落ち込むことを知らない明朗お爺さんと一匹の猫の異色のロードムービーの佳作。ポール・マザースキー監督の丁寧で落ち着いた演出タッチが、主人公のユーモアとペーソスを上品に引き出している。そのお蔭で主演のアート・カーニーはアカデミー賞を受賞する。ハリーが旅先で出会う地方色豊かな人物たち、家出娘ジェシーや老カウボーイのカールトン、ネイティブアメリカンの酋長ツー・フェザーとのふれ合いが淡々と描かれている。特に劇的で刺激のあるストーリーではないし、そんなシーンも無い。敢えて挙げれば、若い女性とのランデブーくらいだが、ここは微笑ましいユーモアが上回る。社会から爪弾きにされても独り自然体で人生を送るお爺さんハリーから見たアメリカの姿。変化する社会にあって、男の晩年は普遍的に明るくはない。そんな不名誉な常識にカツを入れるような好感度高いお爺さんの数少ない模範例。
1976年 10月16日 高田馬場パール座
2019年10月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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72歳の元教師ハリーと黄トラの猫トントの訳ありロードムービー。
冒頭からのエピソードで年寄が苦労する話に思え気が重くなる、不景気の時代なのだろう人間関係もせちがらくあまり感情移入できず退屈なのでなんで猫が出てくるのか考えてみた・・。
ロードムービーは色々な人との出会いがテーマとなる、一人旅より猫がいることで初対面でも相手の警戒心が薄まる効果はあるのだろう。時間繋ぎや転換のきっかけにも使える。特別な猫でなく平凡な黄トラであれば役者を食うこともない。したがって猫や犬は脇役として重宝なのだろう。思い出をなぞりたがるのは先の見えた年よりの行きつきそうな既定路線、老親が子供たちを訪ねるシチュエーションは小津監督の名作でもあるし、止せばいいのに昔の恋人まで訪ねてしまう、予想通り落胆の方が大きいのも古今東西、相場なのだろう、暗い話になりすぎると考えたのか、陽気な娼婦、奇妙なセールスマンやインディアンまで出してコメディ風に味を加減するのだがトントも虹の橋を渡り孤独老人の行く末やいかにと思ったら猫好きの老婦人からラブコール、トントそっくりの野良ちゃんまで出てきてなんとかほのぼの風でエンディング。この時代にこの手法を編み出した点は買いですが心の揺らせ方が実に雑な脚本でありました。
2019年7月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
老人が出てくる映画は、
最近までは自分の両親を思い浮かべながら見ていたけれど、今は自分の姿をそこに発見するようになったな。
この映画の面白いところは、年寄りは年寄り同士でこんなにユニークな会話を交わしていたのだと知ること。
中年後期の自分は、若者たちの独自の語彙や言い回しをいつも驚きながら耳にして、彼らの最先端の感覚を時には真似して取り入れていたものです。
でもね、「ハリーとトント」で交わされるシニアたちの生きざまが今はスッゴく新鮮!
あんなふうに語り、あんなふうに立ち止まり、そしてあんなふうにベンチに座ってみたい。
未知の世界に向かう冒険旅行の前夜の気分です。
だから“同行者”として僕もハリーの旅に連れて行ってもらう、“僕のロードムービー”って感覚になってくる。
小道具、鞄、ピアノにタップダンス・・
ストーリーも画質も枯れていて、アナログレコードを真空管で聴くようなフィーリングかな。
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猫のトントがいい子。
僕も昔は黒猫ばかり7匹飼っていました。
2018年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
「資本主義め!」とか『警部アイアンサイド』の話題とか、アメリカ人らしくないアメリカ人のハリー。ユダヤ人らしいジョーク。ひねくれ者という言葉がピタリと当てはまる。飛行機ではなくバスやヒッチハイクで旅するロードムービーだったけど、結婚もして子どももいる老人の奥深い人生観にはあまりのめり込めない。
昔の恋人を訪ね、ダンスをするシーンもいいが、ラストに死んだトントに語りかける侘しさと、海岸で少女を見つめる姿が印象的。