白痴(1951)
劇場公開日:1951年5月23日
解説
黒澤明自身が敬愛するドストエフスキーの名作「白痴」を映画化した美しくも激しい愛憎劇。純真無垢な美しい亀田青年、彼を愛するふたりの女・綾子と妙子、そして妙子を野獣のように愛する無骨な男赤間。4人の間には、神々しいまでの愛と激しい憎悪が燃えあがる。原作に忠実であろうとするあまり、当初前後編4時間25分の長編として完成したが、難色を示した松竹側と黒澤監督が対立。切るならフィルムを縦に切ってしまえと、激怒した逸話は有名。結局現在観ることのできるのは大幅にカットされた166分バージョンのみである。
1951年製作/166分/日本
配給:松竹
スタッフ・キャスト
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2020年10月24日
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鑑賞方法:VOD
黒澤明の作品の中でも特にエネルギーが凄い映画だった。とんでもなく寒い札幌が舞台のはずなのに寒さは感じない。それどころか黒澤明のドストエフスキーへの熱量が映画全体から滲み出ていて暑苦しいぐらいだ。
今作で特筆すべきは何と言っても原節子の演技である。小津安二郎の作品に出演する彼女の面影は無く、孤高の女を演じきっていて度肝を抜かれた。素晴らしい女優だったんだなと再認識。案外黒澤明との相性も良いのかもしれない。 三船敏郎とのツーショットも嬉しい。
とてつもない善人は世の中では白痴というのは本当かもしれない。所謂普通の人々は、その善意を信じることができないし、バカにするか異常者扱いする。信じたとしても自分だけのものにしたがる。主人公亀田は最期どうなってしまったのか…。
叶わぬ夢かもしれないが、いつか4時間超の完全版を観てみたい。
2020年5月21日
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鑑賞方法:DVD/BD
長尺だが最後まで問題なく見ることができた、4時間半だとどうかわからないが。三船以外の3人が素晴らしく思えた。特に原節子。わが青春に悔なしもそうだが、黒澤作品も相当に相性が良い。観念的な話と人物たちなのに見られるのは何故だろう。
2019年11月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
巨匠に対して不遜だけれども、正直あまり成功している作品とは思えません
黒澤監督は晩年を除くと基本東宝の監督ですが、東宝争議の間の3年ほど他社で撮っています
静かなる決闘、野良犬、醜聞、羅生門、本作
1948年から1951年の間のこれ等の作品です
本作はその3年間の最後の作品にあたり松竹で撮られたものです
本作は黒澤監督作品には珍しい俳優と常連俳優とのせめぎあいが見所です
黒澤作品の常連俳優からは、志村喬、三船敏郎が出演しています
森雅之、千秋実、久我美子は直近のお気に入りです
千秋実はご存知の通りその後超常連俳優になってます
松竹大船らしさの俳優としては、原節子、東山千栄子です
原節子は、やはり1949年の晩春以降の小津安二郎監督作品のヒロインイメージが強く有ります
本作の当時は、まだその一作だけで次の麦秋は本作公開の半年後の公開になります
ですから小津安二郎常連俳優とはまだ言えないのですが…
黒澤監督作品にはわが青春に悔なしにもでて二度目になりますから、本作の時点では黒澤作品の方が出演が多いことになるのは意外でした
東山千栄子はもとより松竹出演が多いですし、やはり本作以降になりますが、麦秋と東京物語のイメージが強くあります
原節子は晩春での清純の中に秘めた毒のある気の強い一面を大きく膨らましてみせています
黒い毛皮のコートに切れ長大きなの目のロシア風の容姿は松本零士の銀河鉄道999のメーテルのモデルはここから来てるのではと思わせます
対置する役として久我美子の配役も見事です
原節子の逆パターンの美人
原節子がコンプレックスを持っているだろうと思える部分の正反対の女優です
原が165センチで大柄なのに対して久我は153センチの小柄で、肩幅も原の様に張っていなく華奢
原の大きすぎる鼻も、久我は日本人らしく可愛らしく整っています
第一、31歳の原節子が失いつつある、眩しいような20歳の若さがあります
本作の物語は突き詰めてしまうと、二つのタイプの女性を選びきれない優柔不断な男の話です
ですからそのテーマなら、日本一、いや世界一(www)の森雅之の配役も当然です
彼の演技は流石というしかない見事なものでした
ところが、これ等の俳優達が素晴らしい演技を展開する中で三船敏郎が浮き上がってしまっています
常連俳優とは言え、一連の配役の中で彼を配役するとした計算がまず疑問です
そして彼の衣装、メイク、住居の美術も原作のロシアイメージに振れてしまってます
原作の映画化にあたっての、日本の物語への翻案のレベルが揺れてふらついているのが、そこに現れていると思えます
黒澤明監督らしい、焦点を絞りこんだテーマと考え抜かれ研ぎ澄まされたプロットといったものが甘くなっているように感じます
だから当初4時間超もの長さにもなってしまい、短縮事件にまで発展した淵源はそこにあるのではないでしょうか?
助監督には若き野村芳太郎が松竹からついています
黒澤監督から有能さを誉められ重用されたとのことです
野村監督の特に松本清張原作の張り込みなどには黒澤作品の風合いが乗り移っていますから、本作を含む黒澤監督が3年間他社で映画を撮ったことは、日本映画界に化学反応を起こした大変に有意義なことであったのだと思います
2019年8月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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主人公が誰にでも良い顔をするから、どっちなの?とイライラ。お金持ちの彼女のわがままで反抗期のような態度にもイライラ。最後のシーンで監督の言いたかった事は分かった。黒澤映画でこんなに難しかったのは初めて。