どん底

劇場公開日:

解説

ゴーリキーの同名戯曲を、黒澤明監督と小国英雄が翻案。陽の当たらない、江戸の場末の棟割長屋に暮らす人々の人生模様をユーモラスに描いた辛口辛口群像劇。黒澤としては珍しく短期間・低予算で仕上げた作品といわれる。入念なリハーサルを繰り返し、本番では複数カメラで一気に撮り上げた。物語のほとんどが長屋の中で展開されていながら、極限の臨場感と緊張感を見るものに与える複数カメラ演出が光る。

1957年製作/137分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1957年9月17日

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映画レビュー

4.0ゴローロップ

2023年11月7日
iPhoneアプリから投稿

藤原釜足が良い。こいつは春から縁起がいい。気持ちは晴れても、そこはどん底。自らの心の波風など鎮めてしまいたい。安寧を得るために空想で長らえて何が悪いか。固執して這いずって何を得るのか?どうせそこもどん底。
セッションが如くグルーブが突き動かすラスト。届く悲報に捨て台詞から完。大昔に一度見ただけだがこの潔さは記憶に刻まれていた。

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Kj

5.0明日も明後日も不幸…

2022年11月19日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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777

4.0我慢して見るべし

2022年1月12日
PCから投稿

黒澤明はなぜこの映画を撮ったのか?黒澤は、この映画の後、立て続けにアクション映画ばかり撮ってそれが大成功して全盛期を作った。その前にこの映画をなぜ短期間で撮り上げたのかということは着目に値する点ではないかと私は思う。黒澤は三船敏郎という俳優をえてアクションを撮り始めるわけであるが作家としては本来そうではない。この作品ようなものを描くタイプなのだ。それは映画監督にデビューする前に20代で書いた「だるま寺とドイツ人」と晩年に撮った「8月のラプソディー」という映画の内容がとてもよく似ているという点からもはっきりしている。黒澤明は面白いことに作家としての資質と監督としての資質がズレているのだ。監督としてはどうしてもアクションを撮りたいのであるが作家としてはどうしても人情ものを書きたい人であったのだ。そしてこのタイミングで「どん底」を撮った。黒澤は作家としての自分を終わらせるためにこの作品を撮ったんじゃないかと思う。
さて、この映画は見る前にひとつだけ予備知識が必要である。それは決し手に汗握るとかワクワクする映画ではなく我慢して見るべき映画だという点だ。三船敏郎が出ているが決して主役とは言えない。カッコよくもない。いつもと違って感情的になりやすく頭が良さそうに見えない。この映画は群像劇なのだ。それをまず最初に知ってからじっくり我慢して見る気になってみよう。見終われば、何かよくわからんがグっとくるものが塊のように心に残ることだろう。
カメラワーク的に面白いと思ったのは一番最後のちんじゃらどんどんのシーンだ。この部分ではアップが多用されている。全体的にアップが少なめなのにここんところで大胆にも多用しているのはちょっと度肝抜かれるものがあった。アップを使うことによってそれまで江戸時代の人物たちを見ていた感じから、昭和の俳優を見ているような感じに変わった。「どうです?この俳優たち、魅力的でしょう」という監督の声が聞こえてくるような気がした。この部分の演出により暗い話が少し明るい雰囲気になり地味な映画が少し楽しめたような気分がしてくる。そして最後の締めくくりがまたアップで終わる。これは途中でアップを多用していたからこのラストが決まったんだと思う。「これは映画ですよ。劇ですよ」って感じに。
地味ではあるが白黒映画の魅力に富んだ、とても面白い映画だった。

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タンバラライ

3.5好きだけど、もったいない

2021年12月6日
Androidアプリから投稿

原作も黒澤映画も好きだけど、前半が長すぎる。
生き方で悩める人が観るべきなのに、すべてクリアする前に挫折するだろう。

馬鹿囃子はクライマックスだけで充分。職人の妻のくだりに時間かけ過ぎ。暗くなるだけ。

左卜全が魅力的で憧れるが、なにより山田五十鈴が黙っていても笑っていても情念が恐ろしくて良かった。

それだけにもったいない。

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K・M