天空の城ラピュタ

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劇場公開日:

解説・あらすじ

「風の谷のナウシカ」の宮崎駿監督が原作・脚本も手がけた、スタジオジブリの長編劇場アニメ。ジョナサン・スウィフトの「ガリヴァー旅行記」に登場する天空の島「ラピュタ」を題材に、少年と少女の出会いと冒険を描いた傑作ファンタジーアドベンチャー。

鉱山町で見習い機械工として働く少年パズーは、空に浮かぶという伝説の島ラピュタに行くことを夢見ている。そんな彼はある日、空から降ってきた不思議な少女シータと出会う。2人は、シータの身に着けていた不思議な「飛行石」をめぐり、非情なムスカ大佐が率いる特務部隊や軍隊、女親分ドーラと空賊一家たちが繰り広げる戦いに巻き込まれていき、空の上にあるラピュタを目指すことになる。

「風の谷のナウシカ」(トップクラフト制作)の成功を受けて1985年に設立されたスタジオジブリが制作。プロデューサーは宮崎監督の盟友・高畑勲が務めた。音楽も「風の谷のナウシカ」に続いて久石譲が担当。声優はパズー役に田中真弓、シータ役に横沢啓子、ドーラ役に俳優で洋画の吹き替えなども担当した初井言榮、敵役のムスカも洋画の吹き替えなどでも活躍した俳優の寺田農が務めた。

1986年製作/124分/日本
配給:東映
劇場公開日:1986年8月2日

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映画レビュー

5.0二人の幸せを祈らずにはいられない。

2024年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、TV地上波

 このサイトでもトップランクの高評価を誇る作品。宮崎駿監督の作品として、名作となることが宿命であったと聞きます。私の中でもジブリ作品の最高傑作といえば、ラピュタに他なりません。何度、繰り返し見たか判らない。
 この作品の魅力とは何だろう。宮崎駿監督が宿命を果たすべき方程式は何だったのだろう。それを考えれば結論は一つ。聖書にある「失楽園」への回帰ではないかと思うのです。
 天空=天国、天界。城の中心、「でっかい飛行石」を守る巨大な木といえば、「エヴァ」でもあげられた「セフィロス・ツリー」。「ソドムとゴモラを滅ぼしたインドラの矢」って、ヒンドュー入っちゃってますが、「聖書に纏わってます」というサインがゴロゴロしてます。何故、聖書に纏わる話にしたのか。それは、「誰もが知ってます」「誰もが感動します」「誰もが魂に刻んでいます」「誰もが心を震わせます」ってことではないでしょうか。宮崎駿版「エヴァンゲリオン」といっても過言では無い。
 そして、それを目指すパズーとシータは、他ならぬ「アダムとイブ」で間違いない。恋仲、夫婦などという「別れる・切れる」余地など微塵も無い、絶対のカップリング。愛し合う男女の中ほど見るものを引き付けるものはありません。危うさゼロの安心感が、例えようのない心地よさ。クライマックスの「バルス」は「死ですら二人を分かつことの出来ない婚姻の誓い」に他なりません。
 そうとみれば、それぞれ男性として、女性としてそれぞれ魅力的なキャラなんですよね。親方や海賊船のじっちゃんにドヤされながらもシャキシャキ働く男前なパズー。荒くれの空族を賄うシータの料理の腕っ節もさながら、「お願い、パズーもそういって」などと一緒に居たいとゴネるシータのいじらしさ。爆笑するドーラも流石は女、シータの思いに感づいたのでしょう。
 岡田斗司夫氏の解説に感化されてしまってるのですが、宮崎駿監督の独特のエロティシズムも見逃せません。パズーに飛行石のペンダントを付けてあげるシータ、二人の縄を解こうとするシータ、タコに乗ってパズーの背中にギュッと抱きつくシータ、これらのシーンにエロを感じる私の心はやっぱり疚しいのでしょうか。そもそも、宮崎駿監督って結構エロいシーンを交えちゃってますよね。岡田斗司夫氏の解説から「水溜まりに映るキキの脚」とか「アシタカの横で眠る裸足のサン」とか「ナイスバディなナウシカのカメラのアングル」とか。小説(絵物語でしたか)「シュナの旅」で、髪をかき上げて鎖を解いて貰う扉絵にエロを感じる私はやっぱり疚しいのかも知れません。
「ジブリ飯」なら公序良俗に反すること無く、よく話題になりますが、こうした男女の交わりもまた、見るものを刺激するための薬味であるし、目について離れません。こうした人の生理的欲求を刺激することが、作品作りの大切な要素であると思うのです。
 マズローの欲求5段階説でいうところの、食欲、(性欲といっては露骨なので)恋愛要素の生理的欲求。パズーとシータの綱渡りのような冒険シーンは安全性に関する欲求。それら人間の欲求を余すことなく満たすことに、宮崎駿監督は長けているなと思うのは、私の素人考えでしょうか。長々と書きましたが、端的に言えば、メシとエロが大事だってことです。
 それでも、不完全さを醸し出すことも忘れていない。金貨を貰って投げ棄てようとするものの、貧しさから出来ないパズー。空族の子分達を手伝わせるシータの小悪魔振り。完全じゃない、やっぱり人間だなあって思わせる。やっぱり設定モリモリの完全体なキャラでは駄目だっていうのも宮崎駿監督の哲学でしょうか。
 そしてラストシーン。動力の無いグライダーのタコに乗って、シータとパズーは去って行く。どうなるのか。嵐で吹き飛ばされてしまうんじゃ無いか。不安で仕方が無いけれど、二人の無事を祈らずにはいられない。だからこそ、この作品が心を掴んで離さない。
 思わず長文に及んでしまいましたが、これらが全て、「ラピュタ」の魅力であると私は想います。ああ、もう一回見よう。あと、もう一回だけ。
(鑑賞日は今日の日付にしてますが、最初にいつ見たのかはもう覚えていません)

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猿田猿太郎

5.0そのシャツ、誰が縫うんだい

2023年6月24日
スマートフォンから投稿

楽しい

興奮

幸せ

中学生の頃に映画館で鑑賞。
その後何度観てもハラハラ、ワクワク、ドキドキ…スピード感、謎解き感、音楽、、、どれを取っても大興奮の宮崎作品。
いつどの年代で観ても新しい発見があり、いつでも初めて観た興奮が蘇る、童心に戻ってしまう映画です。
名作です。

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ホビット

5.0冒険活劇作品としてはストーリーも壮大で人間ドラマもしっかり描かれた類まれな良作、40年近く経っても本作以上の作品はなかなかお目にかかれないですね。

2025年6月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

ドキドキ

約65年の歴史に幕を下ろす丸の内TOEIさんにて『さよなら丸の内TOEI』と題した特集上映が開催中。
本日は『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『魔女の宅急便』の劇場大クリーンでの貴重な上映に参加。

『天空の城ラピュタ』(1986年/124分)
実質上のスタジオジブリ第1回作品。
本作とタイアップした味の素の炭酸飲料『ライトフルーツソーダラピュタ』CM内で小幡洋子氏歌唱のイメージソング『もしも空を飛べたら』が大量投下され、私の周囲でもジブリの新作にザワザワしはじめた頃でしたね。

本作も公開当時は劇場鑑賞ができずに『金曜ロードショー』で何十回も視聴、本日劇場大スクリーンでの初鑑賞となりました。

『未来少年コナン』のような漫画映画の復活を掲げ、対象年齢を小学生中心とした古典的なボーイ・ミーツ・ガールの冒険活劇作品に仕上がっており、とっつきやすさもありジブリ作品でも1位、2位の人気ですが、『風の谷のナウシカ』でも描かれた文明発達への警鐘や自然との共生もきちんと描き出しています。

主役のバズ―(CV:田中真弓氏)、シータ(CV:横沢啓子氏)二人の魅力、さらに心優しき空中海賊『ドーラ一家』の面々やTVアニメ『ルパン三世』「さらば愛しきルパン」でも登場したロボット兵などの登場キャラクターの描かれ方が、どれも魅力的で良いですね。

監督お得意の空中シーンは迫力と疾走感がさらに進化、作画の緻密さと美麗さも向上しています。

冒険活劇作品としてはストーリーも壮大さで人間ドラマもしっかり描かれた類まれな良作、40年近く経っても本作以上の作品はなかなかお目にかかれないですね。

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矢萩久登

4.0もはや日本人の一般教養

2025年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

楽しい

興奮

癒される

改めて観てみると、宮崎駿の好みが一貫して出ているものだなと妙に感心する。
飛行機、飛行船、ロボット、土着的な失われた秘宝の国、品行方正な女の子、冒険と人間味あふれる頼れるご年輩。
それがつまっているこの作品が面白くないわけがない。

ラピュタが地上波放映される日には、日本でのSNSにおいてものすごい勢いで例の滅びの呪文ワードがのびる。
もうこれってほぼ日本の一般教養6割は超えてるんじゃないかって勝手に思うのです。

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ひよこまめぞう