劔岳 点の記のレビュー・感想・評価
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もう一度、みたいですね
原作は読んでいないので、比較はできませんが、淡々と進んでいく話の中に、人物達の言葉ではない心の通じ合いが描かれてとても感動的した。 写真をやっているものにとって、山の映像は、とてもすてきで、こんな写真を撮りたいと思わせてくれます。 今の日本人にかけているような、昔の人間関係をすばらしく、表現されていたような気がします。 是非、一度みてみるといいと思います。
剣岳
とにかく、映像はすごかったですね。 夕日が実にすばらしい。 暴風雨の映像も、雪崩の映像も、大雨の映像も、 やっぱり、ほんものはすごい。 役者たちも、こんな過酷な自然のなかでよく演技できたな。 と驚嘆する・・・。 でもですよ。 それが何度も、何度も、流されると、う~ん、またか。 となってしまったんです。 それに、決定的なのは出演者がみんないい人だってこと。 木村監督は言っていた。 「この映画には悪い奴は出てこない。 勧進帳悪にはしたくなかったんだ」 それはそれでいいんだけど、決定的に悪い奴はいないにしても、 気分が乗ってないやつ、バイオリズムがどうも合わない奴は いるでしょう。 こんな過酷な自然に対して、人間の側ももっと、 過酷であっていいと思うんです。 その掘り下げ方が弱いんな~と思うんです。 浅野にしても、香川にしても、もっと深めようとすれば、 個性が出てくるはずの役者なのに。 なんかサラと終わってしまった。でも、時間だけは経っていた、 そんな感じの映画でしたね・・・僕の感想では。 木村監督・・・こんどは自然だけでなく、人間の心の紆余曲折 もカメラに修めてほしいですね。(ちょっと、辛口ですね)
自然の美しさと怖さ
まずCGを使わずに作られているという話を聞いていたので、見ながらどのように撮影されているのかが気になりました。 美しい景色、でも山や自然の怖さも感じました。 撮影はとても過酷なものだったと思います。
・・・なぜにA評価?
ホンモノの大自然の中でやっているというのはリアリティでいいんだけど、あまりに過酷で逆に俳優ってスゴイ!あんな細身で体力あるだのよく飛ばされないな~だの余計なことばっかり考えて集中できなかった。ここまで大自然の中で過酷だと(もちろんそれが現実なんだけど)逆にいつも別の映画で見てる俳優がその中でまさにちっぽけに見えるというかわざとらしく見えるというか・・・。超現実とつくりもののギャップを見せつけられた感あり。大自然にここまでこだわったのだから中身にもっとこだわらなければせっかくの苦労がだいなしな気がする。折しも中高年の山ブーム、つくりものの方より大自然のドキュメンタリー性の方が勝って20万人突破の映画かなという気がする。私には残念ながらC評価。浅野忠信は喋り過ぎ、香川照之はウマいと思うけど善人なだけではつまらない。映画のキャラだから仕方ないのは分かっている上で。
スクリーンでなければ味わえない壮大な映像美、しかし致命的な欠陥も...
久々にスクリーンで映画を見る醍醐味が味わえた作品だ。画面の中で、立山連峰や日本アルプスの山々の四季が、昨今のCGでは到底不可能な映像美で表現されているのが何より素晴らしかった。中でも、立山連峰から一年にそう何度も見られない富士山の眺望は、スクリーン上とはいえ、大いに感激した。 しかし、それほどの美しい自然美あふれる映画の中で語られる、人間たちの描き方はとても貧弱だ。「こんな大自然の中で人間の存在はちっぽけなもの」と、出演した役者さんや演出スタッフの言葉にもあったが、そのちっぽけな人間がどのように大自然と対峙するのか、という点が致命的な欠陥による演出によって描ききれなていなかったのは不満が残る部分だ。「この作品は自然が中心、人間はその次」と言うのなら、最初からドキュメンタリーを撮ればいいことである。 この映画の致命的な欠陥とは、ナレーションの使い方だ。最初はほとんどないように作られているのか、と思いきや、突然、主演の浅野忠信のナレーションが入ってくると、たいして必要のない、非常に中途半端なタイミングでナレーションが入ってきたのには困惑するばかりだった。 実は、この作品においてナレーション説明というのは重要なファクターになるはずだった。それが顕著なのは、いよいよ剣岳山頂に登るときの雪渓を登山隊が行くシーンだ。この場面、とても緊張感があるはずなのに、あまり説明もなく淡々と登るので、大変さが観客に伝わらない。しかし、たとえばヒマラヤの登頂難攻の山では雪渓のクレパスに落ちるかもしれない、という危険と背中合わせなのだから、当然、剣岳でも同じ危険がある。だから、ナレーションで「思わぬ割れ目に落ちて命を落とすかもしれない。だから、我々はそっと雪渓に足を下ろしながら歩いた」などのような説明があれば、観ている側にも怖さが伝わっていたと思う。観客の大多数は、屈強な登山家などではないのだから、登山の危険性や装備の違い(民間の登山隊と測量隊との装備の違いも説明不足)などナレーション説明が必要な箇所はいっぱいあったのに、それをせず、観客に剣岳の真実を伝えきれていないのは、この作品の欠陥というしかない。 しかしながら、撮影スタッフの苦労はいかばかりだったか、それは尊敬するばかりだ。エンディング・タイトルに役割名をつけず、名前だけを列記していったのには、役割で苦労の区別などつけられないという、監督のスタッフに対するねぎらいの情が感じられた。私はこの作品、もっと脚本に神経をつかっていれば、とてもいい出来に仕上がっていたと思う。だから、木村大作氏の失敗作とは思っていない。今度は、もっといい脚本で映画製作にもう一度、挑戦してほしいと願うばかりだ。
自然界の過酷さと美しい景色、それが全て・・・
劔岳、憧れの山である。穂先だけの槍ヶ岳や、大きな岩山の奥穂高の比ではない。そのギザギザした山容、尖った登山道、百名山の中でも屈指の難しい山だ。生半可な技術では登れない。物語は明治の話で、まだ登山道も整備されていなければ、装備も近代的でなく、古臭い。でも、登山のきつさ、つらさ、こわさと共に素晴らしさ、感動、眺望の美しさが描けていたと思う。CGではたぶん描けなかっただろう。また、山の登り口を探すというのも、興味深い過程だった。主眼は三角点を立てることかもしれないが、はじめて登るということはこういうことなのかと思った。雪渓は道がわかならくなるし、裂けると怖いので、そこから登っていくのはかなり勇気がいると思う。残念なのは、人物描写で物足りなさを感じた。類型的で、そこからの飛躍がなかった。主演の二人は文句はないが、軍部や家族など周辺の人物があの雄大な景色に負けていたと思う。
素晴らしい!映像、日本の美しさ!
富山県人のわたしにとって、まさに誇れる いや、日本人としてこの国に生まれて良かったと思える映画です。 映像の美しさは言うまでもなく、日本人の心とは?を今まさに問い直す人間ドラマでもある。 浅野忠信は淡々としていながら、内に秘める使命、仲間たちに心から信頼される男。 香川照之のあくまでも脇役に徹し、柴崎の使命を支える男。 出演時間は短いが、宮崎あおいの使命に挑む柴崎をこころから支える優しい妻。 とくに宇治長次郎を演じる香川には監督の映画人生を投影しているようだ。 まさに真の自然の美とは、死と隣り合わせの場所でしか観られないのかもしれないのです。 そんな絶景を擬似体験できるだけでも観る価値はあるのではないでしょうか?
トラウマの克服はならず
劔岳は10年以上前に登った。山に登るくせに高所恐怖症な私にとって、未だに思い出すと怖気が走るルート(ポピュラーな前劔からのルート)だった。本作で客観的に登る姿を見てトラウマ克服と思ったが・・・別ルートからとは。しかも山頂の辺は、はしょっている・・・・・残念だ。ノブが滑落するシーンで恐怖だけは少々蘇った。
映画についてだが、道無きところに道を作る。これだけで感涙する。何気に歩く登山ルートも最初に誰かが苦難の中で切り開くものであり、その姿を見ていると客観的な視点は飛んでしまう。
無茶なスタントまでさせて(雪渓で滑り落ちるのは経験してるだけにドキっとするシーンだった)、あくまで山での撮影にこだわった監督に敬服する。淡々と職務をこなす姿を描くことを積み重ねていくスタンスも今時珍しいタッチで好ましい。故に最後のトライが輝くのだ。役者も皆良い芝居をしている。
難を言えば、鳴りっぱなしの音楽が耳障りな点と、宮崎あおいの後半のシーンが長すぎて不要に思えること。音楽については「旗」のシーンで一切流さなかった。ここは嬉しい。
監督・カメラマン視点で映画を観る
大作でした。音楽と山岳自然映像が大作感を盛り上げ、
時代考証もまた、昔の大作感を補足しています。
映画宣伝で『真実の映像』とのことで
映画を観ながら頭の隅では『真実の映像』『CGなし』『撮影苦労』が繰り返され
終始、そのことを納得、確認、想像して見てしまいました
余計なことを考えて見ていた訳で、あまりストーリー集中できなかったかも。
しかしながら、監督・カメラマン視点で考えながら、
映画を観ることを、推奨され新しい体験ではありました。
そして、考えたりしなければ静かめの映像は奇麗だけど
飽きていたかもしれず、宣伝を聞いてからいって良かったと思う。
見所テーマは
※陸軍わがままメンツ重視=実直主人公と対立
※主人公困難を克服し登頂することの意義=仕事への疑問葛藤
※山岳案内人としての、生きザマ、生甲斐、美学
※信仰の宗派対立、息子との距離
※案内人、主人公、それぞれの家族への係わりかた
※陸軍と民間山岳会との初登頂争い
全編通して終始まじめな印象でした。
山って怖いよね。
本当に撮影どうやって撮ったの??って思うように凄くリアルで… 山が色んな顔してるのよね。 そりゃ登山大好きなお方には申し分ない傑作なのかもしれないけど… ちょっとダラダラ感が拭えない気がしたのと 盛り上がりが弱いって思っちゃいました。 宮崎あおいちゃんは可愛い奥さんを好演されてたと思います。
日本映画の王道。コレは本物!
CG、デジタル全盛のこの時代に、敢えて“人間力”で挑んだ本作。力技の感じられる、正に“本物の映画”でしたよ。 名カメラマン木村大作入魂の監督デビュー作。これまで、数々の日本映画の名作を撮り続けてきたその手腕は、本作でも如何なく発揮されております。『空撮を使わずに、山の映画を撮る』なんて、常人では考えられないことを、この映画ではやってしまっているんです。そしてその映像は、もう“圧巻”という他に表現のしようがないほど、見事な仕上がりで、スクリーンに映し出されます。ホント、素晴らしい!!ただただ脱帽です。 映画そのものは、非常に淡々としたペースで物語が進んでいきます。ホントに淡々としてまして、描かれているテーマからすると、もっと盛り上がりがあってもいいのでは?と感じられるほどでした。しかし全編を通して流れる、池辺晋一郎 氏の手による音楽と相まって、“古き良き時代の日本映画”というテイストがプンプンしてくる“大人の映画人による本物の映画”だったと思います。木村監督の思い、そしてそれを受けた役者達、スタッフ達の熱い思いが伝わってきます。 当時、地図の作成は国防の観点から行われていたのだということも、なかなか興味深い話ですし、“陸軍VS山岳会”というような争いがあったことも、歴史的に面白い話だと思います。ご存知の方もおられたでしょうが、吾輩は初めて知りましたので、結構導入部から話にひきこまれていきました。そういう歴史物(それも近・現代の)としての映画としても、充分見応えのあるものに仕上がっています。 公開前に、あちこちのTV特番で、監督やメインキャストたちが出演して、撮影時の裏話なんかを話してましたが、これが相当ムチャで面白かったんですよ!『そんなことしたら、死んじゃうよ!』てなことが、平気で山の上では行われていたようでして…。でも皆さん、とても充実した顔をしておられるんですね。うん、一つの大きな仕事をやり遂げたって感じで。この映画は“泣かされる”というより、その映像の美しさ、素晴らしさに“圧倒される”と言った感動が味わえます。やはり映画館の大スクリーンでこそ、その良さを体感していただきたいですね。興行の方も大ヒットだそうですが、この映画が当たるっていうのは、イイことだと思います。日本という国のマーケティングの健全性を認識する上でも。うん、ホントに“イイ映画”でした。
地元です。
原作も読んでから映画を見たので、とてもわかり易かったです。まだ見てない人は、ぜひ原作を読んでから行ってください。 監督さんは、トップクラスのカメラマンです。その彼が撮った映像ですので、それは素晴らしいものでした。 立山の剣の雄大さ、厳しさが、とても良く出ていたと思います。 CGやヘリ撮影を一切使わず、実際に山に登ってそこで撮影された映像です。そして、順撮りしているので流れがとてもスムーズでした。 試写会の前に、メイキングの映像の試写も見せていただき、舞台挨拶も聞かせてもらいましたが、撮影は命がけでした。 ぜひ、そのことも踏まえてご覧ください。
劒岳
2度見ました。数十年前ワンゲル部に所属して、様々な山を上っていましたので、山々の風景が懐かしく、その頃の事を思し、又感動しました。景色の映像のすばらしさ、過酷な条件での登山等、いっさいのCG等を使用しない撮影とのことで自然そのものの雄大な情景が迫ってきました。
日本映画の新しい名作
CGや空撮を一切使わず、文字通り体当たりでこのシャシンを完成させた演技陣にも撮影陣にも、惜しみない拍手を送りたいと思います。 日本を代表するカメラマンとして、数多くの仕事を手掛けて来た木村大作氏だからこそ撮ることのできた、拘りの映像は、時に息をのむほど美しく、時に過酷な自然の猛威を臨場感一杯に捕えてくれました。 この物語の一つの背景として、日本の近代登山を先駆して来たとの強烈な自負心を持つ帝国陸軍参謀本部は、創設間もない日本山岳会が未踏の剱岳を目指すことを知り、剱岳初登頂を是が非でも陸地測量部にさせねばならないと決めたことがあるのだけれど、その至上命令を下された測量技師たちは純粋で、日本地図の空白を埋めるために剱岳に三角点が必要だとの思いから、粛々と測量の仕事をこなしながら、登頂を目指します。 その過程で、何のために地図を作るのかを改めて考え、それはその地域に生きる人々のために作るのだ、との結論に達し、「人がどう評価しようとも、何をしたかではなく、何のためにそれをしたかが大事」だと悟ります。そして彼らは、初登頂に成功するのですが、剣岳山頂で彼らが目にしたものは・・・ この山頂直下で、案内人の宇治長次郎が測量手の柴崎芳太郎に、山頂への第一歩を譲ろうとしたのに対し「あなたはもう仲間なのだから、先に行ってください」と言い、他の技術者たちも力強く頷く場面には、山屋のはしくれとして、思わず涙がこぼれました。 そして、帝国陸軍の不条理さ。高級軍人の、人の命も尊厳もまるで意に介さない非情な姿(まぁ、そうでなければ戦争など遂行できませんね^^;)も、定型的ではあるけれど、良く描けていたと思います。 そして、演技陣・制作陣の職種を分けることなく、「仲間たち」として平等に並べられたエンド・タイトルにこの作品を仕上げたことへの誇り。この作品に関わったことへの誇りが、見事に表現されていたと思います。 僕は新田次郎の作品は好きで、かなり読んでいるのだけれど、この作品は読み落としていました。是非読んでみたいと思います。
大変という大前提。
まだCGなど存在しなかった時代、
過酷な風景を作るなら、実際にそこで撮るしかなかった。
監督、俳優、スタッフ全員で苦労を重ねても、満足のいく
映像が撮れるのは、ほんの稀な時間だったに違いない。
それでも観る方は、それが当り前だと思っていた。
リアルな映像しか有り得なかった時代に、それを謳うため
やれ、ハリウッドに比べてチャチだ、屑だ、と言われても
少ない製作費で(汗)それなりに邦画は頑張ってきたのだ。
それが今になって、
当たり前にあり得ない映像が観られるようになってくると、
こういうリアルな映像美に人間は惹かれ始めるのだろうか。
不思議だなぁーと思う。が、私のような(特撮も好きだけど)
リアル全盛時代の映画を観てきた人間は、やっぱりこれが
カメラマンの、撮影監督さんの、仕事なんだよなぁと思える。
以前に女性カメラマンが撮った映画を観た時もそう思った。
プロの仕事は、絶対に負けてないのだ。その分野では。
この映画の宣伝は、イヤというほど見てきた(爆)
んまぁ~よく喋る監督さんだ。怖いくらいガナリっぱなし。
主演の浅野忠信が、出演を打診された際のエピソードでも
「考えさせてください」と言ったところ「ハイ、やります!」と
とられたんだそうだ^^;しかも彼の作品など一本も観ずに
雑誌の表紙で決めた!というのだから凄い^^;千里眼か?
でも各々のエピソードを聞けば聞くほど面白く、興味がわく。
どんなに過酷な現場だったか、想像するだけで怖いくらい。
俳優は、おそらく山岳会のメンバーでは、ないので^^;
それが、担いで登って、落ちて、登って…演技。するのだ。
皆さん(監督もね)本当にお疲れさまでした。しか言えない…。
映像の素晴らしさと、スタッフ、俳優たちの苦労を思えば(爆)
本当にいい映画でした。と締めくくりたいところなんだけど、
残念なことに観る方は、果たしてそんな苦労よりも仕上がりだ。
シェフがどれほど素材にこだわろうが、美味しくなければ終わり。
どんなに撮影に苦労した映画も、作品の出来如何がすべてだ。
撮影面では威力を発揮した監督だったが、演出面では今一歩。
もっと深いドラマに出来ただろうに~!と思うと非常に惜しい。
あんなに過酷な山を命を賭して登ったのに淡々としている浅野、
高山でも演技が衰えない香川、チラ出でも存在感の役所など
巧い俳優と、いい場面が揃ったが、見せ場と纏まりに欠ける。
やっぱり山を撮る方に全霊を向けちゃったあたりが惜しいのだ。
(適材適所。もの作りはそのすべてが叶って完成度を上げる。)
「日本映画」の最新作
古き良き日本映画らしい日本映画でした。 日本映画を代表出来る作品だと思います。 近年の利益を見込んだ大衆作品がとても小さく見えました。 昔ながらの演出、愚直なまでに“生”にこだわったCG・空撮なしのリアルな画、 そのすべてが「日本映画」というジャンルに対して敬意を表していました。 僕のような若者にとってそういった古き良き演出は、逆に新鮮で、新しかったです。 浅野忠信、香川照之がメインキャストですが、この2人の存在感は抜群、流石の貫禄でした。 その台詞ひとつひとつが重みが有りました。 役所広司も良い味でした。 そして、僕は宮崎あおいさんのファンなので宮崎あおいさんが出てるから観に行った愚かな若者なんですが(笑)、宮崎あおいさんの存在感はまさに紅一点。 篤姫の以来の和服姿で、その容姿は貫禄のオーラを纏っていて、良き日本の妻を演じ切っていました。美しい存在感。 しかし、「(山登りの)男たちを支える家族」というテーマもこの作品では掲げていますが、そこはあまり描き切れていないのが残念でした。 測量士たちの生き様がメインで、家族は二の次になってしまっていたのが残念です。 全体的に真面目な…実直な作りの映画で、僕みたいな若者がもの申すのも申し訳ない程です。 ただ心のままに、感じたままに受け止めます。
撮影時の苦労を実感^^
木村大作監督の宣伝効果あってか たくさんの年配の方々が観に来てましたね^^ とにかくスケールが大きい!!! 壮大な山岳地で、 実際に重い荷物を背負ってのキャスト陣の苦労が そのまま映画の表情にリアルに滲み出ていて 自然と闘う男達の偉大な姿に涙が出ました。 特に香川さんの演技には圧巻!!! 本当に「山の男」って感じで迫力がありました^^ 彼で正解っ! 私たちが何気なく見ている日本地図。 その中には、 昔の人たちの生と死を賭けた壮絶な生きざまが 隠れていたんですね。 これからは、 地図を見る時の気持ちが変わりそうです。 6月23日109シネマズ高崎にて観賞
驚愕の山岳映像なのだけれど、人物描写が足らなくて淡々としてしまったところが惜しいです。
昨年の完成ラッシュの感想通り、驚愕の映像でした。 冒頭の劔岳山麓の紅葉シーンは、山の頂上まで紅葉が登り詰めていて、息をのむ美しさです。立山連峰を仰ぐ映像は、一つ一つの山々のカットが重厚で神々しく映し出されていました。映像から推察される撮影位置から、撮影隊の困難さが忍ばれます。 本作は、ドキュメンタリーのように自然現象とも格闘していました。春から始まる本番の登頂シーンでは、山頂に近づくほど冬景色となります。吹雪の中でも登り続けるシーンや低気圧の通過で、考えられないような暴風雨のなかを出演者もスタッフも耐えながら撮影したシーンに感動しました。どうしてそうまでして映画に取り組むのかと。 それだけではありません。松田龍平は、雪崩のシーンで数メートルも穴のなかに実際に埋められてしまったり、劔岳南壁では、崖から墜落し、雪原を滑落していくシーンに挑戦していました。仲村トオルも、雪の崖から足を滑らし、ロープ一本にしがみつき助け出されるというシーンなど全編を通じて、危険なシーンが多々あり、よく無事で帰ってこられたものであると驚きました。 映像面ではもうしない分、ストーリーでは人間の喜怒哀楽がセーブされてしまったキライがあります。 何しろ中心人物の柴崎が寡黙な男なので、感情移入しづらかったのです。劔岳征服を競わされている日本山学会の一行にも淡々とした態度で、ライバル心のかけらも見せません。 宮﨑あおいが演じる柴崎の妻葉津よがとても甲斐甲斐しく、そっと夫に気付かれぬようお守りを登山リュックに忍ばせるなど、夫を慕う心情がとても良かっただけに、もう少し夫婦の葛藤を描いても良かったのではないでしょうか。 命の危険もある登山であるのに、裏庭にピクニックでも行ってくるかのように、無表情に柴崎は劔岳を目指すのです。葉津よが不安がるところがないのは、チョット考えられませんね。 カメラマン上がりの木村監督は、もう撮影に一杯一杯で、心理描写まで気持ちが回らなかったのではないでしょうか。 長治郎の葛藤も不十分でした。測量隊が山岳信仰の中心地を汚す行為だと非難する村人や行者の抗議の声を強調しておけば、息子との不和の理由がよく見えてきたことでしょう。でも、その息子からの手紙で、オヤジの仕事として認めてくれたとき流す、長治郎の涙には、ホロリときました。 どんな子供も親の背中を見て育つのでしょうか。 ホワイトアウトになって、吹雪で行く手が閉ざされても、登山者のためにベストを尽くそうとする長治郎の人間味に惚れました。香川照之の熱演ぶりは実良かったです。 さてストーリーのキモとして、陸軍の直轄の陸地測量部で唯一残った立山連峰の三角点設置に取り組むという内容。けれども軍部は、地図の作成よりも、山岳会に劔岳の初登頂を超されたくないというメンツで、柴崎に登頂を厳命します。 そのためストーリーでは、想像を絶する苦難のなかで柴崎はなんども、何のために地図を作るのか、その理由を求めて、苦悩します。 名誉とか対面とか、そうした計らい心を満たす目的でなく、何のために為そうとするのか志を問えという、先輩測量者の励ましは、柴崎だけでなく見ている観客にも、深く考えさせるテーマになっていました。あれだけ過酷な映像を見せつけられると、見ている方も、何であそこまでして地図を作らなければならないのかとため息が出そうです。 柴崎を心強くしたのは、山岳会のリーダー小島のメッセージでした。ともに劔岳の登頂の厳しさに直面するなかで、ただ上るだけの自分たちに比べて、測量という使命を背負った柴崎たちに深い敬意を示すのです。 そんな山岳会のメンバーに手旗信号で君たちも仲間だと伝えるラストシーンにジンときました。 とにかく200日も劔岳に閉じ込められて、こんな映像を取ったこと自体に感動してしまう凄い作品です。出演者たちの苦行ぶりを目に焼き付けるだけでも、CG慣れしてしてしまった映画ファンの目から鱗が落とせることでしょう。
手旗は、口をききたくない奴とも話が出来るから
映画「劔岳 点の記」(木村大作監督)から。
明治40年、陸軍陸地測量部と創立間もない日本山岳会が、
剣岳(つるぎたけ)初登頂を目指して、争っていた。
物語の途中、この2つのグループが、途中でばったり出会う。
その時、相手の荷物に「手旗」をみつけ、
「手旗信号」を情報伝達に利用していることを確認した。
陸軍陸地測量部の「手旗を利用するのか?」の問いに、
日本山岳会のひとりがこう答える。
「手旗は、口をききたくない奴とも話が出来るから」
へぇ〜、面白い発想だな、と軽くメモをとった。
しかし、物語の最後、この台詞が輝いてくる。
裏を返せば、こう解釈できるからだ。
「手旗は、遠く離れていても、気持ちを伝えたい相手に、
しっかり伝えられる道具」なんだと・・。
実は、昔、ボーイスカウトに入隊していた同級生から
「手旗信号」なるものを教わり、必死に覚えた頃がある。
たしかカタカナが基本だったが、相手から見えるように、
鏡に映したような逆のカタカナを体全体で、表現する手旗信号。
現在では、携帯電話や無線で簡単に会話できてしまうが、
1文字ずつ、確実に伝え、確実に読み取るだけの「手旗」のシーンに、
ちょっぴり涙腺がゆるんだ。
作品全体を思い出すには、日本山岳会のリーダーが口にした
「我々は登ることが目的だ。あなたたちは、登ってからが仕事だ」。
これに尽きる。是非、ご覧あれ。
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