ザ・シューター 極大射程 : 映画評論・批評
2007年5月22日更新
2007年6月1日より日劇3ほか全国東宝系にてロードショー
“B級ヒーロー”に徹したマーク・ウォールバーグがいい
マーク・ウォールバーグ演じるボブ・リー・スワガーのキャラクターがいい。元海兵隊の特殊部隊の狙撃手で、腕前は「ゴルゴ13」級。しかも“生身の人間”っぽいサバイバル術も身につけている。「スリー・キングス」→「ミニミニ大作戦」→「ディパーテッド」と増幅されてきたウォールバーグのイメージの集大成ともいうべきマッチョなヒーローであり、スタローンが演じたジョン・ランボーというよりは、チャック・ノリスが演じたブラドック大佐(「地獄のヒーロー」シリーズ)にも似て、何から何まで“B級アクションヒーロー”に徹しているのがいい。
主人公が軍隊出身なのに、左利きの狙撃手として登場する(軍用の銃器は本来右利き用なはず)など、ツッコミの入れどころ満載な、B級映画テイストも魅力の1つだ。アントワン・フークワ監督は、骨太なアクション映画の中に復讐のテーマを織り交ぜ、正攻法のサスペンスとしてグイグイ攻めまくる。そして、 JFK暗殺のからくりも暗示し、戦争には正義はないと説いてみせる。シンプルな構成だが、実は全体に“ひねり”も効いているのだ。
孤立無援状態で戦う主人公を助太刀するFBI捜査官のマイケル・ペーニャも含め、ボブ・スワガーの活躍をシリーズ化してほしいものだ。
(サトウムツオ)