ウイークエンド

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劇場公開日:

ウイークエンド

解説

ジャン=リュック・ゴダール監督が、週末に旅行へ出かけた夫婦が狂気の渦へと飲み込まれていく姿を描いた不条理劇。

パリで暮らす夫婦ロランとコリンヌは、ある週末、コリンヌの実家がある田舎町を目指して車で旅に出る。夫婦にはそれぞれ愛人がおり、コリンヌの父の遺産を手に入れた後で互いを殺害しようと密かに企んでいた。しかし道中で想像を絶する渋滞が発生して人々が集団パニックに陥り、夫婦は次々と異常な事件に見舞われてしまう。

夫ロランを「インドシナ」のジャン・ヤンヌ、妻コリンヌを「女王陛下のダイナマイト」のミレーユ・ダルクが演じた。ゴダール監督は本作を最後に商業映画から一時離れ、政治的映画を匿名で製作する「ジガ・ベルトフ集団」での活動に移っていった。

1967年製作/104分/フランス・イタリア合作
原題:Weekend
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
日本初公開:2002年4月27日

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(C)Gaumont

映画レビュー

2.5苦手な一作

2023年5月14日
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渋滞シーンは確かに面白いのだが、
あまりにも不条理すぎて。

こちらまで夢の世界にいってた

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JYARI

3.5資本主義で明確になった階級。欲望を肥大させる上流階級の人々。性、高...

2023年5月9日
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資本主義で明確になった階級。欲望を肥大させる上流階級の人々。性、高級車(ブランド志向)。

資本主義の成れの果てには、いつも苛立っていて、虚栄心にあふれた人間の姿があった。自分勝手で、効率がよいことばかりを考えている(それが逆に渋滞を引き起こしたり、ケンカが始まったりして全然効率的ではないのだけれど)。

そうすると、すこし立ち止まって考えることを拒むようになり、道中で出会ったアリスを焼き殺してしまう。物語の死。

物語が滅びた後に残ったのは不条理の世界だった(※1)。そのうちに、文明を失い、狩猟と弱肉強食の世界に回帰する。

最後のシーンは、夫の肉が入った料理を超然と食べる女の姿が描かれる。「あとでおかわりするわ」と超然と言い放つ。

人間は文明を失っても、たくましく生きていけるみたいだけれど、わたしは、物語のある世界がいい。「FIN」が表示された後、「物語の終わり」「映画の終わり」と表示された。つくづくこの「ウイークエンド」で描かれた世界がフィクションでよかった、と思うと同時に、世界の物語的なものすべてが、終焉を迎えるという意味じゃないといい、と思ったりもした。

※1 労働階級の人々の思想の独白が印象的。上流階級は物語を殺して、文明を失っていくけれど、労働階級には希望が残されている、ということなのかしら、

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imymay

4.0強烈なメタファー

2023年5月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

他作品と比べなかなか鑑賞の機会がなく、有名な移動撮影を是非みてみたいと思っていましたが、今回漸く思いが叶いました。そして何故今まで出会う機会がなかったのかその理由もわかりました。

1967年8月に、ゴダールはアメリカ映画が世界を席巻し君臨することを強く批判し、自らの商業映画との決別宣言文を発表したわけですが(Wikiより)ゴダールはこの作品を1967年9月から10月にかけて、パリとその近郊で撮影しています(E/Mブックス「ジャン=リュック・ゴダール」)。なのでその作品のテイストは、必然的に、商業主義や資本主義に批判的である政治的な色彩を強くおびることになっているのも良く理解できました。

贅沢三昧・愛人との性的快楽だけを夢見ることだけで結ばれている仮面夫婦。そして有名な移動撮影で延々と映しとられていたのは、労働者たちが、週末にささやかな郊外での休息を求めてドライブに出かけながらも、交通事故や怒号や警笛で、騒然とした渋滞に巻き込まれてしまう、そんな地獄絵図でした。血の海の中多くの死体が横たわる間を抜けて、主人公夫婦はそんなことはお構いなく、とある計画を実行するため、車列を無視し追い越し運転してゆきます。そしてその先には・・・

つまり、当時のゴダールは、モータリゼーションも含めた過剰な消費システムを持つ資本主義社会において、実際に行われていることを、誇張し、悲劇的かつ喜劇的なメタファーとして描こうとしていたのだと思いました。1%の金持ちのために99%が犠牲になっている世界を。そして1%が望んでいるものが本質的にはどういうものなのかを。表現は過激の限りをつくしていて、一部正視に耐えないものもありましたが、それは当時のゴダールの問題意識や怒りが強烈故だったのだと思います。

私は必ずしも最近のSDGsの潮流の中で勢いを増している資本主義全面否定論者ではありませんし、渋滞は嫌ですけど休日のドライブは割と楽しみだったりします^_^。でも誇張されたそのメタファーには多分現代においても、いや現代においてなお一層一部真理が含まれているのだろうなと思います。

確か経済学者の宇沢氏だったでしょうか、クルマ社会はある意味環境資本の犠牲や交通事故犠牲者の上に、そして渋滞という不経済と不快の上に成り立っているので、トータルのコスパは宜しくないという、主張もあり、資本主義社会の象徴の様に言われる事もある様です。なのでメタファーが強烈であり鮮烈であるが故に、作品としての価値は高いのではないかと思いました。

それにしても、こんな映画を商業映画として撮ってしまうゴダール。やはりすごいです。

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pen

4.0不条理な社会を告発したゴダールの不条理映画

2020年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

新しい映画の旗手、ヌーベルバーグを追い続けるジャン=リュック・ゴダールの不条理映画の傑作。作家の夢想する断片の記憶を脈絡なくそのまま映画作品にしたような、自由で奔放な、大胆で独善的なストーリー。週末のレジャー現象に多発する交通事故の悲惨なシーンは、人間の死そのものがドラマチックではなく、燃え上がる車の炎だけが生命感を感じさせる。コリーヌとロランの放浪の旅は、奇妙な夢幻の世界に行き着き、政治批判と文明批評の論理的ユーモアの、完全にゴダールの占領地へ。最後は森林地帯に棲息するゲリラ集団の反倫理の結末。シュールもここまで徹底されると、ゴダールの精神世界の怪奇さは難解であるが、表現者として恵まれた地位にあることも事実。ゴダールにしか作れない、ゴダールだから許せる社会批評であり、孤高の作家の疎外感からの告白論と云えるか。

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Gustav
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