白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々

劇場公開日:

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々

解説・あらすじ

1943年のミュンヘン。ナチスの敗北が迫る中、非暴力的レジスタンス運動を展開するドイツ人学生グルーブ、白バラ。その紅一点、21歳のゾフィーと仲間は、チラシを配布していたところを逮捕され、ナチスに協力することを拒み、6日後という異例な速さで処刑された。この実話を基に描く人間ドラマ。監督は「アンツ・イン・ザ・パンツ!」のマルク・ローテムント。第55回ベルリン国際映画祭銀熊賞、最優秀監督賞、最優秀女優賞を受賞。

2005年製作/117分/ドイツ
原題または英題:Sophie Scholl-Die letzten Tage
配給:キネティック
劇場公開日:2006年1月28日

スタッフ・キャスト

監督
脚本
フレッド・ブライナースドーファー
撮影
マーティン・ランガー
音楽
ラインホルト・ハイル
ジョニー・クリメック
全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第78回 アカデミー賞(2006年)

ノミネート

外国語映画賞  

第55回 ベルリン国際映画祭(2005年)

受賞

銀熊賞(最優秀監督賞) マルク・ローテムント
銀熊賞(最優秀女優賞) ユリア・イェンチ
詳細情報を表示

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最... の関連作を観る

powered by U-NEXT

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画評論

フォトギャラリー

映画レビュー

5.0白バラのゾフィーのように信念を貫き通すこと。そんなことが若い頃の自分にできたであろうか。

2025年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 「勝ち組」「負け組」とハッキリ区別したがる人が多い今の世の中では、自分さえよければそれでいいという個人主義の考えの人がほとんどなのかもしれません。裏切られたという「痛さ」を味わったことのある人じゃないと他人の痛みは理解できないかもしれませんし、優柔不断な世渡り上手じゃないと生きていけない世の中なのかもしれません。

 前半、ビラ配りによって逮捕された21歳のゾフィーとベテランの尋問官モーアとの壮絶なまでの心理戦では、あくまで犯人じゃないことを主張していた彼女が家宅捜索によって得た資料から徐々に崩されていく過程において、ゾフィーの精神面での成長が見られると同時に、ナチスのモーアが何とか彼女を極刑を受けさせたくないという人間らしい気持ちを取り戻す描写が見事。「まだ子供なんだよ。早く大人になりなさい」とでも言いたげなモーアではあったが、仲間は売れないという確固たる信念を崩せない苛立ちを隠せない。そして、「母親も逮捕されるのではないか?」という不安のため、そこを攻められたらお終いだと観ている者も手に汗握る場面でもあった。

 実際に前線のシーンなど出てこないが、スターリングラードでの敗北をひた隠しにするナチス。こうした戦争の生々しさの映像を一切排除して、非暴力の反戦運動を続けた若者の姿だけをとらえた演出は逆に新鮮に感じました。もしや淡々としたドキュメンタリーのような映画になるのではないかと危惧しましたけど、「正義は死なんぞ!」という父親の強い言葉に胸が熱くなりました。そして、99日の死刑執行猶予期間が覆されたあとのシークエンスには言葉も出ないくらい打ちのめされました。

 このような映画を観ると、愛国心教育が取りざたされ、日本国憲法第9条を蔑ろにしようと目論む今の日本の政治とつい比較してしまう。共謀罪などという戦前の治安維持法にも通ずる悪法を通そうとするなんてナチスと同じだ。こんなきな臭い法案が可決されたら、戦争反対という言葉を使っただけでも投獄されることになりかねない。何しろ「戦争したら負けるかもしれない」とか「戦争はよくない」という信念を持つことが許されないのです。もし本当に制定されたなら、「反戦」という言葉を使ったレビューはすべて削除されるでしょう。すぐに逮捕されるかもしれません。いや、もうすでに公安から目をつけられているかも・・・5日間記事が更新されなかったら、新聞の死亡欄をチェックしてください・・・

【2006年映画館にて】

コメントする 3件)
共感した! 3件)
kossy

4.0良心と知識と自由

2022年10月27日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ドイツの通りの名前に有名人の名が使われることが多い(ゲーテ、シラーなど)が女性はまだ圧倒的に少ない。その中でゾフィー・ショルの名前はよく使われる数少ない例だ。ミュンヒェンに行くとショル兄妹を祈念するモニュメントや展示や建物に多く遭遇する。

ショートカットのかっこいいゾフィー。映画ではセミロングだったが言葉に命があり適役だった。あの時代、女性が大学で哲学なども勉強したというのは本当にインテリの女性であり兄であり彼らを育てたリベラルな両親だった。だからこそ「あなたは恵まれているのに」とゾフィーを尋問する男は言う。自分はもともと服の仕立て屋に過ぎない、と自嘲気味に述べる彼の気持ちは誰もが理解できる事かもしれない。少なくとも人民法廷の裁判官よりマシだった。ベルリンからミュンヒェンまでわざわざ来たというその裁判官は大袈裟で狂ったような物言いをする、裁判場面で唯一の人間だった。あとは忖度と同調圧力とナチスのお陰でキャリアアップしたり過去を許してもらって保身を狙う人々。やましい思いでいっぱいのように見えた。あるいは凡庸(悪い意味ではない)。ナチス政権はそういう人々によって支えられたことがうまく映像で示されていた。最後の5日間に焦点を当てる構成が全体を引き締めていた。

ナチス関連の映画を見るのは辛いがこの映画の構成に惹かれて全部見ることができた。

コメントする 1件)
共感した! 3件)
talisman

4.0現実味があり過ぎて

2019年12月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

なぜ退屈しないか。それは今の現実を思い描きながら観てるから。胸が苦しくなるほどのめり込んで観れる。‬

コメントする (0件)
共感した! 1件)
自由の座

3.5信念とは、ヒューマニズムとは

2019年12月15日
iPhoneアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 1件)
blank3s