白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々 : 映画評論・批評

2006年1月31日更新

2006年1月28日よりシャンテシネほかにてロードショー

音楽好きの普通の女子大生はなぜレジスタンスに参加したのか

たとえば「戦場のピアニスト」で、主人公のユダヤ系ピアニストを秘かに助けていたナチス将校。彼はピアニストのほかにも4人の命を救ったが、敗戦後、戦犯収容所で獄死した。あまり描かれることはないが、ヒトラー政権下ではユダヤ人だけでなく、善良なドイツ人もまた犠牲者だった。この映画のヒロイン、ゾフィー・ショルも同じだが、彼女の場合はむしろ、信念を貫いたあげくの殉死といえる。

ゾフィー・ショルは1943年、ヒトラー打倒を呼びかけて逮捕され、わずか5日後に処刑された実在の女性。非暴力の抵抗グループ「白バラ」の紅一点だった。その存在は90年代に発見されたゲシュタポの尋問記録でやっと明らかになったという。

音楽好きの普通の女子大生に過ぎなかった彼女が、なぜ兄のハンスと共に活動に加わり、21歳の花の命を散らせたのか。映画はドキュメンタリーのようなタッチでその「最期の5日間」を描く。尋問や裁判の様子は史実に忠実らしいが、ベテラン尋問官との緊迫した駆け引きなどはまさに劇的。が、何といっても衝撃はラストの数秒だ。このとき、オーソドックスに見えた作りに対する印象が一変した。魂は死なず、ということか。

(田畑裕美)

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