初恋のきた道

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説・あらすじ

都会で働くビジネスマン、ユーシェンは父の訃報を聞き、数年ぶりに故郷の村へ帰ってきた。年老いた母は、今では行われなくなった古いしきたり通りの葬儀をすると言って周りの人を困らせている。そんな母の頑固な様子を見て、ユーシェンは村の語りぐさとなっている父と母の恋物語を思い出していた。都会からやってきた若い教師と、彼に恋した文盲の少女。手作りの料理に込めた彼女の恋心はやがて彼の元へと届くのだが……。

1999年製作/89分/アメリカ・中国合作
原題または英題:我的父親母親 The Road Home
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
劇場公開日:2000年12月2日

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映画レビュー

5.0彼女の登場するシーンはほぼほぼ95%はクローズアップ(顔のアップ)、まさにアイドル映画並みの演出、監督も彼女の魅力に惚れ込んだのでしょうか。

2025年2月20日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

萌える

『初恋のきた道』 (1999/アメリカ・中国/89分)
ご存じチャン・ツィイー(章子怡)のデビュー作。
公開当時も、とにかく彼女の素朴で瑞々しい美しさに衝撃を受けましたが、その印象は公開後26年経っても変わらず。
それもそのはず、彼女の登場するシーンはほぼほぼ95%はクローズアップ(顔のアップ)、まさにアイドル映画並みの演出、監督も彼女の魅力に惚れ込んだのでしょうか。

ストーリーは都会から赴任した若い教員に一目惚れ、お弁当作りや帰路を待ち伏せするなど一途に恋する少女を描いた心ときめくラブストーリー…なのですが、監督の初期作品『紅いコーリャン』(1987)、『菊豆(チュイトウ)』(1990)、『紅夢』(1991)など人間の本能と欲情、激情を徹底的に描いた作品群鑑賞後に本作品を改めて観ると、「純愛」というベールに隠された人間の激しい欲情がちらりと見え隠れしますね。
その隠された激情を上手くチャン・ツィイーの可憐な魅力で押し切った印象ですね。
本作がチャン・ツィイー以外でキャスティングされていたら、相当ヘビーで痛い片思い作品で、ここまで共感されなかったでしょうね。
本作品でも監督ならではの色彩感覚を発揮、田舎の風景(紅葉、雪道)に、彼女のピンクや赤のちゃんちゃんこ(半纏)、リボンの緑は鮮やかでしたね。

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矢萩久登

4.0素直に泣ける映画です

2025年2月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

父が死んだ。母は頑なに父を担いで山道をねり歩き弔いたいと言う。棺にかける布も自分で織ると言い夜なべして織りはじめる。父と母は村ではまずあり得ない自由恋愛の結婚だった。以来40年、父は村のただ1人の教師として子供たちに勉強を教え、母はただひたすらそれを支え暮らしてきた。と、母のもとに帰ってきたひとり息子は語り始める、。
映画は現在をモノクロで、過去をカラーとして描く。なので場面が母の若かりし頃に切り替わると一気に村は明るい景色に変わる。学校内には掲げられた毛沢東の絵があるので時代は中華人民共和国が建国され、文化大革命に至る頃だろう。そのようななか当時18歳であった母のディは町から赴任してきた20歳のチャンユーに一目惚れ。彼の為に食事を作ったり、わざわざ学校近くの井戸に水を汲みにいったりする。その姿がとてつもなく可愛い。チャンユーの思想的理由か何かで離れ離れになり、長く辛い時間もあったがそれも乗り越え結ばれた。場面がモノクロに戻り、父の弔いが始まる。父と母を繋いだ村を横切る一本道を棺を担いで練り歩く。その数は100人にも及んだ。訃報を聞き教え子たちが駆けつけてくれたのだった。そしてラストシーン。学校から聞こえてくる声に引き寄せられ母が向かう先には、(父は息子に教鞭をとってもらいたかったとの話を聞いていた)息子が学校で子供たちに父が作った訓話を大きな声で話し聞かせてる姿が映っていた、。
素直に泣ける。珠玉の名作でした。名匠チャン・イーモウさすがです、。

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アベちゃん

5.0一目惚れの「初恋」と、死別の「葬列」。 ふたつの「道」を対にして語られる傑作。

2025年1月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

僕の親友が
この映画の無料再放送をYoutubeでやっているのだと 僕に教えてくれた。
その友人の言うことには
「きみのご両親の出会いを彷彿とさせるのだ」と。
え?どれどれ?すっかり内容は忘れてしまっていた本作だけれど、
それで大昔に観て以来の、久方ぶりの鑑賞と相成ったわけだ。
うちの父は教員だった。

・・・・・・・・・・・

中国の奥地。陸の孤島、河北の小さな村。そこは三合屯村。
新任教師の到着と、校舎の建築。
けっして豊かとは思われない暮らしの中での、村人達の暮らしが慎ましく、そして人間味に溢れている。
おぼこ娘ディの実家は、じつに粗末で何にもない部屋だ。その壁に小道具として映画「タイタニック」のポスターが貼ってあることに気付いただろうか?
それぞれ、出逢いの運命と、強い絆の物語だ。

ディ=チャン・ツィイーが18歳の設定というのも、どうなんだろう?
あの三つ編みの おさげ髪と、ぎこちない走り方。照れ笑いの幼ない様相からして、小学高学年か、せいぜい12歳くらいにしか見えないのだが。
でも、そこが”うぶ“で大変良いのだろう。

遠くからお互いを見やるルオ先生とディ。だからカメラも遠く離れていて、望遠レンズで彼らの表情を撮っているのだ。まったくもってカメラ使いが上手い。
美しい村の風景に乗せて、二人が惹かれ合ってゆく姿に、太陽の光がキラキラと輝いていて、逆光がまぶしい。
観る側も ときめかずにはいられない導入だ。

・・・・・・・・・・・・・

【出逢いと別れの「道」】

・僕の妻になってくれた人は
「ビビビッ」と来て、一目惚れしてくれたらしい。いつまで経ってもまったくそれに気付かない鈍感な僕の事を、本作のディのように行く先々で待ち伏せをして、満面の笑みでずっと追いかけてきてくれた人だった。
20年追いかけてきてくれたが、とうとう最後まで振り返らなかった馬鹿が
このレビューを書いている。

・明石家さんまは、
このチャン・ツィイーのポーズの真似=瞬間芸がとても上手くて、あの頃、世の中の大勢が「この純情な映画」を観、そしてハマっていたことを思い出した。
そういえば娘ディは、若い頃の大竹しのぶにちょっと似ているかもしれないね。
明石家さんまがその瞬間芸をやると、客席は大いに笑うのだが、なぜだろう。同時に泣きたくもなる。

人の別れの理由ワケは、
死別であったり、夫婦関係の解約であったりと、個々さまざまだ。
だから出逢いの物語は、同時に別れに続く長い人生の物語の始まりでもある。
恋愛映画を観ると、恋の終局も同時にそこに見えてくる。
だからチャン・イーモウ監督は、ルオ先生と村娘ディの初恋を
離別の重たさと対で表現したのだ。
だから、この映画は重厚で、浮ついていないのだと感じる。

僕は正月に帰郷したばかりだ。
僕の父母も、人生の最終盤だなぁ。
老人ホームで、長く仕舞ってあった結婚指輪をその指にはめて、微笑んで見つめ合う両親がそこにいた。

中国のフェリーニ。
赤い髪留め。
「初恋のきた道」
いい邦題だ。

・・・・・・・・・・・・・

この道を
二人で行けば
花野かな

(友人からもらった句)

·

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きりん

4.0チャン・ツィイーの宝石の様な時代を切り取った良作

2025年1月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

個人評価:3.9
チャン・ツィイーの若く瑞々しい青春の時間を切り抜いた物語。
過去をカラーで描き、現代をあえてモノクロで描く。その事でチャン・ツィイーの宝石の様な笑顔がより一層華やかになっている。
当時の田舎の純朴純粋な恋が此処にある。

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カメ