犬神家の一族のレビュー・感想・評価
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蓮佛美沙子を探せ!
NHKBSをつけたら、タイミングよく始まるところだったので鑑賞。セルフリメイクの2006年版だったので、今も活躍している方々が、少し若めに登場してきて、それだけで興味深い。
松嶋菜々子が、やはりとても魅力的。富司純子と尾上菊之助が本当に親子役というのも改めておもしろかったし、加藤武の「よし、わかった」も懐かしかった。
最後のクレジットで、「女中 蓮佛美沙子」と出てきて「えっ?」となり、確認のためにHuluでもう一度観てしまった。結果、障子の向こうで登場シーンは数秒あるかないかなのに、きちんと大きくクレジットされているのは、市川崑が出演者を大切にしていることの証か。
それとも、wikipediaによると、これが彼女のデビュー作らしいので、事務所の意向か。
いずれにしろ、私は彼女のファンなので、観られてよかった。
さすがに現代では、莫大な富をバックに、ここまでのやりたい放題をする左兵衛翁のようなジイさんはいないと思うが、松子をはじめ、目先の利益に飛びつくためには、他人はどうなっても関係なしという輩は、残念ながら大なり小なりいる。
そうだとしても、松子の「私にはこうするしか仕方なかった」というセリフと、あれだけ殺人を犯した母に「母さん」と抱きついて泣ける佐清の感覚に共感できる人はどれくらいいるのだろう。
(本当の母親なので、この映画としては見どころの一つだとは思うが…)
ただし、これが、小さなコミュニティの中にとどまらない、対国家という関係になると変わってくる。「戦争」や「テロへの対抗」という大義名分が付けば、今でも同様に、広い意味で害を与えると思われる人たちを何人殺そうが心は痛まないし、自分の身内の(自国の)利益誘導のための殺人も許されている世界な訳で…。
考え出すと「昔だから」では済まされないものが描かれている映画だなと感じる一本。
旧作よりも分かりやすい感じだが
旧作のおどろおどろしい感じが何とも陰鬱で、犬神佐兵衛の血がこの連続殺人に導いた感が怖かったイメージが残っている。それに比べると、全体的に画面が明るく、おどろおどろしい感じが少なくなっていた。松子役高峰美枝子の旧家然として佇まいの方が、この作品には合っていた。松嶋菜々子の珠世役もちょっと現代的な顔立ちすぎて、昔の物語には合わないかな。
ただ、大筋を覚えているせいもあるが、リメイク版の方がストーリーがわかりやすく整理されていたような気がする。それにしても、金田一の石坂がふけていないのにびっくりした。最初の弁護士が、毒殺されるのだが、あの時点で殺人が行われるのは、ちょっとわからなかった。どんな遺言書なのかわからない状態で、松子が顧問弁護士を殺すだろうか?細かく見ると、かなり殺人に都合がよい偶然が用いられていて、それが宿命であり、佐兵衛の呪いとも受け取れる。松子が最初に殺人をした時、佐清と静馬が黙って助けようとせずに黙って見過ごしたり、二人目の殺人では、琴の練習の合間と佐智が戻ってきた時が偶然一致したりと。旧作では、どうなっていたか忘れているが、少々違和感を感じた。
1976年版も観たい
改めて、1976年版の素晴らしさを知る。
監督(市川崑)と主役(石坂浩二)及び一部キャスト(大滝秀治・加藤武)だけでなく、
脚本や音楽もほとんど同じ、という実験的なリメイク。
島田陽子:松嶋菜々子
あおい輝彦:尾上菊之助
三國連太郎:仲代達矢
高峰三枝子:富司純子
草笛光子:松坂慶子
三條美紀:萬田久子
小沢栄太郎:中村敦夫
岸田今日子:草笛光子
坂口良子:深田恭子
2006年版のキャスティングはかなり重厚、
稀代の名優をズラリと並べ壮観だが、
1976年版の持つ、おどろおどろしい空気感を再現するには至っていない。
高峰三枝子、三國連太郎、岸田今日子らが醸し出す淫靡な雰囲気は画面を通して見る者を圧倒していた。
つまり、この壮大なリメイク実験は、
1976年版の素晴らしさを再認識させるだけに終わった、というのは礼を失するかもしれないが、
率直な感想でもある。
アナログ特有のざらつきが、現代においては高いハードルになっているのが面白い。
特に何も不満はないのだけど、 なんかはまらなかったな。 半年くらい...
初めて見たい犬神家
和の雰囲気
日本映画の式年遷宮
伊勢神宮にはご存知の通り式年遷宮と言うものがあります
20年に一度宮処を改め、古例のままに社殿や御装束神宝をはじめ全てを新しくして、大御神に新宮へお遷りいただく伊勢神宮最大のお祭りとのことです
つまり現在のお宮と寸分変わらないお宮を新たに建てて入れ替わることを20年毎に繰り返し繰り返し1300年以上続けられているのです
平成25年、2013年に第62回目の式年遷宮が執り行われています
次は令和15年、2033年にあります
本作は市川崑監督のセルフリメイク
オリジナルは1976年で日本映画の金字塔として燦然と輝いています
それから丁度30年目のリメイクです
何故、市川監督はセルフリメイクをしたのでしょうか?
それは式年遷宮だったのだと、お正月に本作を観て思い至りました
お宮を作る技術、伝統を後世に永遠に伝える
世代が変わっても技術や伝統が失われてしまわないようにする
式年遷宮にはその意味もあるのだと思います
本作は日本映画の式年遷宮だったのです
21世紀に、俳優、カメラや照明、美術、メイクなどのスタッフ全員の技術と伝統を旧世代から新しい世代への伝承が行われたのです
あたかも30年前に撮られたかのような映像と空気感が濃厚にあります
ですがところどころ現代の空気が 漏れ込んで来て夢から醒めてしまう瞬間があります
監督が意図してしたものと、俳優とスタッフの力量が旧世代に及ばなかったものの二通りです
深田恭子と奥菜恵は監督の意図だったと思います
式年遷宮とえいど微妙に新しい時代の感覚をほんの少し入れていくことも大事なのだということだと思います
豪華な新旧の俳優陣、市川監督の安定した力量、スタッフの頑張り
正にお正月に観るに相応しい映画でした
大いに満足しました
今年はコロナ禍で初詣もままなりません
伊勢神宮に参拝したいものです
本作から30年後は2036年、令和18年
それは今から15年後
今年は本作とオリジナルとの間の30年の年月でいえば、丁度その30年の折り返しの年だったのです
日本映画の次の式年遷宮をやらなければなりません
誰かが「犬神家の一族」をまたリメイクしなければならないのです
その時、一体誰がやってくれるのでしょうか?
再現できるものでしょうか?
技術や伝統は残っているのでしょうか?
1976年度版の同窓会的な作品
BSテレ東版鑑賞。30年の時を経て、同監督で同作品をリメイク。珍し...
ストーリーをよく理解するためには「よく、聞く、事」だ!
製作発表時点から、なぜ今更セルフリメイクを?という疑問をずっと抱き続けていたのですが、このリメイク作品を観終わった今、その疑問がますます強くなるだけでした。もしかすると、最も自分の気に入ってる作品をもう一度作って遺作にしようとする意図があったのか、毎回豪華キャストを用いて横溝正史作品を日本国民に年末恒例の作品として楽しんでもらおうという意図があったのか、さては富司純子の親子競演を話題にしたかったのか、それとも岩井俊二監督作品の『市川昆物語』に対するお礼のつもりで製作したのか・・・ひょっとすると野村芳太郎監督の『八つ墓村』をトヨエツでリメイクしたのが不満だったから、再起をかけただけなのかもしれない。
キャスティングは賛否両論なのでしょうが、オリジナル『犬神家の一族』(1976)でも神官役だった大滝秀治やシリーズ通しての警察署長加藤武の存在は嬉しいことだし、草笛光子が役を換えての出演にも驚かされました。島田陽子が松島菜々子、あおい輝彦が尾上菊之助と、顔立ちはかなり似ている俳優を使っているのは、演技はともかくなかなかのキャスティングでしたし、とにかく松島菜々子が台詞が少なかったので一安心でした。
犬神家は犬神製薬として財をなした家であるけど、等々力警部が最初に飲んでいた薬は犬神家の薬だったのか、それとも遺産相続にひっかけて洒落のつもりで胃散を飲んでいたのかははっきりわからない。もしかするとキクゾーラーメンを食べて消化不良になっていただけかもしれません。遺産相続はいったい誰の元へ!などと考えていると、ロート製薬キャシロンのCMに出ていた石坂浩二を思い出し、胃散はやっぱり金田一の元へ行くんだという妄想にも陥ってしまいます。歴代金田一耕介役には誰が一番似合っているのかというアンケートでもこの胃散効果もあってか、石坂浩二に落ち着くのかもしれませんが、渥美清だってパンシロンのCMに出ていることだし、意見が分かれることになるのでしょう。ちなみに他の金田一は胃薬CMに縁がありません・・・
意外な副産物であるスケキヨマスクやスケキヨ人形が人気あるようですが、オリジナル『犬神家の一族』が公開された当時といえば、新田たつおのコミック「ガクエン遊び人」に凶暴な助清くんが登場するほど、助清ブームともなりました。怖いイメージを植え付けて、物語の中にはラブストーリーも隠されているなんてのは効果的ですが、そんなに何度も見てしまうほどの映画じゃないのになぁ・・・今作でもそれほど強調されてなかったし。
死体は二度見するくらいだった。
リメイクの意味なし
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