Shall we Dance? : 映画評論・批評
2005年4月15日更新
2005年4月23日より日劇1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
クラシックな日本映画のように、おとなしくて上品な映画
日本版とそっくり同じなので驚いたというか、拍子抜けした。キャラクターもそのまんま。竹中直人キャラのスタンリー・トゥッチはカツラをかぶったラテンノリのおっさんだし、渡辺えり子キャラのリサ・アン・ウォルターも太めでズケズケものを言うおばさんだ。主人公のリチャード・ギアも日本版と同じ、誠実で優しい人。唯一違うのはその妻のスーザン・サランドンが、専業主婦ではなくキャリア・ウーマンという点だが、やはり自己主張は強くない。そして憧れのダンス教師を演じるジェニファー・ロペスまでが、猫をかぶったように草刈民代的ストイックな女性に終始している。
つまり、アメリカ映画であるにもかかわらず、彼らは日本人のように慎ましく行動するのだ。ギアを挟んでJ.Loとサランドンが火花を散らすなんてことは起こらない。オリジナルの周防演出を尊重したせいだろうが、まるでクラシックな日本映画のように、おとなしくて上品な映画になったのが興味深い。
ダンスが上達して心がウキウキしていくところや、競技会でのギアのダンスの美しさには感動するが、今ひとつ、パンチと盛り上がりに欠けるんだよね。アメリカ人には俳句的静の世界は似合わないってこと?
(森山京子)