オーメン(2006) : 映画評論・批評
2006年6月6日更新
2006年6月6日よりスバル座ほか全国東宝系にてロードショー
ダミアンの“かわいげのなさ”が強烈
あの不吉な数字“666”でおなじみの悪魔の子ダミアンが、06年6月6日の悪魔デーに全世界のスクリーンで復活。日本でも封切りは土曜日という興行的慣習を覆し、同日の火曜日にロードショーされる運びとなった。さすがは悪魔、と唸らずをえない用意周到なイベント的演出である。
で、肝心の中身は、極めて緻密な仕上がりを誇った1976年のオリジナル版をほぼ忠実に受け継いでいる。とはいえ当然いくつか目を引く違いがあり、なかでも新人子役が演じるダミアンの“かわいげのなさ”が強烈だ。序盤から頑ななまでに不気味な無表情を貫き、教会に行く途中の車中や動物園でパニックを引き起こすなど、悪魔オーラを遺憾なく発散。この手の映画の常道である“あんな可愛い子が悪魔とは……”という見せ方を省略しているため、ジュリア・スタイルズ扮するヒロインが母親らしい情愛を見せる場面がほとんどないまま「あの子は異常だわ!」と訴える悲痛な姿に、唖然としつつもつい頷いてしまう。
一方、ジョン・ムーア監督の演出は、オリジナル版にないサブリミナルな怪奇イメージを挿入したり、衝撃の“首切り”シーンをリニューアルするなど工夫を凝らしている。さらにフレームの外から迫力満点の音響とともに、黒犬や悪魔の手先のベイロック夫人が襲いかかってくるショック描写は、怖いと感じる余裕もなく「勘弁してよ」とグチをこぼしたくなるほど心臓直撃の唐突さ。時代が変われば、悪魔の怖がらせ方も変わるということか……。
(高橋諭治)