ハンニバルのレビュー・感想・評価
全61件中、21~40件目を表示
暴走する美意識が残忍さを昇華させる快感!
リドリー・スコットはファッション系のCM出身だから、映像美に拘りがある。中には舞台設定やプロットと齟齬を来しても美的イメージを優先させる結果、驚くような成果を得ることも、それが暴走して失笑を買うケースもあった。
本作は彼の美意識が、暴走しながらも成功した傑作と言えるだろう。
冒頭からエンディングまで、一分の隙もないほど美しいシーンに埋め尽くされたこの映画は、全編が快感の連続である。
例えば、映画の冒頭、フィレンツェの広場でハトが群がるシーンのバックに流れるのは、グールド「ゴールドベルク変奏曲」だ。「羊たちの沈黙」でも同じ曲が流れていたが、それは流麗な55年録音盤だった。リドリーは81年盤のラストの不安を醸し出す美しいアリアを選択し、その不安感の中でハトがレクターの顔の輪郭を描く。
また、パッツィの手先のスリがレクターの指紋を獲ろうと、フィレンツェの怪しげな街並を付け狙い、逆に下腹部に致命傷を負わされ、夥しい出血の中で死んでいくシーン。あんな人混みの中で大出血して人が死んでいくのに、パッツィが誰にも怪しまれず、指紋付きの腕輪を入手できるはずもないし、血塗れの手を公衆水道で堂々と洗うというのも不自然極まりないのだが、あまりの美しさに見とれて文句など忘れてしまう。
そしてストーリー展開からは脇役なのに、あまりに力を注ぎ過ぎるほど注いだことが一目瞭然の、映像も音楽も見事なオペラシーンには、映画を忘れてうっとりさせられる。
さらにいえばレクターが司法省・クレンドラーの脳髄を切除し調理するシーンや、レクターが自分の手を切断するシーンだって、工夫された構図にライティング、計算されつくしたセリフによって美しいではないか。
この感触は、美で恐怖を昇華させてしまったキューブリック「シャイニング」に似ている。リドリーもまた残忍さを美で昇華させてしまったのだと思う。
俳優陣もジュリアン・ムーアはスタイルがよく、ジョディ・フォスターより適役だし、ゲイリー・オールドマン、レイ・リオッタの怪演は申し分ない。ただ一つ美しくないのは、短足で腹の突き出た不格好なアンソニー・ホプキンスだろうか。こちらも代役を検討すべきだった。
方向性が真逆の合わせ鏡の二人
レクターとクラリスの理知的・合理的な、相手の手の内が完全にわかる運命的な関係に感動を覚えました。
クラリスの家に忍び込んでグッチの靴の切り抜きを見て、彼女を街におびき寄せて美しいグッチの靴を置いておいてプレゼントする。自分の命を救ったクラリスを(いわゆるお姫様だっこで)抱えて連れ出し彼女の怪我を手術で治す。気がついたらクラリスは黒の素敵なドレスを着て靴は例のグッチを履いている状態でベッドの上。それからお行儀悪いクレンドラーお仕置き脳みそシーン。そしてクラリスでなく自分の手首を切断することで自由の身になる。機内食なんてものは食べないでDEAN & DELUCAのお料理&怪しいものを持ち込む。以上の舞台はアメリカ合衆国。
前半のフィレンツェはレクターに本当に似合う。貴族の生まれのレクターは歴史、絵画、文学、音楽、文献知識と教養の深さが知の巨人で目が眩むような美意識の塊。ボルサリーノの帽子、スーツ、スカラ通りのSanta Maria Novellaの香水や石鹸やハンドクリーム、ジーノ・カッポーニ通りの図書館。ここにレクターは住んでる設定なのか、パッツィが訪ねて来たときレクターは裸足だった。その姿が無垢というか子どもみたいで不思議な感じがした。床が大理石であればひんやりしているだろう。
レクターがたまに口にする、響きが面白いことばが二つあった。「オキ・ドキ」は「始めよう!」という時に言っていたOkey-dokey。「タッター」はバイバイの意味でtata。
ホプキンスのハンニバルが終わってしまってさびしい。
ぱっかーん
怖い、キショい、グロい。原作のあまりの内容にジョディ・フォスターは...
フィレンツェに行きたくなる!
レクター博士の高尚な趣味を見てると、舞台であるフィレンツェの魅力が伝わってきて、この映画を見てからフィレンツェに行くのが夢になりました。香水から始まりハープシコード、古典、歴史、パッツィ家の悲劇まで、ロケ地巡りをしてみたいです。(レクター博士がフィレンツェに潜伏している理由を詳しく知りたい方は原作を読むことをお勧めします。)
さて、原作ではあまりに衝撃的で残酷な展開だったので映画版ではストーリーが変更になってはいますが、それでも充分面白く出来上がっていると思います。メイソン・ヴァージャーも気味が悪くゾクゾクしますし、脳みそのソテーのシーンも怖すぎていいですね。同時にクラリスの黒のドレス姿も美しくてうっとりします。
なぜかわかりませんが、レクター博士の食肉シーンには人を魅了するある種の芸術美のようなものがあります。恐ろしいのに不思議です。それに合わせてバッハのゴルトベルク変奏曲がまた心を震わせるんですよね。
気持ち悪いはずなのに、感動的です。
レイリオッタってしたまつ毛長いよね
テレビ版見ました。 グロ要素が減ってたみたいで、よかったです。 あ...
グロテスク
地上波でやっていたので久しぶりに観ました。
かなり昔に観た映画でストーリーはあまり覚えていなかったのですが、とにかく脳ミソを食べるシーンだけはかなりショッキングで鮮明に記憶に残っていましたが、さすがに地上波ではそこはカットされていました。
大ヒット映画「羊たちの沈黙」の続編ですが、前作とはだいぶテイストが違います。
今作は、前作のようなサスペンス要素はほとんどなくて、とにかくサイコ的グロテスク映画です。クラリス捜査官も前作とはかなりキャラクターが変わっています。この10年でいったいなにがあったのかと想像を掻き立てられます。
テイストはだいぶ違いますがレクター博士とクラリス捜査官の関係性をメインとしたところは変わらず、この映画はこの映画で違った面白さがありました。
映画の内容をすぐ忘れてしまう私、それゆえ何度でも同じ作品を楽しめる...
真っ白スーツで決めてます…
20年振り鑑賞
やっぱり脳みそのシーン
FBIのホームページに逃走中の10大凶悪犯という進入禁止のデータベースがあり、オサマ・ビン・ラディンに並んでレクター博士の写真があった。そして、オールドマンよ!いくらレクターに言われたからって・・・肉を殺ぎ落として犬に食わせないでほしい。
全体的にコラージュ風になって、時間軸もよくわからなくなってしまう。フィレンツェで刑事の腹を切り吊り下げるシーンだけが怖かったけど、その他は意味がわからない箇所もあったためか眺めていただけだ。。。
そして終盤、ヴァージャーがレクターに復讐を行おうとして、クラリスが博士を守ろうと動く。ここで感情移入が一気に出来なくなるところなのでしょうか。その他、レイ・リオッタのスケベそうな顔と自分の脳みそを食うシーンが忘れられない。腕を切り落とすところも・・・
『レッドドラゴン』、『羊たちの沈黙』
全61件中、21~40件目を表示