チャップリン

劇場公開日:2025年12月19日

解説・あらすじ

「喜劇王」の呼び名で知られる20世紀の映画スター、チャーリー・チャップリンのルーツに迫ったドキュメンタリー。

ドタバタ喜劇に庶民の哀愁や社会風刺を巧みに取り入れた作品の数々で、世界中の人々を魅了したチャーリー・チャップリン。ちょび髭にだぶだぶのズボン、ステッキ、山高帽がトレードマークの放浪紳士には、ロマのアイデンティティが垣間見える。本作ではチャップリンがロマの血を引き、そのことを誇りに思っていたことが明かされ、極貧の少年時代からスイスで過ごした晩年までをたどる。

チャップリン家が全面的に協力し公認した初のドキュメンタリー作品として製作され、チャーリーの息子マイケル・チャップリンが製作・出演、孫カルメン・チャップリンが監督を担当。劇中ではマイケルが父チャーリーの足跡をたどり、俳優で娘のジェラルディン・チャップリンらが家族の視点からチャーリーの素顔を語る。

さらに、ジョニー・デップやエミール・クストリッツァら、チャップリンを敬愛する著名人たちも登場。家族が撮影したプライベート映像や貴重な記録映像を交えながら、作品に投影された幼少期の記憶や、ユダヤ人・共産主義者のレッテル、そして放浪紳士に通じるロマの特徴や文化を掘り下げる。

2024年製作/90分/G/スペイン・オランダ・イギリス・フランス合作
原題または英題:Chaplin: Spirit of the Tramp
配給:アンプラグド
劇場公開日:2025年12月19日

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(C)The Caravan Trail, A.I.E, Kwanon Films Limited, and Submarine Sublime 2024 Charlie Chaplin TM (C) Bubbles Incorporated S

映画レビュー

3.0 チャップリン家とロマの血筋:子供たちの奇妙な執着

2025年12月25日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

正直に要約して邦題をつけるならこんな感じだろうか。もちろん率直に内容を伝えることが集客につながるとは限らないわけで、それゆえ配給元は興味を持ってもらえるキャッチ―な邦題をつけようと知恵を絞るのだけれど。ちなみに原題は「Chaplin: Spirit of the Tramp」(チャップリン:放浪者の精神)で、Trampとはチャップリンが多数の映画で繰り返し演じた放浪者のキャラクターのこと(念のため、カードゲームはtrump、米大統領はTrumpで綴り違い)。1915年公開作「チャップリンの失恋」の原題はずばり「The Tramp」、翌1916年公開の「The Vagabond」の邦題は「チャップリンの放浪者」なのでちょっと紛らわしい。

チャップリン家が全面的に協力し公認した初のドキュメンタリー作品ということなのだけれど、チャップリンのことをあまり、あるいはほとんど知らない初心者向けの入門編として適切とは言い難い。かの喜劇王の代表作を一通り観ている中級者や、ほぼ全作品を観ており彼の生涯もだいたい知っている上級者なら、本作の「ロマの血筋」にこだわった編集方針で新たな視点を得られるかもしれないが。

チャーリーは36歳の時(1925年頃か)、母ハンナからそれまで隠していたロマのルーツを打ち明けられ、自らの人生と自作映画に新たな視点がもたらされたという。チャーリーの孫娘で本作を監督したカルメン・チャップリンいわく、家族のルーツがロマにあることはあまり知られていなかったそうで、それゆえ公認ドキュメンタリーの切り口にする意図もまあわかる。

ただ、メインの語り手であるチャーリーの息子マイケルをはじめ、家族やジョニー・デップなど出演者の多くがあまりにロマの血筋とチャップリンの映画や生き方を結びつけて語るため、チャップリン映画の魅力のごく一面しか強調されないもどかしさも感じてしまう。

そんなわけで、バランスは良くないのだが、本作鑑賞後にロマの文化的要素に注目しながらチャップリンの映画を観直すと、新たな気づきがあるのかもしれない。

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高森郁哉

4.0 誇り高きロマ、外呼称の「再領有」

2025年12月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「芸術は政治から独立し、自由であるべきだ」
とされるが、芸術は政治にとって“脅威”にもなりうる。
「排除」の対象になることも恐れず、表現し続けたチャップリンは、勇気ある知的な静的革命家だと思う。

ロマが誇り高き人々なのは知っていた。
字幕の「ロマ」という”正しい”言葉と、耳に飛び込んでくる他の呼称を使う誇らしげな声に妙な乖離を感じた。
ちょうど1カ月前に訪れたロマ文化博物館で学んだ「外呼称」という知識がよみがえり、強い違和感と同時に興味が湧いた。

家族があえてこの言葉を使っているのは、自分たちの物語を語るための言葉として、その呼称の中に宿るプライドを保持しようとしている「再領有」からなのだろう。
家族にとっては「誇り」として語り継がれてきた言葉が、現代のロマの人々にとっては傷つける言葉になっている。
このギャップは、不適切な呼称の問題がどれだけ複雑で、世代や地域によって認識が違うかを象徴しているようにも感じる。

日本語字幕で「ロマ」と訳されていたのは、日本でロマの歴史が広く知られていないことを考慮し、倫理的配慮などが働いた意図的な結果だろう。
しかし、家族が抱いていたはずの「誇り(再領有のニュアンス)」が、言葉の置き換えで消えてしまった可能性も否めない。

翻訳における倫理的選択という側面を突きつけられた。

noteで詳しく書きました
https://note.com/youkhy/n/n42f0ca0a38e8

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YouKhy

3.5 【"ロマ的自由がチャップリン映画に齎した事。”今作はチャップリンの中にロマの血が1/8流れていた故に、彼の作品の多くが弱者の視点で優しく強く描かれたかを家族が語るドキュメンタリー映画である。】

2025年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

ー ご存じの通り、チャップリンの多くの映画では、貧しきチャーリーがヒョコヒョコ歩きながら、更に弱き者を助け、強く愚かしきものを揶揄し、打ち負かすストーリーが多い。
  例えば、今作のドキュメンタリーでも登場するや「キッド」「街の灯」少し色合いは違うが「独裁者」などがそうであろう。

  今まで、それはチャップリン独自の人道主義が成した技であると思っていたが、今作はそこにチャップリンの生い立ちを辿る事で分かったロマとの繋がりも関係しているであろう事が、彼の息子、娘達により語られるのである。
  繋がりとは、チャップリンが、ノマドであり且つ非差別民族であったロマの血を1/8引いているために、彼の作品世界に影響を与えている事である。

  確かにロマの民と同様に、チャップリンは子沢山であり、息子マイケルを始め子供達の多くが芸能や作家になっているのも合点が行くのである。

  この視点は今まで公に語られる事は無かったと思うし、それを彼の子孫が語っている事や、息子マイケルが父との確執の思い出を懐かしそうに語る姿が印象的である。

  特に、今作の語り部であるチャップリンと確執があった息子マイケルが、それをジョニー・デップやエミール・クストリッツァ監督等と語らう中で、心の中の確執を解いていく過程が良いのである。

<今作はチャップリンの中にロマの血が1/8流れていた為に、彼の作品の多くが弱者の視点で優しく強き映画だったのかを家族が語るドキュメンタリー映画である。>

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NOBU

3.0 マイケル・チャップリン

2025年12月29日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

チャールズ・チャップリンではなく御子息さんにスポットが当たってました。他にも御令嬢をふくめて近しい方が何人か出てくるので、彼らの想い出話を聞くスタンスで観ると楽しめそうです。新しい発見があるわけではないですが、歳月の流れを感じてほっこりしました。

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TT