ベートーヴェン捏造

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劇場公開日:2025年9月12日

解説・あらすじ

19世紀ウィーンで起きた音楽史上最大のスキャンダルの真相に迫ったノンフィクション書籍「ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく」を、バカリズムが脚本を手がけ日本で映画化。

難聴というハンディキャップを抱えながらも、数々の歴史的名曲を遺した天才音楽家ベートーベン。しかし、後世に伝わる崇高なイメージは秘書シンドラーが捏造したもので、実際のベートーベンは下品で小汚いおじさんだった。かつてどん底の自分を救ってくれたベートーベンを熱烈に敬愛するシンドラーは、彼の死後、そのイメージを“聖なる天才音楽家”へと仕立て上げる。そんなシンドラーの行動は周囲に波紋を広げ、「自分こそが真実のベートーベンを知っている」という男たちの熾烈な情報戦が巻き起こる。さらに、シンドラーの嘘に気づきはじめたアメリカ人ジャーナリストのセイヤーが、真実を追及しようとする。

主人公・シンドラーを山田裕貴、ベートーベンを古田新太が演じ、染谷将太、神尾楓珠、前田旺志郎、小澤征悦、遠藤憲一が共演。人気バンド「Mrs. GREEN APPLE」でキーボードを担当する藤澤涼架が、天才ピアニスト・作曲家のショパン役で劇映画初出演を果たした。監督は「地獄の花園」などでもバカリズムと組んだ関和亮。

2025年製作/115分/G/日本
配給:松竹
劇場公開日:2025年9月12日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
関和亮
原作
かげはら史帆
脚本
バカリズム
制作統括
新垣弘隆
プロデューサー
田渕みのり
櫻井雄一
協力プロデューサー
石田聡子
撮影
中島唱太
照明
佐藤学
録音
関口浩平
美術制作
柴田慎一郎
美術デザイン
棈木陽次
アートコーディネーター
渡部哲也
装飾
千葉ゆり
スタイリスト
飯嶋久美子
衣装
岩堀若菜
ヘアメイク
駒水友紀
編集
小野寺絵美
劇中音楽
眞鍋昭大
メインテーマ曲演奏
清塚信也
VFX
菅原悦史
VPスーパーバイザー
小林真吾
VPプロデューサー
遠藤和真
記録
國米美子
助監督
戸塚寛人
音楽プロデューサー
谷口広紀
音響効果
佐藤祥子
ラインプロデューサー
岸根明
佐々木幸司
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映画レビュー

3.5 レモンサワーの罠とレビュー捏造⁈

2025年9月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

斬新

祝日前の夜、レモンサワー片手に鑑賞しました。子どもの頃、映画館でスナックや飲み物を手にする人たちをまるでセレブのように憧れてみていました。そのささやかな夢を今日密かに実現できて、とても幸せです♡

まず、本作はコメディでもパロディでもありません。バカリズム脚本と聞くとつい笑いを期待してしまいますが、今回は史実や原作への忠実さとリスペクトが軸になっています。
「ドイツ人のベートーヴェンを日本でどう描くか」という難題に対して、「現代日本の中学生が想像したウィーン」という独自の設定を採用。登場人物を生徒が通う学校の先生が演じるというアプローチにより、親しみやすく、違和感なくベートーヴェンの世界を観客に届けられています。ここに脚本バカリズムさんの巧みな視点が光ります。

物語の中心はシンドラー(山田裕貴さん)のベートーヴェンへのまっすぐすぎる愛です。はじめは健気に映るその純粋さも、次第に「キモさと狂気」に変化して感じられるのが、この映画の肝といってよいでしょう。

古田新太さん演じるベートーヴェンも、この世界観に見事にマッチしており、「実際は本当にこんなベートーヴェンだったのかもしれない」と思わせる説得力があります👏

天才はしばしば変態です。捏造される前も後も、ベートーヴェンは天才であり変態です。そして彼を支えたシンドラーも同じです。誰もが知る名曲を生み出した偉人が、このような二面性をもった普通のおじさんだと考えたら、少しだけ身近な人に感じられるのかもしれません。

映像表現もとても印象的でした。舞台劇を思わせるLED背景演出は、生徒の想像の世界という設定をより的確に描いており、実写撮影よりベストな選択に思えました。

憧れの劇場アルコールは、私には少しハードルが高かったです…。思いの外並々と注がれたレモンサワーの罠に完全にやられて、気がつけば現実と想像の間を行ったり来たりしていました。

だから
⚠️このレビューは半分捏造です🙇‍♀️

シンドラーがベートーヴェンを愛するあまりに伝記を偽ったように、私もまた“映画愛”ゆえにレビューを半分捏造しています😅
情報や想像で足りない部分は、自分なりの愛ある妄想で補っています。
「捏造=想像=愛」
こんなレビューのカタチも、今作品ならではの映画鑑賞の楽しみ方としてお許しください🙇‍♀️

🎵今宵の締め
今日はレモンサワー片手にベートーヴェンと妄想旅行、そんな夜も悪くない😎

*星数は影響なきよう、レビュー平均にしていますので悪しからず。

コメントする 1件)
共感した! 14件)
ななやお

5.0 果たして捏造は是か非か

2025年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 11件)
猿田猿太郎

3.5 ベートーヴェントリビアと、ビジュアルに似合わず真面目なメッセージ

2025年9月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 42件)
ニコ

4.0 誠実なルポルタージュ本を笑いと哀愁の娯楽映画に。“脚本家”バカリズムの新境地

2025年9月23日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

知的

文筆家・かげはら史帆による「ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく」はノンフィクション本に大別されるものの、小説形式で中心人物シンドラーの内心を描写するパートも含まれる。「ルポルタージュ」という言葉は近年目にする機会が減った気がするが、フランス語由来で「報告文学、報道文学」などの意味を持つこの外来語が指すジャンルがよりふさわしいだろうか。シンドラーがベートーヴェンの会話帳を盗み出すことを決心するシーンや、米国人研究者セイヤーとシンドラーが対決するシーンなどは、小説風に書かれた原作の描写がかなり忠実に映像化されている。

バカリズムはこの5年ほど脚本家としての活躍が目覚ましく、映画では「地獄の花園」「ウェディング・ハイ」、ドラマでは「ブラッシュアップライフ」「ホットスポット」といったコメディ作品で人気を博してきた。この「ベートーヴェン捏造」も基本は喜劇映画として楽しめるが、主題に関わる巧みな意匠も認められる。

目をひくのは、原作にはない現代日本のパートによって、“語りの多層構造”に新たなレイヤーを加えたこと。そもそも物語の主人公であるシンドラーは、ベートーヴェンの秘書を数年間務めた経験と、難聴の作曲家のために自分や面会者等の意思を伝える際に書きとめた会話帳をいわば一次資料として、ベートーヴェンの伝記を執筆した。つまり、ベートーヴェンの言動や名曲に込めた意図を語る人物だ。しかし先述のセイヤーや後年の研究者らから、シンドラーが執筆した伝記本には捏造が多く含まれる可能性が高いと批判されたことを伝えるのが、かげはら史帆のルポルタージュ。ここでもシンドラーによる捏造とそれをめぐる騒動について語るレイヤーが加わっていた。その内容を劇映画化する際に、バカリズムは中学の音楽教師(山田裕貴による二役)が男子生徒にシンドラーの話を聞かせるという、オリジナルの語りのレイヤーを重ねた格好だ。

この新たな語りの層の効果として、教師の話を聞いて生徒が想像する物語世界という体(てい)で描くことにより、19世紀の欧米人を日本人俳優が演じることを観客が無理なく(いやむしろ、おかしみを感じつつ)受け入れやすくなるメリットがある。だがそれだけではない。ストーリーが人から人へと語り継がれる過程で、語り部が聞き手の興味をひくために事実を大げさに盛ったり、さらには無いことを有ったかのごとくでっちあげたりするのはままあること。そうして虚実ないまぜで面白くなった物語こそが語り継がれる価値を持つという真理が、本作に隠されたメッセージではないか。そんなことを考えさせられた。

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共感した! 14件)
高森郁哉