ふつうの子ども

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劇場公開日:2025年9月5日

解説・あらすじ

「そこのみにて光輝く」「きみはいい子」の監督・呉美保と脚本家・高田亮が3度目のタッグを組み、現代を生きる子どもたちの日常を生き生きと描いた人間ドラマ。

10歳の小学4年生・上田唯士は両親と3人家族で、おなかが空いたらごはんを食べる、ごくふつうの男の子。最近は、同じクラスの三宅心愛のことが気になっている。環境問題に高い意識を持ち、大人にも物怖じせず声をあげる心愛に近づこうと奮闘する唯士だったが、彼女はクラスの問題児・橋本陽斗にひかれている様子。そんな3人が心愛の提案で始めた“環境活動”は、次第に親たちも巻き込む大騒動へと発展していく。

「LOVE LIFE」「ちひろさん」などに出演する嶋田鉄太が主人公・唯士、本格的な演技は本作が初となる瑠璃が心愛、ドラマ「3000万」の味元耀大が陽斗を演じた。クラスメイト役にはオーディションで選ばれた子どもたちを起用し、ワークショップを通して共通の時を過ごしながら、呉監督とともにそれぞれのキャラクターをつくりあげた。脇を固める大人のキャストとして、唯士の母・恵子役で蒼井優、担任教師・浅井役で風間俊介、心愛の母・冬役で瀧内公美が出演。

2025年製作/96分/G/日本
配給:murmur
劇場公開日:2025年9月5日

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(C)2025「ふつうの子ども」製作委員会

映画レビュー

5.0 なんてすばらしい子役たち

2025年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

どこからこんな味のある子どもたちを見つけてきたのだ。特に主役の子どもが最高だ。と思ってたら、呉監督の前作「ぼくが生きてる、ふたつの世界」にも出演していた。
でも最後には瀧内公美が全て持っていった。なんという強烈なインパクト。でも、実際ああいう人いるよね、と思わせる絶妙な存在感があった。

物語は環境問題への意識から子どもたちが街で、啓発活動をするのだが、子どもの発想だからそれはいたずらじみていて、しかし次第にエスカレートしていき騒動へと発展していくというもの。子どもじみたいたずらだったとしても、彼らはきちんと地球の未来を考えている。時に恋心で揺らいでしまうのもリアル。そして、何かを達成した、注目されたという高揚感に心が囚われてしまうと周囲が見えなくなることの危うさも描かれていた。
大人はこの子たちの声に耳を傾けているだろうか、責任を取っているだろうか。大人はこの子たちのことを叱る資格があるだろうか。そんなことを痛烈に突きつけつつも、笑いの絶えない96分だった。

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杉本穂高

3.5 前提ではなく、結果が生み出す群像劇。

2025年9月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

呉美保監督の『ふつうの子ども』を観た。
『そこのみにて光輝く』(2014)はもちろん観ているが、『きみはいい子』(2015)は未見だ。『酒井家のしあわせ』(2006)、『おかんの嫁入り』(2010)は当然観ていて、今改めて彼女は家族を描き続けきたのだなぁと感慨ひとしきり。ひとりの人物にフォーカスすることは、その傍らに居る人たちを描くことになる。だから豊かな群像劇になる。それは前提ではなく結果だ。

『ふつうの子ども』の最大の成果は撮影にある。背景を飛ばし、ソフトフォーカスな映像で子どもたちの「顔」を映し出す。まるで往年のハリウッドのスターを映し出すかのようなその絵に驚嘆した。

細かいことを突き詰めていくと、日常=つまり「普通」の描写は成立しなくなる。そんなことはとっくに分かっているとばかりに、監督は敢えて彼らを暴走させる。というか、成り行きに任せる。おいおい、一体どこまで連れて行くんだ…。男ふたりと女がひとり、三人揃って走る姿は、ルルーシュの『突然炎のごとく』(1962)であり、ロベール・アンリコの『冒険者たち』(1967)そのものではないか!

その時、たまたまめぐり合わせた三人が、迷うことなく挑戦する。その様がなんとも心地良い。子どもたちの疾走を描いた先にあるのは、至って普通な大人たちの反応だ。子どもたちの周りで、至って普通な大人たちがオロオロした先で、素朴だけれど、人生を変えるようなひと言が飛び出し。あ、そうなのかと合点がいった。それが「ふつう」なのだ。子どもたちの日常にある普遍を導き出す編集が効いている。

新宿で『ふつうの子ども』を観終わった後、地元で信号待ちをしていると、道の向こうで子どもが飛び跳ねて手を振っていた。三歳手前の少女が隣に住む僕を見つけて喜んでいるのだ。子どもの健やかなまなざしを育てることは、環境問題の手前にある、最も大切なことに違いない。この一文を書かせてくれた、少女の飛びきりの笑顔に感謝を込めて。ありがとう!

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髙橋直樹

4.0 子供たちの宇宙

2025年10月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

公開最終日に滑り込んで観賞。

そもそもは「人間のクズ」がいっぱい出てくるドラマが好きなんだけど、今回は逆。
なんだか、どこか歪んでたり打算的だったりもするけど、自分なりにそこには「そうありたい」という前向き思いがあったりもする。

(この先、多少のネタバレが入りますのでご注意下さい。)

まずは主人公の男の子唯士を演じた、嶋田鉄太くん。
もうこの子の佇まいや表情がものすごく良い。時々、くたびれた中年サラリーマンにも見えてくる。そんな広がりのある演技だった。

そして、唯士と3人組となる環境活動の女の子、心愛と、最後まで勝手なあの男の子、陽斗とは別に、主人公と駄菓子屋デートをするあの女の子、メイ役の長峰くみちゃん。
もう、あの子はなに?(笑)
あれ、全部監督の演技指導なの?
というくらい、可愛らしくて魅力的で、でも切なくもあった。(レゼだったら「心臓もらっちゃう」なのに、メイちゃんだとああなるんだね。)

基本的にはずっとコミカルに話は進む。
前半は「子供たちの宇宙」の中での話だったものが、どんどんエスカレートして大人を巻き込んだ現実社会に侵食していき、ある一線を越えたところで、大人達と対峙しなくてはならなくなる。
「小学生」という世代を考えれば、本来親を呼ばれて散々説教されて「はい、おしまい」となるところが、まったく怯まない瑠璃、話にならない陽斗、そして、ちゃんと正直に答える唯士。
あのシーンは泣けた。
だって、ホントに唯士は結局他の2人に振り回される形で活動に巻き込まれていったワケだし。
そこでカッコ付けずにちゃんと自分の気持ちを自分の言葉で唯士が語った時、母親役の蒼井優に「お母さん、あなたの教育は正しかったよ!」と言いたくなった。
加えて、それぞれの親にはそれぞれの思惑や教育方針がある。別に、誰が間違ってるということもない。

そしてラスト、コントロールできないレベルに広がった「子供たちの宇宙」は、またもとの規模に収束し、唯士たちは少しだけ成長して、またその世界に戻っていく。

映画を観ていて、「この物語はどこにいくんだろう」という感じの楽しさがある。
基本的にはコメディなので、何か怖い事が起きるワケではないはずのに、じんわりホッコリ子供たちの生活と平行して、裏にピリッとした危うさも含んでいるのがすごく楽しかった。

これは観ておいてよかった。

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ミドレンジヤー

3.5 導火線

2025年10月10日
iPhoneアプリから投稿
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ブレミンガー