夏の砂の上

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劇場公開日:2025年7月4日

解説・あらすじ

オダギリジョーが主演・共同プロデューサーを務め、「美しい夏キリシマ」の脚本などで知られる松田正隆による同名戯曲を映画化。「そばかす」の玉田真也監督がメガホンをとり、愛を失った男、愛を見限った女、愛を知らない少女が、それぞれの痛みと向き合いながら小さな希望を見出していく姿を描く。

雨が降らず、からからに乾いた夏の長崎。幼い息子を亡くした喪失感から妻・恵子と別居している小浦治は、働いていた造船所が潰れても新しい職を探さずふらふらしていた。そんな治のもとに、妹の阿佐子が17歳の娘・優子を連れて訪ねてくる。阿佐子は治に優子を預けて1人で博多の男に会いに行ってしまい、治と優子の突然の同居生活が始まる。高校へ行かずアルバイトを始めた優子は、そこで働く先輩・立山と親しくなる。不器用ながらも懸命に父親代わりを務める治との暮らしになじんできた頃、優子は治と恵子が言い争う現場に遭遇する。

主人公・治をオダギリジョー、治の姪・優子を髙石あかり、治の妻・恵子を松たか子、優子の母で治の妹・阿佐子を満島ひかり、優子に好意を寄せる立山を高橋文哉、治が働いていた造船所の同僚を森山直太朗と光石研が演じた。

2025年製作/102分/G/日本
配給:アスミック・エース
劇場公開日:2025年7月4日

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映画レビュー

3.5事実を知ると、見方が変わる

2025年7月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

なんの前知識もなく、タイトルと出演者が気になって鑑賞。

観終わって最初に思ったのは、

「これ、雰囲気映画なの? 結局何が言いたいん…🤫」

満島ひかりさん、松たか子さんという、主役を張れる実力派のお二人を脇に配し、主演は雰囲気俳優の代表格・オダギリジョーさん。

年齢を感じさせない若々しさと整ったお顔立ちは、無精髭や不造作なロングヘアで隠しても、まったく隠しきれない。

オダギリジョーさん扮する主人公・小浦治には
・子どもを不慮の事故で亡くす
・誇りを持っていた仕事を失う
・妻に不倫される
・大切な仲間の死
・そして、自らの指を3本失う事故…

という、人生の5連不幸パンチが容赦なく襲いかかる。

──なのに、舞台となる長崎の映像は、どこまでも静かで美しい。

そして私の中に生まれた違和感。

「こんな不幸が一度に襲ってきた人が、あんなにも静かで美しい“佇まい”でいられるのか?」

どうしてもリアリティに欠けて感じた。
そう思った時点では、正直これは“雰囲気映画”だと思ったのです。

しかし家に帰ってから、映画について調べてみて、オダギリジョーさんが、かつてご自身のお子さんを亡くされたことを知り、思わず言葉を失いました。

「この役に、彼がどんな思いで向き合ったのか──」
それを知ったとき、私の中でこの映画の意味が静かに反転しました。

これはきっと、映画というより“祈り”だったのだと。

愛する人を失っても、生き続けるということ。
再び、誰かと向き合おうとすること。
そしてその姿を、スクリーン越しに見せてくれたオダギリさんの覚悟。

その存在こそが、
この映画の答えだったのだと思います。

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ななやお

4.0坂の街、長崎の日常に人生の縮図が見える

2025年7月20日
PCから投稿

夏の長崎にある坂道を、買い物袋を持った男がゆるゆると家路を急いでいる。その男、治は長く務めていた造船所が倒産後も、定職のないまま日々、そんな風にゆるゆると過ごしている。しかし、彼の周辺は慌ただしい。突然訪ねてきた妹の佐和子は17歳の娘、優子を治に預けたまま、男が待つ博多に行ってしまうし、優子はなかなか扱い辛い娘だし、別れた元妻、恵子の事情もなかなか複雑だし。。。

以上、大まかな物語の間には、日本の造船事業の行き詰まりや、目的をなくした老後の殺伐や、そして、原爆の記憶が垣間見えてくる。閉塞的な日常を描いているようでいて、実は構造はけっこう複雑で、じっくりと向き合う価値がある味わい深い作品なのである。

そこから、坂の多い長崎を人生に例えて考えるというアイディアが湧いてくる人もいるだろう。筆者は、留まる者(治)と出ていく者(その他)の対比から、人生という旅の縮図を見た気がした。恐らくこの日本にも多数いるはずの出ていく者たちに届けたい、留まる者の声にならない叫びが聞こえてきそうだ。

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清藤秀人

5.0一見の価値ある、是枝裕和作品かと思わせる完成度。才能を感じる「演出 × 脚本 × 役者」により誕生した長崎が舞台の名作!

2025年7月5日
スマートフォンから投稿

本作は、タイトルだけを見ると正直パッとしない印象を受け、内容も分かりにくそうに感じるかもしれません。
しかし、予備知識が一切なくても問題なく楽しめるほど、非常にクオリティーの高い作品に仕上がっています。
物語が進むにつれて人間関係や登場人物の背景などが自然と浮かび上がってくるような、巧みな脚本と演出。そして、きめ細かい描写の数々は、まさに「映画ならでは」と言えるものです。
一言で表せば、「是枝裕和監督の作品を彷彿とさせる才能が詰まった一本」と言えるでしょう。
強いて気になる点を挙げるなら、音楽の使い方にはやや途上な印象がありました。
作品全体として音楽の使用は控えめですが、冒頭のシーンは印象的だった一方で、中盤のデートシーンでは若干の違和感が残りました。
とはいえ、それもほんのわずかな懸念に過ぎません。全体を通して、本作は間違いなく「名作」と呼べる作品です!
個人的には、台風のようにやってきて台風のように去っていく満島ひかりの存在が興味深かったです。
映画好きなら一度は観ておきたい、そんな一本です。

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細野真宏

3.5オダギリジョーの喪失感

2025年7月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

ベイビーわるきゅーれファンとして高石あかりを観たくて鑑賞しました。本作もサイコーでした。オダギリジョーの奥深い演技も素晴らしく長崎佐世保の街並みが美しく懐かしく観てました。

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tomクルー

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