JOIKA 美と狂気のバレリーナ

劇場公開日:

JOIKA 美と狂気のバレリーナ

解説・あらすじ

ロシアのボリショイ・バレエ団を舞台に、完璧なプリマになることに取り憑かれたアメリカ人バレリーナの狂気を描いたサイコサスペンス。2012年にアメリカ人女性として初めてボリショイ・バレエ団とソリスト契約を結んだジョイ・ウーマックの実話を基に、華やかなバレエ界の裏側で当時のダンサーたちが直面していた過酷な現実を描く。

アメリカ人のジョイはボリショイ・バレエ団にスカウトされて単身ロシアへ渡り、希望を胸にアカデミーに入学する。そんな彼女を待ち受けていたのは、常人には理解できないほどの完璧さを求める教師ヴォルコワによる脅迫的なレッスンだった。過激な減量やトレーニング、日常的に浴びせられる罵詈雑言、ライバルたちからの嫌がらせなど過酷な日々を過ごすうちに、ジョイの精神は追い詰められていく。

「17歳の瞳に映る世界」のタリア・ライダーが主演を務め、「女は二度決断する」のダイアン・クルーガーが教師ヴォルコワ、「ホワイト・クロウ 伝説のダンサー」で主演を務めたダンサーのオレグ・イベンコがジョイのパートナー、ニコライを演じた。世界的バレリーナのナタリア・オシポワが本人役で登場。

2023年製作/111分/G/イギリス・ニュージーランド合作
原題または英題:Joika
配給:ショウゲート
劇場公開日:2025年4月25日

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(C)Joika NZ Limited / Madants Sp. z o.o. 2023 ALL RIGHTS RESERVED.

映画レビュー

4.0すべてを捧げ芸を極める姿勢は狂信の域へ

2025年4月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

驚く

ドキドキ

バレエファンを除き日本での知名度は低いと思われるが、アメリカ人バレリーナであるジョイ・ウーマックの比較的最近の実話。世界3大バレエ団と称されるロシアのボリショイ・バレエ団で伝統的に外国人には困難なプリマになるべく、人生のすべてを捧げて挑む姿を描く。

ジョイ本人は2009年に15歳で単身ロシアに渡り、ボリショイ・バレエの養成学校であるアカデミーに入学。それからの激動の約10年間がまず2020年のドキュメンタリー映画「Joy Womack: The White Swan」で紹介される。これを観たニュージーランド出身のジェームス・ネイピア・ロバートソン監督が劇映画化を決意し、本人への粘り強い交渉の末に映画化権を獲得。それだけでなく、脚本開発への協力、振付、さらにタリア・ライダーが演じる主人公のダンスシーンのダブルとしてもジョイ本人が参加することに。ダンスダブルに関しては、2022年の撮影時に彼女が20代後半で現役トップダンサーであることも有利に働いたはずで、イギリス・ニュージーランド合作の本作が実現するまでのスピード感に驚かされる。

ジョイ本人が一部のシーンでダンスダブルを務めたものの、2002年生まれの主演タリア・ライダーも長くコンテンポラリーダンスのトレーニングを積んだ才能豊かな演者だ。3歳の時からずっと踊り続けてきたと語る彼女は、12歳でブロードウェイミュージカルのオーディションに受かり舞台女優としてのキャリアをスタート。短編映画1本を経て、「17歳の瞳に映る世界」で長編映画デビューを果たす。望まぬ妊娠をした従妹を助けてニューヨークまで一緒に旅する準主役で、2019年の撮影時は16歳。その歳であの強い意志を秘めつつも醒めた眼差し、達観したような表情を見せていたのだと思うと改めて早熟ぶりに驚嘆する。スティーヴン・スピルバーグ監督作「ウエスト・サイド・ストーリー」でも、ダンス演技があるジェッツのメンバー役をオーディションで射止めた。

ライダーは「JOIKA 美と狂気のバレリーナ」の主演が決まってから、1年かけてクラシックバレエをジョイ本人を含むトップダンサーたちから学んだ。また、ボリショイ・アカデミーで教師ヴォルコワを演じるダイアン・クルーガーも、少女時代にバレリーナを夢見て英ロイヤル・バレエ・スクールに合格したが、怪我で断念し演技の道に転向した経験を持つ。トップを目指すジョイと指導するヴォルコワ、それぞれを演じるライダーとクルーガーによる迫真のパフォーマンスも映画の大きな見所だ。

過酷なレッスンと絶え間ない怪我、激痛に耐えながら高みを目指す主人公の姿は、同じくバレエの世界を題材にした「ブラック・スワン」を容易に想起させるが、鬼のように厳しい指導者に執念で食らいついていく主人公という点ではデイミアン・チャゼル監督作「セッション」も思い出す。ジョイ本人はインタビューで、バレエは神に与えられた天職であり宗教に近いところがあると語っていた。芸能であれスポーツであれ、超一流になるために人生のすべてを捧げ、自らの心身を削ってでも技や芸を極めようとする姿勢は、一般人の感覚からするともはや“狂信”の域のように思えるし、そうした高みに届いたアーティストやアスリートの非凡なパフォーマンスを目撃するとき、私たちは聖者が起こす奇跡のように感動するのだろう。

タリア・ライダーは現在22歳。今後の飛躍がますます楽しみな若手スターだ。

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高森 郁哉

3.5現役バレエダンサーの頑張りとロシアの恥部

2025年5月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

ドキドキ

アメリカ人のジョイ・ウォーマックは15歳で単身ロシアへ渡り、ボリショイ・バレエ・アカデミーに入学した。しかし、彼女を待ち受けていたのは、完璧を求める教師ヴォルコワによる厳しいレッスンだった。過激な減量やトレーニング、日常的に浴びせられる罵詈雑言、ライバルたちからの嫌がらせなど過酷な日々を過ごし、努力してボリショイバレエ団に入れると思ったが、ロシア人じゃないと言う理由で落とされた。ジョイの精神は追い詰められ、結婚してロシア人となり、2012年にボリショイバレエ団と契約した、そんな話。

17歳の瞳に映る世界、の時に気になってたタリア・ライダーが主演なんだと、後で気がついた。相変わら美しかったし、バレエのシーンも(代役が居たとは思うけど)様になってた。彼女、手脚が長くてスタイル良いからバレエダンサーも似合ってた。
実在の人物で、まだ31歳の人をもう映画で扱うとは、早いなぁ、凄いなぁ、と思った。
若いアスリートにパトロンが付き、夜の相手をする、これがロシアの恥部なのだろう。
あの国大丈夫なんだろうか?

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りあの

真の『ブラックスワン』

2025年5月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 アメリカ人初のボリショイ・バレエ団員を目指し、自身の才能を信じてあらゆる手を尽くした実在の米国人ダンサーの物語です。アメリカ人への敵意を剝き出しにするバレエ団とロシア人ライバルの遣り口も阿漕ですが、何としても食らい付こうする彼女も常軌を逸した姿に映ります。『ブラックスワン』の世界そのままでした。

 パリオペラ座やアメリカンバレエシアターのドキュメンタリー映画で描かれた芸術性を極めんとする真摯さとは正反対のダンサーの姿でした。一体、どちらが真実なのかと戸惑いますが、恐らく両方が真実なんだろうな。僕の様なヘナチョコにはとても近寄れない世界です。

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La Strada

4.0たくさんのバレエ関係者が参加していることが、素晴らしいです。

2025年5月30日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

驚く

 バレエ界の闇を告発しています。バレリーナには、相変わらずパトロンの黒い首輪がつけられているのでしょうか。劇中のナタリア・オシポアの白鳥の美しさに息を呑みます。

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TT