カーズ : インタビュー
「トイ・ストーリー」で長編3DCGアニメという分野を開拓したジョン・ラセターの7年ぶりの監督作となる「カーズ」について、本作のプロデューサーで、「バグズ・ライフ」でもラセターとコンビを組んだダーラ・K・アンダーソンに話を聞いた。ラセターとは12年来のビジネスパートナーだという彼女が見たジョン・ラセターとは? そしてピクサー社の動向は?(聞き手:編集部)
ダーラ・K・アンダーソン プロデューサー インタビュー
「ピクサーは、それぞれの監督が伝えたい物語を作っているのです」
――ジョン・ラセター監督作としては、「トイ・ストーリー2」から実に7年ぶりですね。
「ええ。彼にはピクサー社の経営という仕事があり、同時に『モンスターズ・インク』『ファインディング・ニモ』『Mr.インクレディブル』の3作にも製作総指揮として携わっていたので、多忙でした。『カーズ』は『バグズ・ライフ』製作中の97年から構想があり、企画を立てていたのですが、忙しくてなかなか手をつけられなかったというのが本音ですね」
――ラセター監督のクリエイターとして優れているところは、どこにあるでしょう?
「彼は常に仕事をエンジョイし、情熱を傾けています。そして“コラボレーションすること”を大切にし、周りのみんなを触発する人でもあります。ですから、自然と彼の周りの人間は、彼のためにベストを尽くしたいと、チーム一丸となって製作に取り組めるんです。彼も周囲によく質問を投げかけて、どんどん物事を吸収していきます。もちろん、素晴らしいビジョンももっていますしね」
――全米ではオープニング3日間で6000万ドルを超えました。ピクサー作品がいつもヒットする秘密は?
「それぞれの作品が、それぞれの監督にとってパーソナルな物語であるからだと思います。これまでの作品は全て、監督自身が企画を立て、脚本を書いたものです。要は監督自身が伝えたい物語を作っているからだと思います。
例えば、ジョン(・ラセター)は大変有名になって多忙になりましたが、今でも家族や友人を大切にしています。本作は彼のそうした姿勢に対するオマージュでもあると思いますね。あとは、我々がハリウッドにいないということも大きな理由かもしれませんね。より創作的なことに専念できますから」
――ピクサーといえば、ディズニーとの提携が一時期問題になりましたが、結局のところ、ピクサーがディズニーに買収され子会社になることで落ち着きました。ディズニーとのこの新たな関係で、ピクサー社内に変化はありましたか?
「現行の契約ですと、ジョンがディズニーのアニメ部門の全てを総括しています。ディズニーランドで上映されるような作品を含めたディズニー製のアニメや、もちろんピクサーのアニメも。ですから、ピクサー社内での雰囲気が変わるということはないですね」
――では、ディズニーとの関係を続けることで、ピクサーにとってのメリットは?
「ビジネス的な側面からみると、やはり“長期的な安定”ということになります。我々の株はどんどんあがっていますが、今後もずっとそうあり続けるとは限りません。ディズニーはとても大きな会社ですから、従業員たちは長期的な安定感が感じられるようになったと思います」