かたつむりのメモワール

劇場公開日:2025年6月27日

解説・あらすじ

「メアリー&マックス」で知られるオーストラリアのアニメーション作家アダム・エリオット監督が手がけた長編クレイアニメーション。カタツムリを集めることが心のよりどころだった孤独な主人公グレースが、個性豊かな人々との出会いと絆を通じて生きる希望を見いだしていく様子をユーモラスに描き、アヌシー国際アニメーション映画祭で最高賞のクリスタル賞を受賞。第97回アカデミー賞でも長編アニメーション賞にノミネートされるなど高い評価を受けた一作。

1970年代のオーストラリア。グレースは双子の弟ギルバートと父親と3人で慎ましくも幸せに暮らしていた。母親は出産と同時に亡くなり、病気がちで学校ではいじめっ子の標的にされるグレースだったが、いつも守ってくれる頼もしいギルバートと、愛情深くひょうきんな父が側にいてくれた。しかしある時、父も突然亡くなってしまい、グレースとギルバートは別々の里親のもとで暮らすことに。ギルバートとは手紙で励まし合うものの、寂しさのあまりカタツムリを集めることだけが心の拠り所となっていくグレース。そんな彼女は、ピンキーという陽気で変なことばかり言うお婆さんと出会い、次第にかけがえのない友人になっていくが……。

短編「ハーヴィー・クランペット」でアカデミー短編アニメーション賞、「メアリー&マックス」でもアヌシー国際アニメーション映画祭のクリスタル賞を受賞しているアダム・エリオット監督が、「メアリー&マックス」から約15年ぶりに手がけた長編で、8年の歳月をかけて完成させたコマ撮りアニメ。

2024年製作/94分/G/オーストラリア
原題または英題:Memoir of a Snail
配給:トランスフォーマー
劇場公開日:2025年6月27日

オフィシャルサイト

スタッフ・声優・キャスト

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受賞歴

第97回 アカデミー賞(2025年)

ノミネート

長編アニメーション賞  

第82回 ゴールデングローブ賞(2025年)

ノミネート

最優秀長編アニメーション映画賞  
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(C)2024 ARENAMEDIA PTY LTD, FILMFEST LIMITED AND SCREEN AUSTRALIA

映画レビュー

5.0 ブラックユーモアも心地良い

2025年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

心温まるストーリーと豊かなアニメーション作品なのだが、ブラックユーモアもふんだんに含まれている。主人公のグレースは内気な性格でかたつむりを親友として話しかけている女性。そんなグレースの双子の弟はいつも彼女を守っていたが、両親の死によって別々の家に引き取られていく。
グレースはその後、様々人に出会うのだが、これが怪しげな人間ばかりなのだ。里親は怪しげな団体に出入りしており、結婚相手のケンは実はちょっと変わった性癖の持ち主で、やや変態気味であった。双子の弟ギルバートの里親も怪しい宗教団体を営んでいたりする。
唯一、心を許せる老婆のピンキーも大麻入りのクッキーが大好きだったりする。人間はおかしくて面白い存在なのだと本作は強い説得力で描いている。
そして、最後は心があったかくなるエンディングが待っている。人生の悲喜こもごもが詰まった素晴らしい一作。

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杉本穂高

4.0 懸命に前に歩み続けようとする姿を、愛情あふれるタッチで描く

2025年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

人生でまたもエリオット監督の長編作に出会えたことを嬉しく思う。これが15年ぶりの新作だから、次があるとしたら私はもはや還暦過ぎ。でも待つ価値はあると確信する。彼がコマ撮りで描くキャラは皆どこか内気で、不幸に見舞われてばかり。こうやって言語化するとだいぶ切実に思えるが、実際のところ粘土で丁寧かつユーモアを交えて織り成された一コマ一コマは非常にチャーミングで、瞬きするのを忘れるほど慈愛で一杯だ。この確かな眼差しがあるからこそ、ブラックな側面があってもネガティブに傾き過ぎることはない。グレースの”ためこみ”も決して単体でいびつに照らすのではなく、心の奥底に記憶と感情があふれかえった状態の投影であることを文脈からジワリと気づかせる。誰よりもそれを理解し光と躍動を注ぐピンキーという存在がまた秀逸。急がず、ゆっくり。後退せず前に進み続けようとする人々の懸命な生き様を、本作は豊かなタッチで祝福している。

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牛津厚信

3.0 断捨離と心の解放

2025年8月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

幸せ

1970年代のオーストラリアで姉のグレースは双子の弟ギルバートと父親と3人で幸せに暮らしていた。母親は出産と同時に亡くなっていて、生まれつき鼻の下が切れてたグレースはうさぎ顔と言われ学校でいじめられていた。しかし、いつも守ってくれるギルバートと、ひょうきんな父が側にいて守ってくれていた。しかし、父も突然亡くなってしまい、グレースとギルバートは別々の里親のもとで暮らすことになった。ギルバートとは手紙で励まし合うものの、寂しさのあまりカタツムリを集めることだけが心の拠り所となっていったグレースは、ピンキーという陽気で変なことばかり言うお婆さんと出会い、かけがえのない友人になっていったが、ギルバートが火事で死んだと聞き・・・さてどうなる、という話。

色々と断捨離しながら、心を解放していく話なんだろう。
カタツムリは前にしか進まない、という事で、過去を振り返っても良いけど、前に進もうという励ましのアニメだと感じた。

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りあの

4.0 先に観た人からジャン=ピエール・ジュネの「デリカテッセン」へのオマ...

2025年8月14日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

先に観た人からジャン=ピエール・ジュネの「デリカテッセン」へのオマージュがあると聞いていたからグロテスクなものを想像していたが、予想に反していい話だった 笑

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