日本のマンガ原作を中国で実写化。
主演は『インファナル・アフェア』のアンディ・ラウ。
【ストーリー】
時は紀元前、古代中国の戦国時代。
長年大国魏と争っていた趙が、はざまの小国梁城に攻め込んでくる。
趙軍を率いるは巷淹中将軍、歴戦の将であった。
開城を迫られ慌てた領主・梁渓が墨子に助けを求めるが送り込まれた援軍はたった一人、革離(アンディ・ラウ)というみすぼらしい男のみ。
だがこの革離、墨守思想の体現者であり専守防衛のスペシャリスト、領主から引き継いだ城内統率権をフル活用して圧倒的大軍の趙を寄せつけぬ活躍をみせる。
領民の思想から生活までを大改造し、梁城は日に日にその防衛力を確固としてゆく。
籠城戦が長引くにつれ絶望的な戦いに光明が見えてくるが、最大の敵は戦いから隔離された城内部の放蕩と油断であった。
原作は日本のマンガという触れ込みですが、そのマンガの原作は酒見賢一の歴史小説『墨攻』というからややこしい。
ストーリーもマンガ後半のオリジナル部分はバッサリとカットしたせいで、小説版とほぼ同じだからまたややこしい話です。
実はこの原作小説、ジブリ企画押井守監督で一度アニメ化の話があったそうですが、ブレストの段階でスタッフの意思統一ができずに実現には至らず。
押井版『墨攻』見たかったなあ。
直木賞にもノミネートされてたんですけど、なんでこの小説が取らなかったのだろう、と受賞作を並べて首を捻ったりするのも原作ファンの醍醐味。
酒見賢一のアニメ化作品といえばデビュー作『後宮小説』をメディア化した『雲のように風のように』がありました。
長くつづいていた新聞小説の『陋巷にあり』はラストが尻切れトンボでしたが、孔子の弟子顔回を主人公にした志怪伝奇モノという野心的なジャンル小説でした。
表紙も諸星大二郎ですし、妖怪モノがお好きな方におすすめです。
その後『周公旦』や諸葛孔明を題材にしたギャグ小説『泣き虫弱虫諸葛孔明』など話題作をものにしています。
全キャリアの中でも特にこの『泣き虫弱虫諸葛孔明』がひどくて、孔明の若いころのの資料がないのをいいことに、仙人のコスプレした諸葛孔明が自分の出世の道筋を立てるため嫌がる徐庶を売りだしたり、
資料がないのをいいことに変人の龐統を自分とセットで臥竜と鳳雛として売りだしたり、
資料がないのをいいことに黄氏を嫁にイチャイチャしながら怪しげな木人マシーンを作って料理させたり、
資料が(略)えらい動きが自然だなと思ったら実は木人の中身に弟の諸葛均を仕込ませてたり、
思いつきで孔明をブチ殺しにくるアホアホコンビの関羽と張飛を止まらぬ弁舌と溢れる涙でケムに巻いて追い返したりと、ちょっぴり破天荒な内容です。超オススメです。
あと周公旦ってしょこたんに似てるよね。音が。
少し前に作者逝去の報道(2023年11月7日)を受け、大変残念に感じております。
謹んでご冥福を祈ります。