私にふさわしいホテル

劇場公開日:

解説

堤幸彦監督がのんを主演に迎え、文壇を舞台に不遇な新人作家の逆襲を描いた柚木麻子の同名小説を映画化。

新人賞を受賞したものの大物作家・東十条宗典から酷評され、華々しいデビューを飾るどころか小説を発表する場すら得られなかった新人作家・加代子。憧れの「山の上ホテル」に宿泊した彼女は、憎き東十条が上階に泊まっていることを知る。加代子は大学時代の先輩でもある担当編集者・遠藤の手引きによって東十条の執筆を邪魔し、締切日に文芸誌の原稿を落とさせることに成功。しかし加代子にとって、ここからが本当の試練の始まりだった。文壇への返り咲きを狙う加代子と彼女に原稿を落とされたことを恨む東十条の因縁の対決は、予測不能な方向へと突き進んでいく。

編集者・遠藤を田中圭、大物作家・東十条を滝藤賢一が演じ、田中みな実、服部樹咲、髙石あかり、橋本愛が共演。

2024年製作/98分/G/日本
配給:日活、KDDI
劇場公開日:2024年12月27日

オフィシャルサイト

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(C)2012柚木麻子/新潮社 (C)2024「私にふさわしいホテル」製作委員会

映画レビュー

4.0ポップでアナーキーな反骨の底にある健全な毒気

2024年12月28日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 33件)
ニコ

4.0あり得なさそうなキャラクターに説得力を持たせる稀有な女優、のん

2024年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

楽しい

のんの2020年の主演作「私をくいとめて」のレビューで「のんはどんな役にでもなりきる器用な演者ではない。(中略)容姿と表情と声から醸すナチュラルで柔らかな魅力を備えつつ、表現する行為を常に模索している求道者のストイックさも感じさせ」と書いたが、2022年の「さかなのこ」、今年の「私にふさわしいホテル」と観てきてもその印象は変わらない。特に今作では、文壇を舞台に奇想天外の反則技を次々に繰り出し大物作家へのリベンジと返り咲きを狙う若手女性作家・加代子を熱演したことで、およそリアリティーのないキャラクターに説得力を持たせることができる、稀有で貴重な才能を持った女優との思いを強くした。

加代子が売れていない状況からのし上がるために敢行する作戦の数々は、冷めた目で見れば非常識でフェアでないことばかりだが、大人向けの寓話、業界をさらりと風刺する笑いを優先した喜劇と割り切れば心穏やかに楽しめる。「BISHU 世界でいちばん優しい服」での主演が記憶に新しい服部樹咲が演じた天才女子高生作家が、なにやら割を食ったような感じでフェードアウトしてしまうのは少々気の毒だったが。

せっかく作家が主人公なのだから、小説を書くことの楽しさ、面白さが、創作される小説世界の魅力とあわせて表現できていたらもっとよかったのに、と惜しまれる。

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高森 郁哉

4.0爆笑の中に古き良き文学界へのアンセムが

2024年12月25日
iPhoneアプリから投稿

笑える

楽しい

新人賞を受賞して輝く作家人生に歩み出すはずが、彼女の作品を酷評した大物作家のせいで新作の発刊すらままならないヒロインの、なんとも救われないリベンジマッチ。

大物作家の執筆活動から私生活まで、ことごとく邪魔しにかかる主人公を演じるのんの100%フルスロットル演技と、それを受けたりかわしたりしながら随所で笑いを取っていく大物作家役の滝藤賢一が抜群のケミストリーを醸し出し、時折涙が出るほど笑ってしまう。このノリはいつか観たハリウッドコメディに近いかもしれない。主人公の編集者を演じる田中圭のいかにもサラリーマン編集者っぽい雰囲気や、大物作家の妻に扮する若村麻由美の"間を外さない"コメディリリーフぶりにも感心する。

舞台は今年2月に全面休館となった神田駿河台の山の上ホテル。歴代の有名作家たちが定宿にしていた伝説のホテルで展開する爆笑コメディの隙間から見えてくるのは、今は希薄になった古き良き文学界へのアンセムだ。年の瀬に大笑いしたい人向き。

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清藤秀人

5.0ドロドロ&コメディ

2025年1月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

怖い

ドロドロ&コメディのミックスという不思議な感覚を楽しめる映画です。
主人公の執念、人間の欲深さや利己的な部分をジメジメしたいやらしい感じではなく、コメディにして笑わせるすごい映画に出会った気がする。
思わず吹いちゃうような笑いのツボを刺激するシーンの連続でおもしろかった。
グッとくる台詞もいっぱいあるので聞き逃さないでほしいです!

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