ビューティフル・マインド

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説・あらすじ

ノーベル経済学賞を受賞した実在の数学者ジョン・ナッシュの半生を、「アポロ13」の名匠ロン・ハワードのメガホン、「グラディエーター」でアカデミー主演男優賞を受賞したラッセル・クロウ主演で映画化したヒューマンドラマ。天才数学者の苦悩と彼を支え続ける妻の愛を描き、2002年・第74回アカデミー賞で8部門にノミネートされ、作品賞を含む4部門を受賞した。1947年、プリンストン大学院の数学科に入学したナッシュは、周囲から変人扱いされながらも研究に没頭する。やがて画期的な「ゲーム理論」を発見した彼は、その功績を認められマサチューセッツ工科大学の研究所に採用される。愛する女性アリシアとも出会い幸せな日々を過ごすナッシュだったが、国防省の諜報員パーチャーからソ連の暗号解読という極秘任務を受け、そのプレッシャーにより次第に精神のバランスを崩していく。ジェニファー・コネリーが妻アリシアを好演し、アカデミー助演女優賞を受賞。

2001年製作/136分/アメリカ
原題または英題:A Beautiful Mind
配給:UIP映画
劇場公開日:2002年3月30日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第59回 ゴールデングローブ賞(2002年)

受賞

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀主演男優賞(ドラマ) ラッセル・クロウ
最優秀助演女優賞 ジェニファー・コネリー
最優秀脚本賞 アキバ・ゴールズマン

ノミネート

最優秀監督賞 ロン・ハワード
最優秀作曲賞 ジェームズ・ホーナー
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映画レビュー

4.5やって来た事が実は…

2025年3月8日
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ライブラ

4.0自分を役立てたい

2024年11月29日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

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カズユキ

4.0【”君が居て、私がいる。”今作は天才数学者でありながら、統合失調症に悩まされながらも妻や同僚の学者の支えにより、ノーベル賞に輝いた男の生涯を描いたヒューマンドラマの逸品である。】

2024年11月28日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

幸せ

■1947年、プリンストン大学。
 人付き合いが苦手なジョン・ナッシュ(ラッセル・クロウ)は、ライバル、マーティン・ハンセン(ジョシュ・ルーカス)や陽気な同室のチャールズ・ハーマニー(ポール・ベタニー)達と数学を研究する中、”この世の全てを支配する真理”(この理論を、調べたが難解過ぎて、全く分からず。(涙))を見つける。
 そして、学内で見つけた美しいアリシア(ジェニファー・コネリー)とも恋仲になっていく。
 彼は、MITのウイーラー研究所に招聘される。そして、旧ソ連の暗号を読み解くなど、活躍していく。
 だが、ある日、国防総省のバーチャー(エド・ハリス)が現れ、彼に任務を与える辺りからジョンは徐々に精神の均衡を失って行く。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・最初は、暗号解読などをする様を見て、悲劇の天才数学者アラン・チューリングがナチスドイツの暗号を解く様を描いた「イミテーション・ゲーム」を思い出す。
 序に言えば、数学者を描いた映画は逸品が多い事も思い出す。
 インドの不世出の天才数学者を描いた「奇蹟のくれた数式」や、NASAに勤める黒人女性達が奮闘する姿を描いた「ドリーム」、韓国映画の「不思議の国の数学者」などである。

・だが、今作は徐々にジョン・ナッシュが”妄想と現実”の狭間で苦しむ姿が描かれて行く。バーチャーが運転する車に同乗したナッシュが、謎の車に追われ銃撃するシーンや、その事で結婚し、妊娠していたアリシアを逃がす姿。

・物語が進むにつれ、バーチャーや頻繁に現れるチャールズ・ハーマニーとその姪が、彼の幻覚であると分かって行くのである。
 そして、彼は入院を余儀なくされるのである。

・退院しても、幻覚は続くが彼は母校のプリンスト大学に行き、且つてはライバルだったマーティン・ハンセンが学長席に座る中で、図書館で勉強したいと申し出るのである。
 このシーンで、マーティンが快く”部屋を用意しようか?”と声を掛け、プリンストン大学で数学の研究を続けたいというジョンの願いを快く受け入れるシーンが沁みる。
 学友とは、このような関係を言うのだと思う。

・年月は過ぎていくが、バーチャーやチャールズ・ハーマニーとその姪は老いない。だが、彼らはジョンを静に見守るだけになって行く。勿論、ジョンが寛解に近づいていくこることを象徴していると思う。

■1994年。プリースト大に、トーマス・キング(オースティン・ペンドルトン)と言う男がやって来て、ノーベル賞受賞を告げる。ジョンは半信半疑だが、周囲の教授、学生がジョンが若き時、担当教授にアインシュタインの所で学びたいとごねていた時に観た年老いた教授の席に”敬意を込めて”ペンが置かれて行ったように、ジョンのテーブルにペンを次々に置いて行くシーンは沁みたなあ。

<そして、ノーベル賞授賞式でのスピーチで、ジョンは彼を長年支えて来た妻アリシアの顔を見ながら”君が居て、私がいる。”と告げるのである。
 このシーンも沁みたなあ。
 今作は、天才数学者でありながら、統合失調症に悩まされながらも妻や同僚の学者の支えによりノーベル賞に輝いた男の生涯を描いたヒューマンドラマの逸品なのである。>

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共感した! 8件)
NOBU

5.0数学者の映画はけっこう多い。 そして小道具が光る。 万年筆、 黒板、 ハンケチ、 ピンクの錠剤。

2024年11月18日
Androidアプリから投稿

偉大なるプロフェッサーに対して
愛用の万年筆を、周囲の学者たちが次々と献呈して並べる習慣。
あの行為は恐らく
「あなたの偉業の前には私はもう書くべき物がありません」、
「降参です、シャッポを脱がせて頂きます」。
そういう意味なのだろう。

値が付けられない逸品のモンブランやペリカン。記念のためのウォーターマンなども有ったろうに、手に馴染んだかけがえのない万年筆。それを惜しげも無く持ち寄って献呈してしまう驚きのシーン。
学究に対する最大級の敬意を表す、興味深い光景だった。

・ ・

ジョン・ナッシュ。
一人の数学科の学生の、入学と、そして“巨大な前口上有り”の挫折の物語。
しかし、この映画でいくつも戸惑ってしまったのは僕のほうだ。

このオドオドしてるジョン・ナッシュくん。
役者、ラッセル・クロウは、「グラディエーター」においてあの粗暴の限りを尽くすモンスター・マッチョになってから、
【その翌年に】青瓢箪のこの若者=「ジョン・ナッシュ」に変身している!この事。この驚き。
つまり、
若きジョン・ナッシュ役を演ったラッセル・クロウが、後年に年齢を加えて暴れ役のオヤジに挑戦したのかと思いきや・・
これは時間軸が逆だったのでした!
グラディエーターが、その翌年に病弱で小心者の、若き数学者=ジョン・ナッシュに成った逆転劇。
このゲーム理論には、もはやおいらはついていけませんね。

役者さん、変幻自在なのです。凄いです。

・ ・

「私は『数』を信じています」
これは授賞式でのナッシュのスピーチでした。

理数系が からっきしダメで、不得手な僕としては
この映画は、まったくの異世界の物語。
自然界の事象や、人の感情のゆらぎ、そして社会の動向やハトの給餌行動まで、
それらを数値で説明して解を出し、過去と未来まで、予測までをやってのける。
そればかりか、美術や、音楽や、文学の傾向までも、数値と(これも数学者が開発した) AI プログラムがその構造をバラしてしまう世界。
ゆえに「数学脳GIFTED」たちへの、僕の、ないものねだりのリスペクトと憧れの思いは、
同時に抱いてもしまう懐疑と生理的拒絶感も相含めて、ホント突き抜けてしまうものです。

じつは昔、
僕はハーバード大学の門前の小僧でした。
ケンブリッジの駅前、
ハーバードの正門のすぐ前に3ヶ月滞在していて、ハーバードの構内は勿論ぶらついたし、MITにもダンスパーティーに潜り込んだことはあるんですけど、
あの2つの大学は「フィールズ賞」も「ノーベル賞」もザクザクと獲っています。
でも小生、ちっともオツムは賢くなりませんでした。学研都市のあのVibesには あやかれませんでした。
ボストン美術館では「会員証」を作ってもらった時、受け付けのおばちゃまからウインクされて「ハーバードの学生ってことにしておくからねっ♡」と言われたんですが。
おバカですが、自慢してもいいですかね?

・ ・

数学者の映画は、思い出してみると、洋画邦画と、けっこう多いのです。
そしてそのどれもが、ほぼ例外無く、変わり者の数学オタクが、勉強仲間や、妻や、家政婦や、親友たちの大きなサポートを受けている物語です。彼らGIFTEDはサポート介助を受けている。
どこか助けを受けなければ生きていけないような生まれつきや生い立ちが=つまり、大きな人間的欠陥も相持ったパーソナリティが、彼らにはあるのかも知れません。

夫ナッシュを支え続けたジェニファー・コネリー嬢は、この映画での共演が縁となり、結婚しています。
ただし残念ながらですね、ラッセル・クロウとではなくラッセル・クロウの同室になっていた金髪のハーマンくんと結婚したのです。涙
グラディエーターになって怒り心頭。暴れるのもよく分かりますよ。

で、この映画、
戸惑いの第2点。
ほとんどの時間が、どこまでが病気による幻聴や幻覚なのか、途中で分からなくなって、見ている僕も苦しくなる。
誰が本当なのか、何が事実だったのか、ここは何処なのか、分からなくて混乱のるつぼに落ちる。そしてこちらまでがこんなにガックリと気持ちが落ち込んでしまう。

どうやらナッシュは「統合失調症」なのだと、劇中わかりはじめてからは、映画の冒頭まで、いま観てきた物語をさかのぼって、全ての積み上げられた筋書きとエピソードが信じられなくなり、映画鑑賞の一切が瓦解してしまいます。
「2時間観てきたこの全てが、夢で、幻想で、幻覚だったのだ」という衝撃。虚脱感。
では僅かにでも残っている「本物」は、この映画には有ったのだろうか・・

でも、妻アリシアの存在だけは確かに残っていてくれて救われました。
「これだけは確かなのよ」と自分と夫の胸に手を当てる。体にしっかりとふれる。手当てをする。体温を伝える。
ジェニファー・コネリーはアカデミー助演女優賞。

・ ・

「失聴者の映画」が、昨今いくつも作られていて、聞こえない世界に想いをいたす体験が与えられている僕たち。
今作品では「統合失調症」のひとつのケースを (おそらく本人の著述から) 我々に披瀝して、見せてくれたのだと思います。ありがたいです。

・ ・

さいごに、

天才たち。数学の世界に遊ぶこの本人たちは、狂喜しながら趣味のオタクで(失礼!)数学をやっているに過ぎなくても、
彼らのその発想と成果は、手ぐすね引いて後ろで待機しているエコノミックモンスターと国家防衛戦略に取り込まれていくのは、とても悲しいことではあります。

プリンストンのアインシュタインやオッペンハイマーが用いて駆使した神器=プロメテウスの火は、他ならぬ「数学」だった。
二次関数の、山なりのグラフ形状は、戦時の砲弾の軌跡を計算するために編まれた。
お掃除ロボットやファミレスの配膳ロボットだって、軍事兵器からの民間転用なのだと知ってしまうと気が滅入る。そして
我々をいつも掛け値無しに感動させてくれていたあのスペース・シャトル計画も、実は打ち上げ回数のほとんどは最高度の軍事機密で、世界には公開されていないのですから。

実在の人物、ジョン・ナッシュ氏が、これ以上苦しめられずにいて欲しい。微笑んでいてほしいと、泣けて仕方なかったラストでした。
彼はナイーブ過ぎます。

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付記

自身のプロフィールで「右の目ではスクリーンを、左の目では人生を」と標榜している僕としては、自分の事も、忘れてはいけない歴史として、この映画を観たからには、落とさずに記しておかなければならない。

仕事への度を超えた没入と失敗。自身の資質の弱さから燃え尽きてしまった僕のことを、通院〜回復まで、ずっと支えてくれた我が妻の事。
ナッシュのように演壇から「ありがとう」は言えなかったけれど、申し訳無さと、感謝は言葉に尽くせない。
あの人に万年筆を捧げたいのは僕のほうです。

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きりん

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