アプレンティス ドナルド・トランプの創り方

劇場公開日:

解説・あらすじ

「ボーダー 二つの世界」のアリ・アッバシ監督が「キャプテン・アメリカ」シリーズのセバスチャン・スタンを主演に迎え、実業家で第45代アメリカ合衆国大統領として知られるドナルド・トランプの若き日を描いたドラマ。成功を夢見る20代のトランプが、伝説の弁護士に導かれて驚くべき変身を遂げ、トップへと成りあがるまでの道のりを描く。

1980年代。気弱で繊細な若き実業家ドナルド・トランプは、不動産業を営む父の会社が政府に訴えられ破産寸前まで追い込まれていた。そんな中、トランプは政財界の実力者が集まる高級クラブで、悪名高き弁護士ロイ・コーンと出会う。勝つためには手段を選ばない冷酷な男として知られるコーンは意外にもトランプを気に入り、「勝つための3つのルール」を伝授。コーンによって服装から生き方まで洗練された人物に仕立てあげられたトランプは数々の大事業を成功させるが、やがてコーンの想像をはるかに超える怪物へと変貌していく。

弁護士コーン役に「ジェントルメン」のジェレミー・ストロング。2024年・第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。第97回アカデミー賞ではセバスチャン・スタンが主演男優賞、ジェレミー・ストロングが助演男優賞にノミネートされた。

2024年製作/123分/R15+/アメリカ
原題または英題:The Apprentice
配給:キノフィルムズ
劇場公開日:2025年1月17日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第82回 ゴールデングローブ賞(2025年)

ノミネート

最優秀主演男優賞(ドラマ) セバスチャン・スタン
最優秀助演男優賞 ジェレミー・ストロング

第77回 カンヌ国際映画祭(2024年)

出品

コンペティション部門
出品作品 アリ・アッバシ
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(C)2024 APPRENTICE PRODUCTIONS ONTARIO INC. / PROFILE PRODUCTIONS 2 APS / TAILORED FILMS LTD. All Rights Reserved.

映画レビュー

4.0続編求ム!

2025年1月25日
PCから投稿

映画で言われる3つのルールよりも、ドナルド・トランプのいう成功の秘訣「好きなことをやれ。決して諦めるな。勢い(momentum)を保ち続けるんだ」は普遍的なものだが、彼が言うととても響く。

大統領としての彼の政治的立場や発言にはここでは全く触れるつもりはない。前述の秘訣を押さえておくと、とても素晴らしい娯楽作品だった。

「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」




The Apprentice とは「師弟」「見習い」といった意味を持つが、自身がホストで参加した、参加者に様々な課題を課し、個人やグループ単位で課題に取り組むTV番組のタイトルであり、本作の主軸となる悪名高き弁護士ロイ・コーンとの関係を示した2つの意味を持つ。

副題の「創り方」がマイケル・ムーアの作品や「マネーショート 華麗なる大逆転」などの観る側に勝手に観方を操作しており、これにはがっかりだが、そこにとらわれなければ、普通に成り上がりものとして、ピカレスクものと呼んだりするのは、観る側の受け取り方で、「サクセスストーリー」とみてもよい。

70年代から80年代後半へ渡る映像と音楽にすごいこだわりがあり、ちゃんとタイムスリップさせてくれる。オレはそうした映像と全編にわたるディスコミュージックと、シンセの不穏な劇伴、「f**k」が飛び交うセリフ、「ゴージャス」な豪邸と、「スカーフェイス」(’83)を思い出した。そういえばアル・パチーノはHBOのミニシリーズ「エンジェルス・イン・アメリカ」でロイ・コーンを演じていたな。

アニキからの子供へのプレゼントを受け取るや放り投げたり、そのあと奥さんがスルーしたり、笑いも随所にあって楽しいし、物語の後半のハゲと出っ腹の脂肪除去手術のシーンは、アリ・アッバシ監督が言うようにフランケンシュタインのモンスターの誕生がイメージされる。オレはそのあとのカットの、天井に映った彼の頭頂部のほうが気にはなったが。

そしてやはりアメリカの政治史やビジネス界で重要となるコーンとトランプの関係の物語がとても興味深い。

コーンの攻撃的な法律戦術や、勝つためにはどんな手段も辞さない姿勢は、若きトランプを見事に変えた。そして物語の後半、コーンがエイズを発症し、1986年に死ぬに至るまで、彼の健康状態が悪化してトランプは彼との関係が逆転する。

トランプがコーンの教えを守り「強さや成功」に固執し、「弱さや失敗」を嫌う教えを忠実に学んだ結果に至るまでの、セバスチャン・スタン、ジェレミー・ストロングの両者の変貌ぶりがスゴイ!(特にストロングの、冷たくも強い目力、つやっつやな肢体からのエイズに侵されてからのギャップの激しさ!)

トランプどうのこうの、副題で客寄せの効果はあるが、それを差っ引いて、もともと映画的に強いキャラクターな主人公とその師の壮絶な生きざまを「娯楽」としてみるのが一番いい。

そして観る側もThe Apprenticeのごとく「学ぶ」ことも多い。

追記

現在に沿って、どんどん続編をつくってほしいと切に願う。

トニー・モンタナのような最期となるか、それとも。

追記2

オープニングのニクソン元大統領の声明の引用がちょっと誘導的だったのが残念。

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しんざん

4.0闇から這い出てきたアッバシ的な怪人たち

2025年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

まるでアリ・アッバシ監督はヒーローの全く登場しない怪人映画の語り手のようだ。世間的にはトランプの秘話映画として注目を浴びるだろうが、私としては、アッバシが描くキャラ列伝に現役大統領が顔を並べることになった事実に沸々とした高揚と震撼を覚える。それも今作は最も社会の明るみに立ち、邪悪で、不遜で、巨大で、危険。本作で明かされるルール3ヶ条に基けば実際のトランプは映画の内容を「でっち上げだ」と完全否定し続けるだろうから、そこも含めて現実と地続きのストーリーとして楽しめる。とはいえ、驚異的な俳優二人が織りなす本作が伝統的な「メフィストとの取引契約」として描かれるのが面白いところ。ファウストは最後に魂を奪われるべきだが、その既定路線に陥らないところがトランプらしさであり、実は彼こそがメフィストだったとも言える。ならば彼と契約を交わした米国は、いやこの世界は一体どうなっていくのか。それこそが最大の謎だ。

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牛津厚信

3.5トランプについてというより、ロイ・コーンについての映画

2025年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

トランプが大統領に返り咲いたことで、俄然注目を浴びている本作だが、これはトランプについての映画というより、ロイ・コーンについての映画と思った方がいい。ちなみにタイトルの「アプレンティス」は、英語で「見習い」みたいな意味で、この映画の中のトランプがまさにコーンの見習い的ポジションの人物として描かれる。後年、トランプを有名にした同名のリアリティショーの話ではない。
トランプが駆け出しのころに、彼をビジネスの成功に導くメンターのような役割を果たしたロイ・コーンの教えが今日のトランプの行動原理となっていると本作は解釈している。これは劇映画なので、作り手の解釈によって提示されている物語なので、これを見てトランプの全てをわかった気になるのは危険だが、コーンの教えが彼の行動に影響を与えたのは確か。マイノリティとして成りあがるための戦略が、ある種の帝王学となり、それがトランプへと受け継がれてゆくという筋書きは興味深くはある。

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杉本穂高

4.0観ていて楽しいレアネタ満載の人物伝

2025年1月19日
iPhoneアプリから投稿

楽しい

ドナルド・トランプが2期目のアメリカ大統領に就任する直前(日本では)、彼の知られざる成功物語の裏側を描いた映画が公開された。不動産王として名を馳せた父親の陰にまだ隠れていた若きトランプが、ニューヨークの高級レストランで何かと黒い噂が絶えない弁護士のロイ・コーンと出会い、コーンに言われるがまま、常に攻撃し、非を認めず、勝利を主張せよ、という、今に繋がる3原則を守って不動産業界で一気にのし上がっていく。

成功者にはいつもアドバイザーがいるというのはよく聞く話だ。しかし、この映画が面白いのは、日本やアラブマネーにニューヨークが買い占められようとしていた1980年代、当時のアメリカ大統領、ドナルド・レーガンがぶち上げた"アメリカをもう一度偉大に"というキャッチフレーズを借用したトランプが、時代のうねりに乗って成功への階段を上り詰めていくところ。ドナルド・トランプとはアメリカ的民主主義と資本主義が生み出した怪物なのだと、改めて確信した。

詳細は控えるがトランプのプライバシーに関するあれこれも随所に散りばめて、すべてを鵜呑みにするのは危険だが、観ていて楽しいレアネタ満載の実録物語。トランプ自身は映画の内容に抗議しているらしいが、決してネガティブキャンペーンにはなっていないと思う。

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清藤秀人

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