正体

劇場公開日:

解説

染井為人の同名ベストセラー小説を、横浜流星の主演、「新聞記者」「余命10年」の藤井道人監督のメガホンで映画化したサスペンスドラマ。

日本中を震撼させた凶悪な殺人事件を起こして逮捕され、死刑判決を受けた鏑木慶一が脱走した。鏑木を追う刑事の又貫征吾は、逃走を続ける鏑木が潜伏先で出会った人々を取り調べる。しかし彼らが語る鏑木は、それぞれがまったく別人のような人物像だった。さまざまな場所で潜伏生活を送り、姿や顔を変えながら、間一髪の逃走を繰り返す鏑木。やがて彼が必死に逃亡を続ける真の目的が明らかになり……。

これまでも「ヴィレッジ」や「パレード」で藤井監督とタッグを組んできた横浜が、姿を変えて逃亡を続ける鏑木を熱演。鏑木が日本各地の潜伏先で出会う人々を吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈が演じ、山田孝之が鏑木を追う刑事の又貫に扮した。

2024年製作/120分/PG12/日本
配給:松竹
劇場公開日:2024年11月29日

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(C)2024 映画「正体」製作委員会

映画レビュー

4.5生き直す、逃亡者

2024年11月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

 「青の帰り道」の気持ちのすれ違い、「新聞記者」の組織の冷酷さ、「余命十年」のまっすぐなあたたかみ…挙げ出すときりがない。つくづく、藤井監督の魅力の結晶が凝縮された作品だった。
 なりふり構わず脱獄し、居場所や風貌を変え、逃亡を続ける主人公。逃亡ものは、追う者と追われる者の攻防戦となりやすい。ところが本作は、逃亡者をあっさりと視界から追いやる者、得体が知れず恐れる者に加え、「なぜ逃げるのだろう」と立ち止まる者が現れることで、前のめりになりがちな観る者をとどめ、ゆっくりと揺さぶりを掛ける。
 養護施設で育ち、高校生で拘束された彼は、逃亡してはじめて、世の中を知る。建設現場のパートは、さだめしホラー。接触する若者とシンクロし、彼の底知れぬ闇に触れたようで、身が凍る思いをした。一方で彼は、初めてお酒というものを飲み、友達になろうと誘われる稀有な体験もする。
 そこから一変、下請けライターとなった彼は、透明感を増していた。もがきつつ闇から浮上した彼は、「信じる」と言ってくれる存在に出会い、スポンジが水を吸うように、瑞々しい感情を次々におぼえていく。ああ、まるで小さな子どもが成長し、さまざまな体験を経て感情を豊かにしていくようだ、と思い、引き攣りこわばった心が、少し緩んだ。
 さらに雪深い街に流れ着き、介護職に就いた彼は、周りに慕われ、頼られる存在になる。彼に憧れを抱く彼女は、かつて真逆の感情を持っていた。そんな皮肉に打ちのめされるのは、日々のニュースを聞き流し、眺めているだけになりがちな、私たち自身でもあるかもしれない。
 一方、感情を全く出さずに押し殺し、執拗に彼を追う刑事(山田孝之)も強烈だ。主人公や彼に関わる人々が揺れ動く中で、刑事だけはぶれることなく対峙し続ける。本作の軸となっている彼が、ふっと感情をにじませる瞬間が忘れがたい。
 ラスト、彼と最も心を通わせたであろうライターの表情が、大きく映し出される。静寂の中、彼女の表情が少しずつ、そして大きく変化する、そのうねり。いくらでも盛り上げようがあるくだりで、あえての描写はさすが!と、心の中で快哉した。
 熱にうかされたのち、少しずつ日常に戻りながら本作を思い返すたび、近しい人の「正体」、さらには自分自身の「正体」について、ふと考えずにはいられない。

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cma

4.0横浜流星、魅せる!

2024年11月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:試写会、映画館

原作未読 試写会にて。

テレビ局製作だけあり、テンポ良く飽きさせない作り。

制作費も無駄にかけていない分
地味に良い役者を揃えた印象。
特に 横浜流星は来年の大河の主役だけあり、
演技…というか憑依力は素晴らしい!

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虎吉

2.5きっと賞レース総なめなのでしょうね。演技賞には値するけれど展開に無理がある

2024年11月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

試写会で拝見しました。横浜流星さん、吉岡里帆さん、山田孝之さんは熱演で、ファンではない私も横浜さんの代表作になるのだろうな、と思いました。恐らく映画賞たくさんとられるのでしょうね。
以下、ネタバレあり

しかし、まず発端の事件。「悲鳴が聞こえ、血だらけの人達が横たわる面識もない他人の家」に通りすがりの高校生は立ち入るのか?いくら正義感が強くとも、自分も被害にあうかもしれないのです。まず110番か119番通報ですよね?愚かとしか言いようがない。そして瀕死の重傷を負った人がまず頼むのは「鎌を抜いてくれ」ではないのでは?頼まれたとて、素直に血だらけの鎌を素手で抜きますか?
そしてタイミングよく、あるいは通報があったのか現場にすぐに踏み込んできた警察官も、通報したどこかのどなたかも、あんな田舎の見晴らしのよい道で現場から逃走した真犯人(返り血を浴びて挙動も不審)を目撃しなかったのか。そして全く動機も自供もなく目撃者証言のみで、警察上層部の一人の独断で司法まで曲げて死刑判決がくだされるのか。
さらに、逃走中の主人公が無防備に飲酒して居酒屋で顔をさらして寝てしまったり、絶対にSNSにあげるに決まっているような女子に顔をさらして動画を撮らせたりするのか(マフラーで顔半分隠すくらいできますよね?)現代人のライターでネット事情に明るい主人公なら撮影されたと気付いた時点で動画はアップしないよう頼みますよね?
さらに独身の女性ライターが仕事で多少付き合いがあるだけの男性をいきなり自室に運ぶのかしら?(どうでもいいけれど彼女のお父様は他人の支援している場合なのかしら。ご自分の冤罪は?)
等々の設定への疑問で鑑賞中に気持ちが冷めてしまう。

面会の際に逃げた動機を問われての答えは感動的だったけれど「証言者に会って真相を証言し直しさせたい」が動機であろうに、副次的なそんな要素があったとしてもあれは刑事による「何故?」の問いかけに対する答えではないような。結果としてその言葉が刑事を動かしたとはいえ。あんな「きれいな」台詞を用意した監督さんと脚本家さん達(原作者?未読ですみません)は非常に”気持ちよかった”だろうとは思いますが。

「警察権力に踏みにじられた冤罪の被害者」は実際にいらっしゃるのだろうし、終始葛藤し、良心に従った山田さんの演技はさすがの説得力でした。横浜流星さん、吉岡里帆さんも素晴らしい演技で、様々な賞レースにきっとノミネートされるのでしょうね。けれど前述のような「普通しないでしょう?」という行動を主人公がしてしまうことが話の展開ありきの強引さと思われて違和感を覚えてしまい、作品としてはちょっと手放しでは賞賛できない感じです。

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く

5.0原作未読

2024年11月13日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:試写会、映画館

試写会にて鑑賞。
逃亡先が複数あり登場人物も多いですが、駆け足に感じることなく、テンポよくまとめられていました。
横浜流星の心揺さぶる迫真の演技が見事でした。
余韻がすごい……

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khs69