VESPER ヴェスパー

劇場公開日:

VESPER ヴェスパー

解説

壊れて分断された地球を舞台に、絶望的な世界から抜け出そうとする少女の戦いを独創的かつ壮大な世界観で描いたSFダークファンタジー。

生態系が壊れてしまった地球では、一部の富裕層のみが城塞都市シタデルに暮らし、貧しい人々は危険な外の世界でわずかな資源を奪い合いながら生きていた。外の世界で寝たきりの父と暮らす13歳の少女ヴェスパーは、ある日、森の中で倒れている女性カメリアを見つける。シタデルの権力者の娘だという彼女は、墜落した飛行艇に一緒に乗っていた父を捜してほしいという。うまくいけばシタデルへの道を切り拓けるかもしれないと考えたヴェスパーは、父の制止を振り切ってカメリアの頼みを引き受けることに。しかし地域を支配する残忍なヴェスパーの叔父ヨナスもまた、墜落した飛行艇の行方を追っていた。

主人公ヴェスパー役は「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」のラフィエラ・チャップマン。新鋭クリスティーナ・ブオジーテ&ブルーノ・サンペルが監督を務め、ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭で最高賞にあたる金鴉賞を受賞した。

2022年製作/114分/G/フランス・リトアニア・ベルギー合作
原題または英題:Vesper
配給:クロックワークス
劇場公開日:2024年1月19日

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(C)2022 Vesper - Natrix Natrix, Rumble Fish Productions, 10.80 Films, EV.L Prod

映画レビュー

3.0ヨーロッパ産インディペンデントSFの潜在能力を感じる

2024年1月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

リトアニア出身の監督らが中心となって制作されたヨーロッパ産SF映画。もはやインディペンデントでもこれほどの物語のスケール感を創出、展開できるのだ。映像技術をとってもメジャー作品と見劣りしないどころか、むしろハリウッドと一線を画したオリジナリティ溢れる質感が感じられる。例えば、大自然にSF描写が散りばめられるような実写とCGの有機的な融合ぶりに関しては一見の価値ありで、特に主人公が得意とするバイオ技術をVFXでどう表現するかについての並々ならぬこだわりが伝わってくる。その一方で、やや贅沢なことを言うなら、登場人物の感情や絵画的な絵づくりを優先させるあまり、カメラワークが緩慢、物語運びもありきたりで、観る者を退屈させてしまう面もないとは言い切れぬ。これを作り手の将来性を見据えたプレゼンテーションの機会と見れば大きな成果だが、純然たるエンタメとして厳しく見るなら、乗れるかどうか反応は割れるかも。

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牛津厚信

3.5スケール感はやや期待外れだが、映像やメッセージ性は悪くない

2024年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

1982年生まれのリトアニア人女性クリスティーナ・ブオジーテと、1974年生まれのフランス人男性ブルーノ・サンペルという、珍しい組み合わせの映像作家コンビによる4度目のコラボ作品。ブオジーテ監督は2003年から短編映画を作っていたようだが、2008年の初長編監督作「THE COLLECTRESS」(英題)でサンペルと共同で脚本を執筆。同じ担当で2012年の「ナイトメアは欲情する」を作ったのち、2014年のオムニバスホラー「ABC・オブ・デス2」の一編で初の共同監督、そしてこの「VESPER ヴェスパー」で2度目の共同監督という流れになる。

手つかずの自然を思わせる荒涼とした山々や森でのシーンはブオジーテ監督の出身国であるリトアニアで撮影されたという。知識がほぼ皆無だったので地図を見たら、北欧圏に位置し、東にベラルーシ、南にポーランド、バルト海を挟んで西にデンマークがある。北緯は樺太の最北端とほぼ同じだそうで、寒々とした空気感が映像から伝わってくる。

ポスターやキービジュアルに「宇宙戦争」のトライポッドに似た巨大構造物があり、壮大な世界観を予感させるのだが、そのわりにはかなり小ぢんまりした話で、ハリウッド製SF大作のような派手なアクションやアドベンチャーを期待すると肩透かしになるかもしれない。2020年日本公開作「囚われた国家」もそうだったように、背景の巨大な物体で大作感をほのめかしながらも本編は意外に地味というのはたまにあるけれど、こけおどしというか張子の虎というか。資料の監督インタビューによると、アメリカの企業が実際に特許取得した遺伝子組み換え種子では、1度だけ収穫ができたあと2世代目以降の種子が成長するのを阻害するプログラムが組み込まれるのだという。そうした科学技術の行き過ぎや環境破壊のリスクに警鐘を鳴らす姿勢は評価できるし、人工知能と知性、女性同士の連帯といった要素も現代的だが、やや切れが甘く、雰囲気先行になってしまったか。

ヴェスパーを演じた2007年イングランド生まれのラフィエラ・チャップマンは、中性的な魅力が印象に残る。特殊な世界観の中でキャラクターを自然体で表現できる演技力もあり、今後が楽しみな若手だ。次回主演作は今年英国で公開予定の「Sweet Brother」だが、予告編を見たところクセが強めのカルトホラーといった趣で、日本で劇場公開されるかは微妙かも。

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高森 郁哉

3.5劇場公開された時から

2024年11月6日
Androidアプリから投稿

ビジュアルに惹かれ、ずっと気になっていたが、あまりにも評価が低かったため鑑賞をためらっていた。時が過ぎたまたまWOWWOWで配信していたので、なんとなく鑑賞。行き過ぎた資本主義や、限られた人間のみが握る科学技術など、現代社会への批判が込められたストーリーや、地味ながらも近未来のディストピアのビジュアルなど、個人的には好みな作品。ストーリーに説明が少ないなど批判が多く見受けられるが、そうであるならブレードランナーは駄作と言ってるようなもの。ブレードランナーほどのスケール感がなかったので、採点はやや辛めにしたが、いい作品だと思う。

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レイは!?★

2.0崩れた世界の中で・・・

2024年10月31日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

寝られる

生態系の崩れた世界での話。
富裕層が城塞都市に住み、貧しい人たちは外界でボソボソと暮らしている。
奇妙な植物に囲まれ、よくある近未来モノのSFとは、ちょっと趣が違う。

面白そうだと思ったんだけどな〜。
ごめんなさい、自分には合いませんでした。

何やら、研究に勤しむ少女が可愛かったんだけど、話が一向に展開しない。テンポが悪くて、全然話に入り込めなかった。

ラストもわけが分からない?

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ratien