橋ものがたり「約束」

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橋ものがたり「約束」

解説

藤沢周平の名作短編集「橋ものがたり」に収められている「約束」を、これまでにも数々の藤沢周平作品を手がけてきた時代劇専門チャンネルが映像化。「北の国から」シリーズの名匠・杉田成道がメガホンを取り、歌舞伎界のホープとして注目される片岡千之助が主演を務めた。

錺(かざり)職人のもとに奉公していた幸助は、ようやく8年の年季が明けることになった。幸助には思いを寄せる幼なじみのお蝶という娘がおり、2人は幸助の年季が明ける日の夕刻に、萬年橋で会う約束をしていた。しかし、互いに思い合いながらも、幸助は人には言えない秘密を抱えており、一方のお蝶もまた、幸助に話すことができない思いを秘めていた。幸助はお蝶のために作った簪(かんざし)を懐に入れ、橋が見渡せる川辺からそっとお蝶の姿を探すが……。

時代劇初主演となる片岡千之助が幸助を演じ、お蝶役は映画「春画先生」やNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」「どうする家康」などで活躍する北香那が務めた。そのほか、元宝塚歌劇団雪組トップスターの望海風斗が映像作品に初出演している。2024年2月3日の時代劇専門チャンネルでの初放送に先駆け、1月26日から新宿ピカデリー&MOVIX京都で期間限定劇場上映。

2024年製作/121分/G/日本
劇場公開日:2024年1月26日

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(C)日本映画放送 藤沢周平(R)

映画レビュー

4.0泣きの演技に泣かされて・・・それでも後味はよきカナ

2024年2月29日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

「Perfect・・・」とか「哀れなる・・・」とか「Oppen・・・」とか、ごちゃごちゃ御託を並べ、ひねくれたレビューを書きながら、多くの人が「号泣した」「感動した」という作品に一筋の涙も流さず、感動より反発を覚えたりする自分って、人として何か大切なものが欠けているんじゃないかと、ふとそんな不安に囚われたりもするのです。
(ま、それでも、色んな感想があるから面白いじゃん、と開き直ってはいるんですが)
そんな私が、単に「推し」にめっぽう弱く、コロッと泣かされてしまう単純なジジイであることを思い知らされる、そんなドラマを見ました。「時代劇専門チャンネル」のオリジナルという、決して多くの人に見られるものではないであろうドラマでしたが、その鑑賞後の後味は、「とっても美しいものを見た」というすがすがしい満足感。
北香那の泣きの演技・・・
はい、「春画先生」のレビューでもお分かりのように、私の今一番推しの女優さんが彼女。
「バイプレイヤーズ」のジャスミンに始まり、「ペンギンハイウェイ」の主人公の男の子の声、「アバランチ」の町工場の娘さん、そして「拾われた男」のオタク女子に大河ドラマのLGBD側室・・・で、先の「春画先生」の激情偏愛バツイチ娘。
決して主役を張る派手なスター性はないけれど、毎回様々な味のある演技を見せてくれる彼女が、今回は実に繊細な泣きの演技で魅せてくれます。
と言っても、 泣きのシーンのほとんどは、声もあげず、ただ目からぽろぽろ涙を流すという抑えた演技。これが実に良い!!
特に、幼馴染で思い人の見習いかんざし職人と、河原の土手で5年後の再会を約束するシーン。幼馴染からかけられた言葉と差し出された作りかけのかんざし・・・
苦界に身を落とす哀しみ、恥ずかしさ、運命に押しつぶされそうな不安、そんな過酷な明日からの日々に自分を支えてくれるささやかな希望・・・そんな実に複雑な感情をすべて、作りかけのかんざしを手渡され、それを握りしめながら声もあげずただ目からぽろぽろ涙を流し、それでもけなげに口元に笑みを浮かべる演技で表現していました。
走り去るその足音までが、はかなく、か細く、それでもけなげで・・・
いやあ・・・ドラマを見ながらのもらい泣き、実に久しぶり。
このシーンだけでも、見てよかったと思わせる、とても美しく尊い演技でした。
相手役の片岡千之助クンの演技が、これも押しつけがましくない優しさ、見習い職人らしいたどたどしさや危うさを繊細に表現し、キタカナの演技と絶妙にハーモニーしています。

なかなかマイナーなチャンネルで、多くの人に見てもらえるドラマではないかもしれないけれど、それでも、少しでも多くの人に見てもらいたいなあ・・・と思う北香那推しのジジイです。

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みなとのジジイ

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