52ヘルツのクジラたちのレビュー・感想・評価
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ぜひお勧めします!
とにかく杉咲花が素晴らしい。「市子」の時も最高でしたが本作ももう憑依したかのような演技は圧巻で心を鷲掴みされてしまうほど素晴らしいです。脇を固める俳優さん達も良かったです。ストーリーとしては東京から海辺の街の一軒家に移り住んできた、いろいろ事情がありそうな貴瑚(杉咲花)と母親から虐待を受ける少年「ムシ」(桑名桃李)との出会いからもう釘付けです。海を見下ろす家や素晴らしい海辺の数々の景色が最高でした。アンさん(志尊淳)は途中、帰宅して薬を飲むシーンでクリニックの名前でいろいろ分かってしまいましたが志尊さんや宮沢さんもとても素晴らしいお芝居でした。
もはや杉咲花に見えないくらいの圧巻の演技!
『市子』でも書いたレビュータイトルに近しいものになってしまったのも、
この映画も主人公 貴瑚(きこ)を演じる杉咲花の演技が圧巻だったからです。
劇中の3年前の貴瑚はパッと見、杉咲花とわからないほど外見が違っており
単にメイクとかだけではなく、表情や話し方も現在の貴瑚ではないんですね。
志尊淳演じる安吾と出会い&小野花梨演じる美晴と再会したときに行った
居酒屋での杉咲花の演技は圧を感じるほどに迫力があり、こちらまでもらい泣きしてしまいました。
割と冒頭のこのシーンで面くらい、そのまま物語に引き込まれていきました。
52ヘルツのクジラは、他のクジラが聞き取れないほど高い周波数で泣く世界で1頭だけの孤独なクジラ
を指していますが、本作では“たち”となっており、複数の人間の生き方がまさに
52ヘルツのクジラだろうということで比喩しています。
社会問題にもフォーカスをあてながら、主人公貴瑚を軸として、様々な生きづらさが表現されていて
観ていると落ち込んでしまいそうになりますが、
やはりラストでは何かしらの光明を見出すところに、救われた気持ちになりました。
脇を固める俳優の演技も素晴らしかったです。
特に志尊淳は難しい役だったと思うのですが、心の機微の繊細な表現やセリフまわしなどに感動しました。
個人的には金子大地のキャラクターに救われる思いでした。
丁寧に描かれているので、とてもわかりやすい内容になっていますし、
何より杉咲花は、次回作が期待されるような俳優に成長していると思います。
泣きすぎてドッと疲れが出ましたが、心地よい疲れでした。
オススメの作品です。
より理解を深めるために、パンフレットを読みます。
【杉咲花映画】
予告編で十分泣けるインパクト。杉咲花の爆発する演技力を堪能するのはもちろん、脚本の改稿から参加し、本作の姿勢を中からも外からも本気で考える彼女の思いがひしひしと伝わってくる一本。
◆概要
【原作】
町田そのこ「52ヘルツのクジラたち」(2021年本屋大賞受賞、累計発行部数85万部)
【脚本】
「ロストケア」龍居由佳里
【監督】
「八日目の蝉」成島出
【出演】
杉咲花、志尊淳、宮沢氷魚、小野花梨、桑名桃李、金子大地、西野七瀬、真飛聖、池谷のぶえ、余貴美子、倍賞美津子
【主題歌】
Saucy Dog「この長い旅の中で」
【公開】2024年3月1日
【上映時間】135分
◆ストーリー
自分の人生を家族に搾取されて生きてきた女性・三島貴瑚。ある痛みを抱えて東京から海辺の街の一軒家へ引っ越してきた彼女は、そこで母親から「ムシ」と呼ばれて虐待される、声を発することのできない少年と出会う。貴瑚は少年との交流を通し、かつて自分の声なきSOSに気づいて救い出してくれたアンさんとの日々を思い起こしていく。
◆
◆以下ネタバレ
◆
◆杉咲花
予告の数シーンだけで毎度涙をそそられ、見ない選択肢のなかった本作。母からの暴言を嗚咽しながら吐露し、“生きたい”と涙をこぼすシーンにやはり泣かされたし、杉咲花の演技力の改めて素晴らしいこと。個人的には、母から絞首された時の恐怖に見開いた目、愛(いとし)に家族になろうと伝える優しい目、彼女の目の演技に見入った。そしてもう一つ本作を語る上で欠かせないのは、彼女が初めて脚本の改稿作業にも参加したこと。本作に参加する条件を、本作を現実社会に生きる自分たち自身のこととして、あるいは課題として描く事としたという彼女。まさに全身全霊で本作に望んだ彼女の気概に身震いする思いで、ヤングケアラーというまだ耳馴染みのない存在の、その苛烈さも感じ取れた。「やりきったと手放しで喜んでいません。きっと議論が起こると想像していますし、皆さまの声を真摯に受け止めたいという気持ちを持っています」と話す彼女にやはりその本気度が伺える。
◆アン
トランスジェンダーとして、やはり52ヘルツのクジラでもあった安吾。終始貴瑚を見守る、原作の言葉を借りるならまさに“アンパンマン”だった彼は、常に静の状態。それが唯一、動と化したのが母親にその姿を明かされ、身体的卑語を浴びせられたあのシーン。激しく泣き叫ぶ志尊淳の演技が際立っていて、本作の中でも最も心が痛んだ。振り返れば結局自害にまで追い詰められたのは母の“障害”という言葉だったわけで、心身ともに限界だった貴瑚を“家族”から切り離すほど俯瞰から見れていた彼も、自らに対してはその選択肢も見えぬほど逆に“家族”に追い詰められた比喩も虚しかった。そして本作の外野で気になる事が一つ、安吾がトランスジェンダーである事が公式サイトで明かされている事。壮大なネタバレで、伏せてあれば貴瑚がそれを知るのと同時に観客もミスリードに気づく事になる重要な要素のはず。ではなぜその選択肢を製作陣が選んだか。杉咲花は「物語の展開をドラマティックにするために性的マイノリティの方を登場させてきた歴史があると思っています。」と語る。前項のような参加度ならその思いが影響しているのは確実で、ドラマ性よりも、本作が映画として世のマイノリティに寄り添う事をチームとして重視したと踏む。そんな本作と、彼女の姿勢に改めて感銘を受ける。
◆いとし
体中アザだらけの激しい虐待を受けても、貴瑚に傘をさす優しさを持ついとし。声も出ない、髪も長すぎる、その“何かある感”満載の素性は、祖母のご近所から全て明かされ、合点がいく。“52ヘルツのクジラ”の音で、あのイヤホンのように心でも繋がり共鳴していく貴瑚との関係性(そもそもそれは安吾が繋いだバトンでもある)に心がほだされる。家族を一度捨てた貴瑚がついにいとしと家族を作る覚悟を決めた時、彼が初めて“キナコ”と名を呼ぶ事で呼応する。いとしの声が出た、つまり彼の心の深すぎる傷が少しだけ救われたシーンなわけで、思わず落涙する本作の山場だった。ラストで海をバックに入るタイトルは、どこかにいる52ヘルツのクジラたち、つまり世のマイノリティたちをあたたかく照らすよう。エンドロールで手を繋ぎ海を眺める貴瑚といとしの姿は、まさにその後お互いが幸せを与え合うだろう“魂のつがい”そのものだった。
◆関連作品
○「八日目の蝉」('11)
成島監督の代表作。第35回日本アカデミー賞で最優秀賞など10冠獲得。本当の親子愛について考えさせられます。Netflix配信中。
○「湯を沸かすほどの熱い愛」('16)
杉咲花の代表作で、第40回日本アカデミー賞助演女優賞を受賞。ボロボロに泣けます。Netflix配信中。
◆評価(2024年3月1日時点)
Filmarks:★×4.1
Yahoo!検索:★×3.8
映画.com:★×4.3
「市子と凄い」
今年29本目。
52ヘルツのクジラとは仲間が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラの事。先月見た「市子」と今作で杉咲花さん今一番凄い。圧倒されます。「マッチング」の土屋太鳳さんとこの2人の演技が見れるって、本当に幸せな事だと思います。
『市子』の続編ではないのに…
キナコは強い。
たぶん、この映画の鑑賞直後の感想としては、えっ、どういうこと?みたいな感じだと思いますが、以下、その理由について。
・キナコの身体的感性が第二の人生で覚醒
キナコの強さは身体的感性の素直さにある。
安吾が終わらせてくれた第一の人生の中では、心身ともひたすら耐えるのみであったが、第二の人生では、ビールの味、焼肉の味、セックスの味というように身体的快楽を通じて〝生〟を実感していった。
なんだか『哀れなるものたち』のベラと似てないか?
・甘ったれのクズ専務の暴力表現について
結婚生活と愛人関係が両立できると考えてる時点で、その幼稚さは明白。また、酒に溺れたり、キレると暴力的になるステレオタイプなダメ男ぶりをわざわざ描いていたが、興信所の調査結果を使っての卑劣な所業や遺書を燃やしてしまう短絡的な思考だけで、キナコが専務を見限るのに十分な理由となる。暴力が殊更に目立ってしまうとキナコの感性の繊細さ、つまり、本人の心の傷や安吾への寄り添いと後悔よりも顔に残された表面的な痣のほうが印象づけられてしまう。
だが、キナコの心はクズ野郎の暴力などでは折れない。
クズ専務がやっていること(男の支配欲で女を従わせる)は、実は『哀れなるものたち』の男どもの所業と本質的に同じではないか?
・性同一性障害に関する安吾の葛藤について
性同一性障害の方にとって肉体的な壁がどれだけ恋愛関係を構築する上での妨げになるのか。
生まれついての肉体は男だが心は女という人の場合、子宮がないことで、恋愛は諦めるのか。
性が肉体と心で一致している男女であっても、なんらかの理由で性的な関係が結べないことはある。
もちろん、性同一性障害の人だって、それぞれ別の人間なのでひとくくりにパターン化することなどできない。
人間の感情は決して合理的に割り切れるものではないからこそ、「愛することをやめた」安吾の心の複雑さと変遷をもう少し丁寧に描いて欲しかった。
自殺の直接的な原因(キッカケ)は、母親からもそれを〝障害〟と言われたことだったが、橋の上でキナコから拒絶された時、肉体上の快楽を与えられない自分について、あらためて思い至ったことも無関係ではない。
従来の男どもに染みついているさまざまな〝哀れさ〟まで、一緒に纏う必要はないのに、恋をしてしまった時、そして哀れさの象徴である新名に出会ってしまった時、ピュアで優しくて繊細な感性が、哀れさに耐えきれず壊れてしまった。
安吾の死は、とても悲しくてやりきれないことだが、同時に弱くもある。
身体的強さとは、セックスで快楽を与えることだけではない。ハグしたり、一緒に食事を楽しんだり。
52ヘルツの鯨たちの声を聞いてあげられることは、とても強いこと。
それを〝身体的な強さ〟のひとつとして(本人にそんな自覚はなくても)、イトシを守ろうとするキナコはやはり強いと思う。
髪の毛の長さは人生やり直しの証。
市子を見て、これも、と思い鑑賞。
DVを経験したキコがひょんなことからネグレクトでDVを受けた「52」と暮らし始める。
大分の現在のシーンの合間に3年前・2年前・1年前の回顧シーンが入って、これでもかってくらいの不幸を経験する。
髪の毛がだんだん短くなるのが人生リセットしたんだな、と思いながら見ていた。
大分・佐賀関の景色だけはいい
本作の作り手はいろんな不幸な境遇の表面だけを寄せ集めれば感動すると考えてるのだろうか。繊細な題材を扱うにはあまりに雑だし、そもそも志尊淳という男優を安吾役にしてる時点で間違ってると思う。パッと見がヒロユキみたいなのもウエッとなった(個人の感想です)。
開始5分の「東京で風俗〜」の会話で厳しい予感がしたのだが、やはりというか、説明セリフと意味不明なカメラワークや演出が冗長に続いた結果、上映20分で作品に対する興味を失って、あと2時間もあんのか…と絶望的な気分に…。BGMで盛り上げようとしすぎだし、暴力やら流血やら体の痣やらのシーンも無駄に多く、杉咲花の演技力がまるで生かされないのだが、話への期待がなくなった分、宮沢氷魚の学芸会みたいな演技でもリラックスして最後まで寝ずに観てしまった(笑)。
成島出監督作は昨年のファミリアもキツかったけど、本作は監督の手腕だけの問題なのだろうか。未読ながら、忠実な映画化というレビューも見受けられる町田そのこの原作本は、2021年本屋大賞受賞作とのこと。やっぱ本屋大賞はアテにならない(爆)。
最後に救いもある
原作は読んでませんが話題になっていた小説なので、映画化は楽しみにしていました。
主人公の家庭環境の酷さ、感情を殺して生きてる様が先日観た杉咲花さん主演の『市子』とかなりかぶってしまいます。あまりの不幸な生き方に途中、やるせなくなってしまう感情も全く同じ。どちらも友情には恵まれてるのも似ている。
でもラストは救いがあって良かったです。エンドロールの貴瑚と愛の海を眺める後ろ姿から、幸せな未来を予想して少し安堵してます。
それにしても愛を演じている子役君はデビュー作?すごく良い演技でした。あとやっぱり倍賞千恵子さん、最後の方に出てくるだけなのに印象が強烈なのは流石ですね!
ところで、、気になって52ヘルツにクジラを調べてみたら実在するのですね。そっちも切なかったです。泣き声のような歌、耳に残ります。
偽りの救済という形の団円
『町田そのこ』の小説は
既刊十一冊のうち七冊を読了。
自分にしては高比率も
一冊を除けばタイトルを見るだけで
「ああ、こ~ゆ~内容だったよね」と
想起が可能。
その唯一の例外が標題作。
ハードカバーで読んでいるにもかかわらず、
ほとんど記憶に残っていない体たらく。
ただ、
イマらしいイシューをよくまあこれだけ大量に詰め込んだよな、との印象と
なんでこれが「本屋大賞」なの?との疑問だけは強く残っている。
前者であればかなり手垢の付いた事象の数々だし、
後者なら〔博士の愛した数式〕のような斬新さも、
〔かがみの孤城〕のような仕掛けも無い。
とは言え原作と映像化された作品は別物。
料理の仕方によってとんでもない秀作に化けることはあり、
そこは〔八日目の蟬(2011年映画化/2008年本屋大賞の第6位)〕を世に出した
『成島出』の手腕に期待なのだが。
ある種、白紙の状態で鑑賞に臨むも
時として嘗て読んだ時の記憶がぱらぱらと甦ってしまうのは困りもの。
過去との往還はありつつも、
ストーリー自体はほぼ一本道なものだから
印象的な出来事ほどぱっと想起され
先の展開があっさりと読めてしまう
(いや、そうでなくとも、ミステリ的要素は弱めか)。
盛り込まれている問題のインパクトは強いものの、
一つ一つを見ればあまりにありがちで
新奇さはさらさらない。
とは言え、これだけの数の強烈なエピソードを盛り込み、
各パートを有機的に関連付け、
一つの物語りに纏め込む力業には驚嘆。
各種の受賞には
そうしたことが評価されたのか、と
今更ながら思わぬでもない。
映像化の「功」の力か。
主人公を進んで救う無私の人物が
タイミング良く次々と現れる展開には鼻白む。
また、不義理をされてもあっさり寛容するだけの魅力が
彼女に有るかと言えば甚だ疑問で
主体性の弱い造形にはあまり共感できぬ。
意志を強固に表わす結末の落着にしても、
子供が子供を育てるようにしか見えず、
彼女と彼の将来に幸あれとは思うものの、果たして?
との不安を強く抱かせるもの。
『三島貴瑚(杉咲花)』の声なき声を掬い上げた『岡田安吾(志尊淳)』も
実際は52Hzの声を上げており、
『貴瑚』がそれに感応できなかったのはあまりに悲しい。
結末は、単にその贖罪に見えてしまう。
搾取は愛じゃない 家族が重くなったら逃げていい テーマは重めだけれ...
搾取は愛じゃない
家族が重くなったら逃げていい
テーマは重めだけれど、映画構成が上手く伝わり易かった。場面毎すすり泣きが聞こえ私も涙したが、見終わってみると時事トピ盛なメルヘンタッチで纏めだったと感じた。リアリティが薄いの
自己犠牲で生き方を見失ったキコが生き直し同じ傷ある子供愛を救い出すギフトの循環は素敵だ。生きる意味に力が注がれており問われるが、自分に価値を与え愛を持って生きよう なのだと思う。見て良かった
切ないけど前を向いて生きる
杉咲花の熱演に圧倒される。それに引っ張られるかのように、男性陣がやや過剰演技になってはいたが、それに対してベテランの倍賞美津子や余貴美子が深みを加えてくれていた。
あまり詳しく中身を書くより観て欲しい映画だ。
一人一人が本当に一生懸命生きて、優しさと切なさを持っているのだ。クジラの声を聞くだけでも泣けてきた。
安吾の母が骨壷を抱えて貴湖に語る言葉がとても心に沁みた。どうしてそのままのあなたでいいと言ってあげなかったんだろうと。それ、あるよねとグッときた。
最後にこの土地に根ざして生きていくことに希望が見えて温かい気持ちになれたのも良かった。
毒親、毒親、クソ専務
不幸な人生を歩んできた女性が周囲の人に助けられて人生の希望を見出す話。
主人公の貴瑚と貴瑚を救いたいアンさんとの恋物語の一面も。
出てくる人物が毒親、毒親、クソ専務とクズのオンパレード。
西野七瀬も宮沢氷魚も上手いからよけいに腹が立ちます!
小野花梨さんも最近よく見ますね。ハケンアニメから活躍を期待していたのでうれしい。
貴瑚の幸せだけを願うアンさんについては早めに謎が分かるけど、気持ちを考えると辛すぎて泣けます。
市子に続いて杉咲花は不幸な女性を演じてるけど、同世代で右に出る人はいないぐらいの女優の風格。
信じてっていう奴は信じちゃダメな奴。
DVとかに耐性があるならオススメ。
52ヘルツのクジラ達
誰かて52ヘルツの呪文の三つや四つ持って生きてる。
老人過疎地に逃げても長くは支えにならない。
ホエールウォッチングなら沖縄がいいそうです。
ほな、サイナラ、サイナラ、サイナラ…
( ´∀`)
52ヘルツのクジラたち
2021年本屋大賞を受賞した町田そのこの同名ベストセラー小説を、杉咲花主演で映画化したヒューマンドラマ。
自分の人生を家族に搾取されて生きてきた女性・三島貴瑚。
ある痛みを抱えて東京から海辺の街の一軒家へ引っ越してきた彼女は、
そこで母親から「ムシ」と呼ばれて虐待される、声を発することのできない少年と出会う。
貴瑚は少年との交流を通し、かつて自分の声なきSOSに気づいて救い出してくれたアンさんとの日々を思い起こしていく。
杉咲が演じる貴瑚を救おうとするアンさんこと岡田安吾を志尊淳、
貴瑚の初めての恋人となる上司・新名主税を宮沢氷魚、
貴瑚の親友・牧岡美晴を小野花梨、
「ムシ」と呼ばれる少年を映画初出演の桑名桃李が演じる。
「八日目の蝉」「銀河鉄道の父」の成島出監督がメガホンをとり、「四月は君の嘘」「ロストケア」の龍居由佳里が脚本を担当。
タイトルの「52ヘルツのクジラ」とは、他のクジラが聞き取れないほど高い周波数で鳴く、世界で1頭だけの孤独なクジラのこと。
涙と鼻水は花粉のせい?!
今日は朝早くから強風にあおられ花粉が大量に飛散してるのか、まだ始まってまもなく少年(桑名桃李くん)が貴瑚(杉咲花さん)にボロビニール傘を差しかけた時点で鼻水と涙が出てきました。なにせヒロインは杉咲花さんですものね!スギ花粉いっぱい飛びそうです。(失礼!)
本屋大賞の原作、くらいの下情報だけでなんの先入観もなしに鑑賞しましたがやはり初回上映回のまばらな観客中で嗚咽する音を聞かれないよう最大限の努力をしながらの鑑賞。時折メガネをあげて眼を擦る姿、近くのご夫婦には気づかれたんでしょうね!
杉咲花さん『青くて痛くて脆い』で不思議な違和感(魅力?)を感じた女優さんだなぁって思ってました。それまでは一緒に回鍋肉を食べてる友達に「なくなるよ!」って忠告したり、食パンを美味しそうに食べる女の子のイメージだけでしたが今回改めて素敵なそしてすごい女優さんだって実感しました。
その美しい顔立ちと、もうずいぶん前になりますがNHKドラマ『女子的生活』でまさにトランスジェンダーの役を演じられて「キレイなお兄さん(お姉さん?)だなぁ」って思ってた志尊淳さん、なかなか主役での活躍は少なかったですが今回のアンさんはよかったです。ネタバレになりますがこの映画の中ではとても残念な結末でした。
『島唄』のお父さんを持つ宮沢氷魚さん、今回は珍しく悪役でしたね。結構好きだった黒島結菜さんとの(これから生まれてくる)お子さんには優しくしてあげてください。(だから役柄ですって!)でも本物かって思わせる悪人ぶりは若干オーバー演技気味ではありますが憎たらしかったので合格です。西野七瀬のクズぶりも圧巻です。
あといつもながら脇を締める倍賞美津子さん、余貴美子さん、安定の域ですね。
先週の『夜明けのすべて』に続き様々な社会問題をこれでもかって散りばめたストーリーは途中とめどなく落ち込む内容にはまりがちでしたが、エンディングはなんとなく光が見える形でホッとしました。桑名桃李くんの笑顔に救われました。
花粉症を抜きにしても今年一番泣いたかも。色々考えさせていただきましたがやはりたくさんの皆さんに観て考えていただきたいと思う作品でした。よかったです。
52ヘルツを聞く者もいる、或いは聞こえなくとも伝わり届く。
トランスジェンダーであることのアンの苦悩、そして第3者からキナコと母親に明かされてしまった悲しみと絶望が伝わってきた。
最後にタイトル『~クジラたち』と出て、 「ああ、複数形なんだ」と思った。
キノコ、アン、イトシ、3人の聞こえない叫びは互いに聞こえていたと思った。
(追記 アンの52ヘルツはキナコに聞こえなかったと思われる)
貴瑚と愛が隠れて暮らせば愛は無国籍になってしまう。くしくも無国籍者の市子を演じた杉咲選手が、愛がそうならないよう尽力するのもオモシロイ
あらすじ知らずがおすすめ、感動
いい映画だった。
たぶん、あらすじや原作知ってても十分楽しめると思いますが、あらすじを知らない方楽しめると思います。
私は予告は見ていたので、虐待と介護というキーワードだけを知っていましたが、もっともっと奥が深い切ないストーリーでした。
予告を作った方にも感謝。
杉咲花と志尊淳のおふたりはさすがの一言。こんな優しい気持ちで幸せな気持ちになる映画も珍しい。
また、宮沢氷魚と西野七瀬も良かった。最近は悪役?も多いけど、恐らくこの4人は入れ替わっても映画として成り立ちそう。良かったです。
ネタバレしたくないので、ストーリーには触れませんが、前半、というか冒頭から、切なくて涙。キャラが分かっていないのに、単純に感動してしまった。
あと、無音部分も良い。
あの映画館での無音で 「シーン」と聞こえるような環境で観ると良いと思います。
映画好き以外の友人にも勧めたい映画でした。
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