劇場公開日 2024年3月1日

「もはや杉咲花に見えないくらいの圧巻の演技!」52ヘルツのクジラたち ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0もはや杉咲花に見えないくらいの圧巻の演技!

2024年3月3日
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鑑賞方法:映画館

『市子』でも書いたレビュータイトルに近しいものになってしまったのも、
この映画も主人公 貴瑚(きこ)を演じる杉咲花の演技が圧巻だったからです。

劇中の3年前の貴瑚はパッと見、杉咲花とわからないほど外見が違っており
単にメイクとかだけではなく、表情や話し方も現在の貴瑚ではないんですね。
志尊淳演じる安吾と出会い&小野花梨演じる美晴と再会したときに行った
居酒屋での杉咲花の演技は圧を感じるほどに迫力があり、こちらまでもらい泣きしてしまいました。
割と冒頭のこのシーンで面くらい、そのまま物語に引き込まれていきました。

52ヘルツのクジラは、他のクジラが聞き取れないほど高い周波数で泣く世界で1頭だけの孤独なクジラ
を指していますが、本作では“たち”となっており、複数の人間の生き方がまさに
52ヘルツのクジラだろうということで比喩しています。
社会問題にもフォーカスをあてながら、主人公貴瑚を軸として、様々な生きづらさが表現されていて
観ていると落ち込んでしまいそうになりますが、
やはりラストでは何かしらの光明を見出すところに、救われた気持ちになりました。

脇を固める俳優の演技も素晴らしかったです。
特に志尊淳は難しい役だったと思うのですが、心の機微の繊細な表現やセリフまわしなどに感動しました。
個人的には金子大地のキャラクターに救われる思いでした。

丁寧に描かれているので、とてもわかりやすい内容になっていますし、
何より杉咲花は、次回作が期待されるような俳優に成長していると思います。

泣きすぎてドッと疲れが出ましたが、心地よい疲れでした。
オススメの作品です。

より理解を深めるために、パンフレットを読みます。

ひでちゃぴん