町山智浩「アンダー・ザ・シルバーレイク」と「ロング・グッドバイ」の類似点を指摘
2018年10月14日 09:00
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[映画.com ニュース] アンドリュー・ガーフィールド主演、デビッド・ロバート・ミッチェル監督のサスペンススリラー「アンダー・ザ・シルバーレイク」の公開記念トークショーが10月13日、東京・新宿バルト9で行われ、映画評論家の町山智浩氏が登壇した。
セレブやアーティストたちが暮らすシルバーレイクを舞台に、消えた美女を探すうちに街の裏側に潜む陰謀を解明することになるオタク青年サム(ガーフィールド)の暴走と迷走を描いた物語。客席の疑問に答える形でトークを進めた町山氏は、約16年前のシルバーレイクは「変な人しか住んでいなかった」と述懐し、首元に垢のついたシャツを集める服飾アーティスト、テルミンしか使用しないバンド、朝から晩までビデオ屋に居座るZ級映画の研究者、ピンクのキャデラックを乗り回す職業不詳の女性といった珍妙な人々のエピソードを次々と披露。そして「(同所が)おしゃれになってしまった原因は、ジョセフ・ゴードン=レビットとジェームズ・フランコが家を買ったからなんです。ハリウッドのヒップな人たちがそういうことをすると、(土地の)値が上がる。すると、アート系の人々がいなくなり、文化としては衰退していってしまうんです」と説明した。
「劇中に出てくる映画の元ネタは“夢”に関するものばかり」「(劇中では)ハリウッドにまつわる不吉な殺人、謎の死に関わる女優が次々と出てくる」と分析し、ジェーン・マンスフィールド、マリリン・モンローとともに挙げたジャネット・ゲイナーが出演する「第七天国(1927)」から「ラ・ラ・ランド」へと話題を転じた。「『第七天国』は『ラストが夢なのか、違うのか』と論争になった。この作品を見たデイミアン・チャゼル監督が『求めている願望が現実として描かれるエンディングが素晴らしい』として、『ラ・ラ・ランド』の最後で描かれる“別の時間軸”を作ったんです」と話していた。
さらに「アンダー・ザ・シルバーレイク」と共通するロケ地・グリフィス天文台に言及。「『ラ・ラ・ランド』は主人公たちがプラネタリウムを上に向かっていきますが、本作のサムはどんどん地下に行き、ダメになっていく。実際に約10年もシルバーレイクに住んでいたミッチェル監督が、有名になっていく周囲とは対照的に苦しみ続けたという経験が反映されているようです」と語っていた。
「(本作は)六本木や吉祥寺でも作れる話だと思いますよ(笑)。あそこで有名な人が歌っていたというものを探っていくと、『実はこうなっていた』という物語。こういう話はいっぱいある」と述べると、ロバート・アルトマン監督作「ロング・グッドバイ」を挙げた。「主人公のフィリップ・マーロウが行方不明者を探していくうちに、ハリウッドにいる変な人たちに会う。すごくよく似ている。ハリウッドという迷宮を巡る話なんです。監督がもう1つ参考になったと言っていたのは、同じく探偵が主人公の『キッスで殺せ!』」と濃厚なネタで客席の関心を引きつけていた。
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