7年前、IMAX3Dで観た衝撃が忘れられない。
当時、「アバター」以来の3D作品は、3D技術を見せるシーンが物語のシークエンスから微妙に浮いているような印象を持っていた。ところがこの作品は、IMAX3Dによる広大な宇宙の臨場感溢れる映像が、主人公の孤独感や絶望感、後半の彼女の決心の重さに強烈な説得力を与えており、エフェクトが出しゃばることなく物語のテーマと融合していた。
裏を返せば、テレビ画面で2Dで観たのではせっかくの良質な物語の説得力が半減してしまう、そういうタイプの映画だ。それは作品の本質的な価値が低いということでは決してない。ただ悩ましいのは、上映期間終了後に家であの感動をもう一度、というわけにはなかなかいかないという点だ。
今回コロナ禍で新作公開が滞った折に、そんな本作を再上映作品に選んだTOHOシネマの素晴らしいチョイス。7年経っても映像の力は全く色あせておらず、手に汗握りながら心地よく宇宙酔いした。また、こちらが年を取ったせいか主人公の心の機微を余計に切実に感じた。
オンデマンド隆盛の時代とは言え、映画館での映像体験から遠ざかるのはあまりにもったいない。日常から離れて一人でも気軽にイベント的な映像体験が出来て、思い出を作れる場所。IMAXやドルビーシネマもいいし、ひなびた映画館で気楽に鑑賞するのもまた楽しい。
少しずつ新作公開も復活しつつある。がんばれ映画館。