スティルウォーター

劇場公開日:

スティルウォーター

解説

マット・デイモンが主演、アカデミー賞受賞作「スポットライト 世紀のスクープ」のトム・マッカーシー監督がメガホンをとったサスペンススリラー。逮捕された娘の無実を証明するため、異国の地で真犯人を捜す父親の姿を描いた。留学先の仏マルセイユで殺人罪で捕まった娘アリソンの無実を証明すべく、米オクラホマ州スティルウォーターから言葉も通じない異国の地へ単身渡ったビル。現地の協力者を得るも、ほとんどの地元民はよそ者のビルに口をきこうともしない。何者かの襲撃を受けるなど自らの身にも危険が迫る中、ビルはわずかな手がかりを頼りに前進していくが……。娘のアリソン役は「リトル・ミス・サンシャイン」「ゾンビランド」のアビゲイル・ブレスリンが務めた。

2021年製作/139分/G/アメリカ
原題または英題:Stillwater
配給:パルコ
劇場公開日:2022年1月14日

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(C)2021 Focus Features, LLC.

映画レビュー

4.0変わるマルセイユ、変わらないオクラホマ、変わる主人公

2022年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

フランスをはじめ、欧州で排外主義的な動きが高まっている。極右勢力が政権与党に入ることも珍しくなくなってきている。本作のタイトルは、オクラホマ州の町の名前で、主人公の出身地。しかし、映画の主な舞台はフランスのマルセイユだ。2つの街の、対照的な部分と共通している部分が映画の中で示される。
進化に取り残されたかのようなスティルウォーターは、いつまでも変わらない。白人ばかりが住んでいて、新しい経済も発展していない。主人公は石油会社に務めていた肉体労働者だが、職を失いかけている。変化できずに沈んでいく街であるスティルウォーターと対照的にマルセイユは劇的に変化している。フランス一の移民の街であるマルセイユは、多くのイスラム教徒が暮らしいている。主人公の娘は、イスラム系の彼女を殺害した嫌疑で収監されている。多様性を尊重する舞台女優のヴィルジニーは排外主義的な白人の老人に激昂する。急激な変化で移民に対する嫌感情も台頭しているマルセイユは、変化が激しすぎて多くの問題を抱えていると言える。
2つの街は対照的だが、どちらも20世紀のままではいられない。アメリカもフランスもこれからの指針を持てずに戸惑っている。この映画はそんな戸惑いを、一つの事件を通して見事にあぶりだしている。

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杉本穂高

4.0マット・デイモン作品にハズレなし。冒頭から脚本のうまさ、俳優陣の味わい深さに引き込まれる

2022年1月14日
PCから投稿

「扉をたたく人」や「スポットライト」で知られるトム・マッカーシー監督作なだけあって、極力少ない言葉数を用いて、主人公の陥った複雑な状況をわかりやすく伝える手腕には全く恐れ入るばかりだ。投獄された娘。事件の真相をめぐる父親の奮闘。はたまた、マルセイユで出会う母娘との心温まる交流ーーー。マッカーシーが従来の脚本執筆のやり方とは根本的に異なるやり方、すなわち異国の書き手とのコラボレーションによって構築した本作は、自ずと”異邦人”というモチーフを掘り下げ、それによって暗に「アメリカとは何か」を浮かび上がらせているように思える。冒頭シーンで不意に映し出される荒れ果てたアメリカの一帯も、主人公たちの心の情景を的確に表現したものなのだろう。決して明瞭な結末ではないが、その陰影が観る者に多くを問いかける。マット・デイモンら俳優どうしの空気感の醸成も素晴らしく、娘役アビゲイル・ブレスリンの存在感もさすがだ。

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牛津厚信

4.0もやもやを残す作品

2024年6月1日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

娘が殺人の冤罪で服役中。主人公の父親にとって我慢ならない状況だ。真犯人の証拠を探しているうちに、娘にも非があったことを知るが、事件は再審となり無実が証明された。

アメリカという国をストーリーに組み込んでいる。
やましいことがある。決して正義ではない。それでも正しいようなことをして家に帰ってきた。

もやもやしているのが、現代のリアリティ。勧善懲悪や完全なハッピーエンドには懐疑的になってしまう。本当に幸せなのかと。
ネットワークの充実、通信機器の発達によって、世界中のある程度のことを割と簡単に知ることができるようになった。そんなグローバル化によって幸せだと信じることがしにくくなっている。こちらでは幸せそうな人がいる一方で、あちらにはそうではない人がいる。それは以前も考えればわかることだったけれど、現代ほどの現実感は感じられなかった。

終始無表情な主人公が最も感情を表すのは、フランスの居候先の子供と別れるシーンだ。
子供の小さな背中を太い両腕が寂しそうに抱きしめる場面は、作品中最も感情的に描かれる。
娘の無実が証明されて、オクラホマに戻ったシーンは、父娘ともに嬉しそうではない。州によるセレブレーションのシーンなのに表情は明るくなく、気まずそうだ。

主人公はフランスのマルセイユで居候先で暮らしている場面が一番幸福だった。この幸せを失ったのは、自分の行動だし、元は娘が関係した事件のことがある。さらに娘がフランスに留学したのは、主人公が良い父親と距離を取りたかったからだ。原因と結果、因果応報。

主人公は目的を果たしたわけで、ハッピーエンドな展開であるはずだ。にもかかわらず、もやもやを残すこの作品にリアリティが感じられる。ラストのポーチで話す二人の表情が現代にとってふさわしい。

今後、映画に限らずストーリーテリングは、現実感のあるハッピーエンドを語れるのだろうか。

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F.C.くま

4.5ほどよくドキドキ

2024年5月17日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

難しい

萌える

仮面だらけの謎集団が出てきた時。
はじめて地下室が出てきた時。
女の子が家の中でいなくなり、もしや地下へ行った?と思った時。
など、いい頃合いで『なに?どうなるの?』という程よい緊張が視聴者に訪れる。
すごくいい映画でした。

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ここししし