M・ナイト・シャマラン監督はヒットメイカーなのか?  : 編集長コラム 映画は当たってナンボ

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コラム:編集長コラム 映画は当たってナンボ - 第8回

2008年8月4日更新

第8回:M・ナイト・シャマラン監督はヒットメイカーなのか?

東宝配給の日本映画が君臨する国内映画市場トップ10に、今週はハリウッド映画が3本割り込んできた。そのうちもっとも上位になったのは、「シックス・センス」のM・ナイト・シャマラン監督の新作「ハプニング」で、3位デビューに成功している。公開2日間の成績は、動員が20万9482人、興収2億8073万2500円となった。

これは、シャマラン監督の近作2本と比較すると、06年の「レディ・イン・ザ・ウォーター」のほぼ300%、04年の「ヴィレッジ」対比では82.5%という水準である。最終的には興収15億円あたりがゴールだろうと予測できる。公開前の下馬評からすれば、上出来の滑り出しだ。

まずまずの興行となった「ハプニング」 まずまずの興行となった「ハプニング」

さて、シャマラン監督と言えば、何と言っても99年の大出世作「シックス・センス」が未だ記憶に新しい。ホラー映画の雰囲気でヒリヒリと進行しながら、最後にドンデン返しを決めて感動作に変身させる仕掛けは、とても29歳(当時)の青年監督とは思えない鮮やかさだった。

この映画はアカデミー賞6部門にノミネートを受け、一躍時の人となったシャマラン監督は、続く00年の「アンブレイカブル」、02年の「サイン」とヒットを連発する。以下「シックス・センス」以降のシャマラン作品の日米における興行収入を記してみる。(題名に続くカッコ内は、全米配給/日本配給)

1999年「シックス・センス」(ディズニー/東宝東和)
全米興収:2億9350万ドル 国内配収:43億円(興収およそ70億円)

2000年「アンブレイカブル」(ディズニー/ディズニー)
全米興収:9500万ドル/国内興収:29.4億円

2002年「サイン」(ディズニー/ディズニー)
全米興収:2億2796万ドル/国内興収:34億円

2004年「ヴィレッジ」(ディズニー/ディズニー)
全米興収:1億1419万ドル/国内興収:17億円

2006年「レディ・イン・ザ・ウォーター」(ワーナー/ワーナー)
全米興収:4227万ドル/国内興収:3.4億円

2008年「ハプニング」(フォックス/フォックス)
全米興収:6374万ドル/国内興収:10~15億円

ディズニーと別れ、ワーナー、そしてフォックスと組んだ最近の2作品は、全米で必ずしも大成功は収めていない。「『シックス・センス』以降は坂を転げ落ちている」「もはやシャマラン・マジックはネタ切れだ」といった意見は引きも切らない。しかしながら、コンスタントに2年に1作をリリースしている点にまず驚かされる。一連の作品群は、すべてシャマラン自身の脚本なのだが、オーソドックスな佇まいながら、多分にトリッキーな要素をはらんだ「シャマラン印」に彩られている。「シックス・センス」を見てしまった観客は、「また何かやってくれるはず」という期待とともに新作を見ることになる。

これからがシャマランの正念場? これからがシャマランの正念場?

そういう意味では、今日、シャマラン監督は、スピルバーグ、タランティーノ、ティム・バートンのように、その名前で客が呼べる数少ない監督の一人であることは間違いない。アート系では、名の通った監督はもっと多いが、興行価値がともなった作家はまずいない。シャマランは、日本で10億円以上の興収をコンスタントに上げられる、数少ない監督の1人なのである。

もっとも、シャマラン監督はギャラも高い。その昔、「シックス・センス」では100万ドルだった監督料が、「アンブレイカブル」では300万ドル、「サイン」では何と1250万ドルにまで跳ね上がっていた。その後「適正価格」に近づいていったようだが、今作の「ハプニング」でも最低保証100万ドル以上、プラス本作が製作費を回収した後の売上の25%をギャラとして受け取る契約になっているらしい。

シャマラン監督は、今回の「ハプニング」で「レディ・イン・ザ・ウォーター」の水底から這い上がったかに見える。しかし観客は「シックス・センス」級のハプニングを期待していたはず。今作に対する観客の満足度は決して高くない。このあたりで起死回生の一発を決めないと、名前が忘れられかねない。シャマラン監督、そろそろ正念場である。(eiga.com編集長・駒井尚文)

[筆者紹介]

駒井尚文

駒井尚文(こまいなおふみ)。1962年青森県生まれ。東京外国語大学ロシヤ語学科中退。映画宣伝マンを経て、97年にガイエ(旧デジタルプラス)を設立。以後映画関連のWebサイトを製作したり、映画情報を発信したりが生業となる。98年に映画.comを立ち上げ、後に法人化。現在まで編集長を務める。
Twitter:@komainaofumi

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