コラム:細野真宏の試写室日記 - 第93回
2020年9月24日更新
映画はコケた、大ヒット、など、経済的な視点からも面白いコンテンツが少なくない。そこで「映画の経済的な意味を考えるコラム」を書く。それがこの日記の核です。
また、クリエイター目線で「さすがだな~」と感心する映画も、毎日見ていれば1~2週間に1本くらいは見つかる。本音で薦めたい作品があれば随時紹介します。
更新がないときは、別分野の仕事で忙しいときなのか、あるいは……?(笑)
試写室日記 第93回 アカデミー賞最多ノミネートは確実?「TENET テネット」をネタバレありで徹底解説!<2>
では、今回の2時限目は、「登場人物の紹介と役割」の整理をしておきましょう。
まずは、絶対に押さえておきたい人物は、「名もなき男」と「ニール」と「セイター」と「キャット」と「プリヤ」の5人です。
「名もなき男」(ジョン・デイビッド・ワシントン)
アメリカ人。キエフの「オペラハウス」にて、偽装テロ事件に特殊部隊として潜入した後、第三次世界大戦を防ぐための謎のキーワード「TENET」を巡るミッションに巻き込まれる。
正義感が強く、できるだけ多くの人たちを救いたいと思っている。常に自主的な訓練を怠らずに、強靭な肉体や洞察力に優れた頭脳を持っている。
リアルの世界では「デンゼル・ワシントン」の実の息子であるが、世間的にはまだ一部の人たちにしか知られていないので「名もなき男」という設定に合っている。
ちなみに、この「名もなき男」という設定もクリストファー・ノーラン監督のトリックであることが終盤に分かってくる。
「ニール」(ロバート・パティンソン)
「名もなき男」の任務遂行を手助けする優秀なエージェント。
実は、未来から「名もなき男」を助けるためにやってきたエージェントである。沈着冷静で、的確に任務を遂行していく。
リアルな世界では、次回作の「バットマン」役が決まっているなど、今後のさらなる躍進が期待されている。
本作で「ニール」は、特に「最後の戦い」においては尋常ではない程の活躍を見せている。(詳しくは「第3時限目」で解説します)
「セイター」(ケネス・ブラナー)
ロシアの大金持ち。プルトニウムの独占的な取引で財を成し、裏の顔は武器商人。
未来と現在を繋ぐ役割を持つ「謎の悪人」。 今はロシアとは折り合いが良くなくイギリスにいる。
リアルな世界では、2017年に好評を博した「オリエント急行殺人事件」に続き、「ナイル殺人事件」でも監督と主演を果たし近日中に公開予定。
本作では、「オリエント急行殺人事件」などの名探偵ポアロとは程遠い、終始悪意に満ちた役柄を演じている。
なお、「アンドレイ」と呼ばれることもあるので、フルネームの「アンドレイ・セイター」で覚えておくのがベスト。
「キャット」(エリザベス・デビッキ)
「セイター」の妻で一児の母。イギリスの貴族階級生まれの美術品鑑定士。
何よりも子どもを大切に思っているが、「セイター」によって、ことごとく邪魔されている。「セイター」と出会ったのは絵画のオークションの時。
だが、ゴヤの絵画が贋作だと気付けずに「セイター」に高額で売ってしまう(「セイター」は贋作と知っていたが「キャット」の弱みを握って操りたいため購入)。
「プリヤ」(ディンプル・カバディア)
インド人の女性。TENETを知っている秘密組織の一員。
「名もなき男」に必要な情報を与えながら「TENET」のミッション遂行を導く存在。“誰か”の指示で動いている。
後半で「プリヤ」は「名もなき男」から(行きがかり上、手伝ってもらうことが増えた)「キャット」を殺さないように頼まれ、殺さないことを約束している。
「マイケル・クロズビー卿」(マイケル・ケイン)
「名もなき男」に、「セイター」と「キャット」との関係を教えたり、「セイター」の情報を教え援助をする。イギリス情報部とのパイプがある。
クリストファー・ノーラン監督作と言えば「マイケル・ケイン」といった感じで前半に少しだけ登場している。
「マヒア」(ヒメ―シュ・パテル)
「名もなき男」と「ニール」を手伝う工作員。飛行機の爆破の時と、終盤の「キャット」の任務遂行の際の手伝いと船で連絡係をする。
リアルな世界では、「イエスタデイ」で主演を演じたりしている。
本作では、ヒゲ等も含めて「名もなき男」と似ていて、ややこしいが、「名もなき男」と似ている外見は内容に全く関係ないので、混乱しないように気を付けるのが大事。
「アイブス」(アーロン・テイラー=ジョンソン)
「プリヤ」が指揮する部隊のリーダー。「最後の戦い」の際には「名もなき男」を導き、2人で特別なミッションを行なう。
リアルな世界では、「キック・アス」で主演した際、「アーロン・ジョンソン」という名前だったが、結婚して2012年からは今の名前に。
「キック・アス」から随分と大人になって、すぐには同一人物と気付きにくくなっている。
筆者紹介
細野真宏(ほその・まさひろ)。経済のニュースをわかりやすく解説した「経済のニュースがよくわかる本『日本経済編』」(小学館)が経済本で日本初のミリオンセラーとなり、ビジネス書のベストセラーランキングで「123週ベスト10入り」(日販調べ)を記録。
首相直轄の「社会保障国民会議」などの委員も務め、「『未納が増えると年金が破綻する』って誰が言った?」(扶桑社新書) はAmazon.co.jpの年間ベストセラーランキング新書部門1位を獲得。映画と興行収入の関係を解説した「『ONE PIECE』と『相棒』でわかる!細野真宏の世界一わかりやすい投資講座」(文春新書)など累計800万部突破。エンタメ業界に造詣も深く「年間300本以上の試写を見る」を10年以上続けている。
発売以来15年連続で完売を記録している『家計ノート2025』(小学館)がバージョンアップし遂に発売! 2025年版では「全世代の年金額を初公開し、老後資金問題」を徹底解説!
Twitter:@masahi_hosono