第67回ベルリン国際映画祭開幕! 現代社会を反映した作品に注目
2017年2月11日 12:31

[映画.com ニュース]第67回ベルリン国際映画祭が現地時間の2月9日に開幕し、エティエンヌ・コマール監督のフランス映画、「Django」がオープニング作品として上映された。本作はスウィングジャズを代表する著名なロマのミュージシャン、ジャンゴ・ラインハルトが第2次大戦中、フランスに侵攻したナチから迫害を受けた時期にフォーカスを当てる。ラインハルトに扮するのは、フランスで人気のレダ・カテブ。さらにセシル・ド・フランスをはじめ本物のミュージシャンや素人のロマの人々などが周りを囲み、華やかな演奏シーンを混ぜながら、その知られざる苦労を描く。コマール監督はベルリンの開幕作品に選ばれたことについて、「ジャンゴはナチからコンサートの招聘を受けながら、ついにベルリンには行かなかった。その時期を描いた映画がベルリンで初披露されることに感無量です」と語った。
ベルリン映画祭といえば社会派の作品が多い、ポリティカルな映画祭として知られるが、今年もその伝統は変わらないようだ。とくに近年の世界的な移民問題、さらにアメリカのトランプ大統領就任といった時流のなかで、現代社会を反映した作品が注目されている。18本のコンペティション作品のなかではリチャード・ギア、ローラ・リネイ、スティーブ・クーガンらが主演する「The Dinner」、アキ・カウリスマキがヘルシンキを舞台に移民やボヘンミアンを描く「The Other Side of Hope」がその例。もちろんそれ以外にも多彩なジャンルが揃う。コンペ部門ではフォルカー・シュレンドルフ、ホン・サンス、サリー・ポッターらに加え、ルーマニアの新世代監督カリン・ピーター・ネッツァー、日本からはSABU監督(「Mr.Long」)が参加。またドイツの現代美術家ヨーゼフ・ボイスを描いたドキュメンタリー「Beuys」や、アニメ作品として中国からコンペに初参加の「Have a Nice Day」などもある。
アウト・オブ・コンペでは、ベルリンがワールド・プレミアとなるウルヴァリンシリーズ第3弾の「LOGAN/ローガン」、21年ぶりの続編として話題沸騰のダニー・ボイル監督作「T2 トレインスポッティング」、俳優スタンリー・トゥッチーがメガホンを握り、彫刻家アルベルト・ジャコメッティを描いた「FinalPortrait」「セラフィーヌの庭」のマルタン・プロボがカトリーヌ・ドヌーブとカトリーヌ・フロの共演で描く「The Midwife」など華やかな作品が並ぶ。日本からはSABU監督の他、パノラマ部門に荻上直子監督の「彼らが本気で編むときは」、フォーラム部門に石井裕也監督の「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」と吉田光希の「三つの光」が入選した。
今年の審査員メンバーは新作「ELLE」で大復活を果たしたポール・バーホーベンを審査員長に、ディエゴ・ルナ、マギー・ギレンホール、ユリア・イェンチ、2007年「トゥヤーの結婚」で金熊賞を受賞したワン・チュアンアン監督、アイスランドの現代美術家オラファー・エリアソン、チュニジアのプロデューサー、ドラ・ブシュシャ・フラティの計7名。バーホーベンは記者会見で、「とくにポリティカルなメッセージを打ち出そうという意識を持たず、映画のクオリティを第一に作品を見たい。願わくば他のメンバーにもそうして欲しいと思う」と語った。結果は2月18日の授賞式で発表される。(佐藤久理子)

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