「エベレスト3D」監督、本作の目的は“そこに行ける”映画を作ること
2015年11月5日 08:00

[映画.com ニュース] 世界最高峰エベレストを舞台に、1996年に起こった実話を描くサバイバルドラマ「エベレスト3D」のバルタザール・コルマウクル監督がインタビューに応じ、過酷な撮影の舞台裏と作品の魅力を語った。
ベテラン登山家・ロブ(ジェイソン・クラーク)が主催するエベレスト登頂ツアーに参加した登山家たちが、下山の最中に嵐に遭遇。ブリザードが吹き荒れ絶体絶命の状況のなか、おのおのが帰還しようともがくさまをダイナミックな映像と共に描く。
これまでにも実際に起こった海難事故を題材にした「ザ・ディープ」(2012)など、「自然と人間が向かい合う映画を作ってきた」と語るコルマウクル監督は、オファーを受けた時の心境を「(『ザ・ディープ』から)さらに上の段階に行って、世界中の人々に自分の作品を見てもらえる、こんな幸せはない。断る理由がありませんでした」と振り返る。「ハリウッドというのは往々にしてヒーロー映画にしたがるものだけど、今回は実話だから口の出しようがない。ある意味、自分の好きなように描ける映画でしたね」と構造面でも魅力を感じていたと明かした。
「監督は重労働。肉体的にも強くなければ作品を作れない」と語るコルマウクル監督は、「私の生まれ育ったアイスランドでは、10代の頃から嵐の中でも学校に通っていたんです」とセーリング競技でのオリンピック出場経験もあるというタフネスぶりをアピール。本作では実際にエベレストでの撮影を敢行しているが、「俳優みんなが高山病にかかってしまって、私とカメラマンだけで何とか撮影しました」と激しい頭痛をものともせず執念の撮影に挑んだエピソードを明かした。だが結局「酔ったような状態で撮ったからひどい出来で、その映像はとても使い物にならなかったんですけどね」と苦笑する。
コルマウクル監督にとって今回が初の3D映画となるが、「アバター(2009)」「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」「ゼロ・グラビティ」といった作品を例に挙げつつ、「自分は、どんどん新しいことに挑戦していきたい」と意欲を語る。「自分は実際にエベレストに行って圧倒されました。本作では人々にエベレストの大きさ、そこに立つことの“圧倒感”を伝えたかったんです。私が1番やりたかったのは、6万5000ドル(約780万円)かけてエベレストに行かなくてもあそこに行ける映画を作ることだったんです」とその臨場感をスクリーンに宿らせることが使命だったと語った。
「エベレスト3D」は、ジョシュ・ブローリン、ジョン・ホークス、ロビン・ライト、エミリー・ワトソン、キーラ・ナイトレイ、森尚子、サム・ワーシントン、ジェイク・ギレンホールらが出演。11月6日から全国公開。
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