池松壮亮が語る演出家・三浦大輔の“凄み” 大ブレイクにも謙虚な姿勢「欲が減った」
2014年7月20日 11:30

[映画.com ニュース] 「愛の渦」「大人ドロップ」「ぼくたちの家族」など、2014年だけで8本の映画出演を果たし、ドラマ「MOZU」でも強烈な印象を残した池松壮亮が、ここへ来て舞台でも素晴らしい結果を出している。これは事件だ! というわけで、いまをときめく池松に話を聞いた。
池松が今回挑んだのは、演劇ユニット「ポツドール」を主宰する演劇界の異才・三浦大輔が、“息子(兄弟)にとっての母親”をテーマにした「母に欲す」。主演映画「愛の渦」の監督として出会った三浦からのラブコールに応えた形だ。「舞台はやめられないという人もいますけど、実を言うと僕の場合は恐い、やりたくない(笑)。でも、三浦さんに求められたらやるしかないと思ったんです。正直、『愛の渦』という1本がなかったら、僕はいまこの位置にいなかったかも。引き上げてくれたという思いがあるんです」
三浦が手がけるポツドールの舞台は、目を背けたくなるような人間の本質を突きつけるものが多かった。しかし、今回の「母に欲す」は違う。東京で暮らしていたダメ兄(峯田和伸)と、東北の実家に残ってまじめに働く弟(池松)が、それぞれ向き合う母の死。そして新しい母への戸惑い、揺れる思い。兄弟や父親との間の複雑な感情。男たちが求める母性のすごさ。それらが生々しく発露するドラマに、のめり込まずにはいられない。ヒリヒリしながらも笑えて、温かい涙がほほをつたう。池松が存在すべてから醸し出す、泣きたくなるほどのリアリティは圧巻だ。
「稽古場では、『三浦さんが言わんとすることを全員がクリアしたら絶対に面白いじゃん』って思えることがすごく幸せでした。三浦さんはどんなにキレイな話をやろうとしても、キレイなところだけをすくい取るのは無理(笑)。でもそれは、人間の矛盾を肯定できるやさしさをもっているからって気がするんですよ。すごく純粋で心がキレイな人なので、その人なりの人間の描き方、家族の描き方をしてくれるんだと思っています。三浦さんはあまりお芝居を信用していないけど、人間のことはすごく信じているんですよ。この作品では男にとっての母親というものが描かれているんですけど、そこも共感できると思います。僕にとっても確実に、母親の存在は大きいですから」
いま、ものすごい勢いでブレイクしている池松に、仕事が波に乗って欲が出てきたかと問うと「逆に減ってきた」という答えが返ってきた。「大学時代に自分の感覚を確かめようと映画を見まくって、好きだなと思った人たちから、見事にいいタイミングでお話をもらったのが去年だったんです。今後も受けた恩を大切にしながら本能に従って、新しい人たちにまた会えていければいいなと思っています」
「母を欲す」は7月29日まで、渋谷のPARCO劇場で上演中。8月2、3日に大阪・森ノ宮ピロティホールで上演。(若林ゆり)
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