劇場公開日 2024年5月3日

人間の境界のレビュー・感想・評価

全32件中、1~20件目を表示

4.5人間とそれ以外の境界とは

2024年5月12日
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鑑賞方法:映画館

政府の妨害をくぐり抜け1ヶ月足らずで撮影されたこの映画はドキュメンタリーのような現実感と緊迫感が常に漂う。

家畜以下のように難民をトラックに押し込められ移送し投げ出される難民たち。怪我人も子供も年寄りも妊婦もおかまいなしに。

二国間の境界で難民達を押しつけ合う国境警備隊、
夫の非人道的な任務を知っていて仕方ないと擁護する警備隊員の妻
難民申請を放置し悪質な環境の収容所にいれるだけの政府
政府に目をつけられない範囲でできる限りの支援する人権活動家たち、
自分にも家族がいる、と関わるのを避ける友人、
偶然難民と関わったことで義憤にかられる女性、
通りすがりに食べ物を分け与えて去る人、

原題は「GREEN BORDER」だが、「人間の境界」という邦題は巧みだ。

難民を前にして、果たして最も人間らしさを保っているのは誰なのだろうか。

本編でも言及されているように、ウクライナから来た白人の難民は大勢受け入れるのにアフリカや中東、アジアからの難民は受け入れず非人道的に扱うグロテスクな構図。これは人種差別の問題でもある。

日本人にとっても決して他人事ではない。

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Jax

5.0人間はいつも

2024年5月10日
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鑑賞方法:映画館

暴力を振るう者と虐げられる者

いつも損をさせられるのは末端の人々達
なるのですね••

人間というものの性を
日々ニュースや新聞でも流れているのでしょうけど
向かい合って映画で見ることにより
日々目を背けてきた気がします

一縷の光として心優しい警備隊の若者の葛藤を
描いてましたがエピローグの3万人の死亡をみて
暗澹たる気持ちになりましたが
事実をもっと知りたい気持ちなり
考えさせてくれるきっかけをくれた一本となりました

やはり人と人は
手を取り合って助け合いものでなければ
ダメですよね⁉︎

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mmnioh

5.0長くて重い映画で、消化できない何かを飲み込んだ気がしました。

2024年5月10日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

難しい

日本に住んでいると、普段あまり意識しない国境。
ヨーロッパを旅すると、国内旅行をするような感じで、越境します。

トランプ大統領がメキシコとの国境に塀を建てる、とか。
ドイツのメルケル元首相が、人道的な面で積極的に移民を受け入れる、とか。
10年前、15年ぶりに訪れたロンドン中心地には、道端に寝転んでいる中東系男性がたくさんいて、少々怖かったです。

この映画では、まさに今、虐げられている難民の苦境を様々な視点から描いています。
国境警備隊の、難民の方々に対する仕打ちを観て、残酷すぎて言葉を失いました。
ホントに、これが世界で最も人権を重んじるヨーロッパの人々の姿なのだろうか。

楽しく日常生活を送っていることに、いたたまれない気持ちを抱きました。
自分自身のスペースに難民をかくまうようなサポートは、私にはできません。
お金の寄付や、こうして映画のレビューを書くこと、それをSNSで発信したり、直接人に伝えることをしていきます。

大規模災害、気候変動、紛争・侵略・戦争など、地球上のどこかの国が丸ごと消滅することも、起こり得ます。
日本人も他人ごとではありません。
自分自身が難民になるかもしれないという視点で、難民問題を考えていきます。

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のりたまちび

4.5聖歌とラップ

2024年5月10日
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現在進行形の『灰とダイヤモンド』
21世紀の『地下水道』、
『ソハの地下水道』

ワイダ、カヴァレロヴィッチ、
キェシロフスキ、
脈々と流れている伝統的リアリズム。

聖なるストーリーから、
メタフィロソフィー、
国、戦争、平和、人間を題材にしながらも、知らなかったとは言わせない、
見てないふりをさせないように、
観客の自分事になるまで巧みな描写で、
問題を引きずり降ろす。

そしてプーチンでもなく、
ベラルーシや、
ポ国境警備隊でもなく、
オマエはどうするんだと、
突きつける手法は健在だ。

具体的にいうと、
肌の色に対する考え、
手の甲、足の裏のケガ、
治療する薬品、
それぞれの痛み傷みを、
観客の心のネガに焼き付ける、
ポーランド映画のリアリズム技術、
旧共産圏の映画に対するリテラシーの高さの伝統を駆使しながら、

協力者が警察に対して聖歌を武器にしたり、
難民と協力者がラップを唄ったり、
対照的な音楽が印象的に使用されている。

こういう対比で、
異文化の衝突、
価値観が違っても協力する意志、
センス等、
伝統の守破離、
いつまでもワイダを頼らない感も素晴らしかった。

悪は存在する、
闘いも存在する。

【蛇足】
上記にも書いた旧共産圏、
欧米諸国では映画俳優、
スタッフは国家公務員に近い職種。

そうでなければ、
国家試験が必要、
または、
少なくとも運転免許のような、
資格制度が存在する。

義務教育でも、
国語、数学、音楽とおなじように、
演技、芝居がある。

上記のポーランドの監督たちは全員、
ポーランド西部のウッチ国立映画大学の卒業生だ。

日本でも導入すれば、
少なくとも経済的インパクトも低くはない、
そのあたりは、
youtubeでも話しています。

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蛇足軒妖瀬布

5.0人間を兵器にしたのは誰か

2024年5月10日
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悲しい

怖い

知的

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レント

5.0リトアニアに逃げたベラルーシのルカシェンコ大統領が行った報復

2024年5月10日
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鑑賞方法:映画館

怖い

単純

知的

人間の境界
神戸市内にある映画館シネ・リーブル神戸にて鑑賞 2024年5月7日(火)
パンフレット入手

原題「Green Border」(緑の国境地帯)
2021年 ベラルーシ政府がEUに混乱を引き起こす狙いで大勢の難民をポーランド国境へと移送する。しかしポーランド政府は受け入れを拒否、彼らを強制的に送り返した。この「人間兵器」と呼ばれる策略に翻弄された人々の過酷な運命を、シリア人難民家族、ポーランド側で彼らを支援する活動家、国境警備隊の青年などの複数の視点から描き出す。
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安全な生活が送れると信じてポーランドへ渡ってきたシリア人家族、しかしようやく国境に辿り着いた直後、武装した警備隊から非人道的な扱いを受けた上にベラルーシへと送り返され、そのベラルーシからも再びポーランドへ強制移送される。彼らはどちらの国からも押しつけ合われるように暴力と迫害に満ちた過酷な状況を強いられ、終わりのない無限地獄のような日々を過ごすことになる
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以下パンフレットより

同年7月頃から、イラク、アフガニスタン、シリア出身のEU移住希望者の群れがベラルーシの首都ミンスクから同国とポーランド、リトアニア、ラトビアの国境に移動し、EU域内への越境を試みるようになった。これはベラルーシの独裁指導者ルカシェンコ大統領が意図的に引き起こした難民危機だった(計略を背後で操っていたのは欧米民主主義国家の混乱を画策するロシアのプーチン大統領である)
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「移民戦争」のシナリオは以下の通り
中東各地でベラルーシからポーランド、リトアニア、ラトビアとの国境を超えてEU域内に移住できるという情報を与え、アフガニスタンやシリア難民のためにビザの有効期限72時間のツアーを企画する。ベラルーシ政府は意図的に彼らを「人間の武器」としてEU国境に送り込み、その状況を不安化させる。
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背景にはEUとの関係悪化があった。前年8月のベラルーシ大統領選挙でルカシェンコが選ばれるが、結果を認めない市民、国際社会による抗議活動が起こる。反体制指導者から弾圧され、リトアニアに亡命した。2021年5月には、アテネ発ヴィリニュス行きの国際旅客機がミンスク空港に緊急着陸を命じられ、乗機していたベラルーシの政治活動家が連れ去られた。
これらの事件に対して、EUはベラルーシに経済制裁を料し、ルカシェンコ大統領は報復として「移民戦争」を開始したのだった。

監督 アグニエシュカ・ホランド
ユリア役 マヤ・オスタシェフスカ
レイラ役 ベヒ・ジャナティ・アタイ
祖父役 モハマド・アル・ラシ
アミーナ役 ダリア・ナウス
ヤン役 トマシュ・ヴウォソク
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感想
リトアニアに逃げたベラルーシのルカシェンコ大統領が行った報復である。

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大岸弦

4.5非人道と人道のせめぎあい

2024年5月10日
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日本にいる私達にとってヨーロッパの難民問題は少し遠い出来事。EU圏内で発生する移民への迫害は知っていても、難民をまた強制的に送り返すことで混乱を巻き起こそうとする国があるなんて!難民問題があるとは知っていても全然わかっていなかったんだなと強く実感させられた。
シリアからの難民家族、国境警備隊、難民を支縁する活動家と視点が変わっていくのが群像劇のようでよかった。様々な視点から描かれることでより厚みのある物語になっていたと思う。いや、物語というには軽すぎるか。現実の世界で起こっている「今」を描いた話だ。ちょっと前の話と思っていた自分を恥じてしまう。
ここで描かれる難民たちの環境は本当に地獄のようだった。非人道的な扱いとはこのことだ。あんな環境自分だったら耐えられない。早々に命を落としてしまうに違いない。
それでも難民たちを支縁する人たちがいることは唯一の救いだった。非人道的な扱いと、人道的な支援がせめぎ合っている様にただただ圧倒されてしまった。結構長い映画なのにスクリーンから目が離せなかった。同時代性というものを強く意識させられる。すごい映画だ。

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kenshuchu

4.0自分なら、、どうするか?

2024年5月9日
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ロシアとウクライナが仲悪い原因じゃないかと思われるホロモドールを題材にした「赤い闇」を見そびれてしまい、気になってた監督の作品です。
今回はベラルーシとポーランド国境が舞台。
難民が溢れる国境で、私達はどうするべきか?その境界線を見る人に問いかける映画です。

難民、そして国境警備隊、難民に手を差し伸べる活動家。三つの視点から描かれています。
ヨーロッパの街で難民が半数を超え治安が悪くなっている話がニュースになってます、そこら辺をテーマにした映画も増えました。地続きじゃない日本も最近は他人事じゃ無い状況です。

人道的には助けるべきだけど、宗教や文化、言葉の問題。そしてそれが原因で仕事に付けず犯罪や暴力に走る難民。問題は複雑ですが一人一人の人間がその時、その境界のどちら側に立つのか?モヤモヤと自問自答しながら映画館を出ました。

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masayasama

5.0GREEN BORDER 緑の国境

2024年5月8日
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大吉

4.0人間の証明

2024年5月8日
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やっかいな奴らは入れるな、入ったら放りだせ!亡命に手を貸す輩は重罪。警備兵も警察も鬼だね。そんな中荷物検査で見て見ぬふりした警備兵に人間の心を見た。

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あらじん

4.0《 人間兵器 》にされるなんて、全く想像して無かっただろう。 【ポ...

2024年5月8日
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ナイン・わんわん

5.0難民問題について考えたい方に

2024年5月8日
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悲しい

怖い

難しい

難民問題…というと、政治絡みの、小難しい頭デッカチの理屈ばかりの映画かと思われるかもしれませんが、そればかりでなくストーリーの起承転結も、登場人物のエピソードもきちんと描かれて、エンターテイメントとしても成立しています(決して楽しい映画ではありませんが…)

シリアの難民キャンプからベラルーシに飛行機で向かう一家、国境警備隊のポーランド人男性、人権活動家として難民サポートを始める女性それぞれが、きちんと章立てしてストーリーが始まり、それぞれが互いに接点を持ち、そして伏線回収もされていく筋書きも見事で脚本もすごいです

映画鑑賞していて、こんなに辛くなることは滅多にない経験で、また現在進行形でおきているこの問題について深く考えさせられました

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オパーリンブルー

4.5なんとなく聞いたことがあった程度のことが、 現場ではここまで凄いこ...

2024年5月7日
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なんとなく聞いたことがあった程度のことが、

現場ではここまで凄いことだったんだと改めて知らされた

制作側に当事者もいるようなので、

これはドキュメントとして捉えたい

いろんな立場のひとがいていろんな考えの人がいるんだと、

なにごとも単純ではなく複雑なんだと、考えさせられる

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jung

4.0スリリングに描く難民問題

2024年5月7日
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鑑賞方法:映画館

記憶に新しいEUでの難民騒動ですが、この映画はベラルーシとポーランドの国境で起きた問題に焦点を当ててます。

ドキュメンタリーっぽいけど、役者が脚本を演じる劇映画です。

そして“キャストには実際に難民だった過去や支援活動家の経験を持つ俳優たちを起用”だそうです。

すごくスリリングで、引き込まれ食い入るように観ました。

ただ、全編モノクロでシーンによっては映されてる物が何なのか識別しずらくて、少し苦労しました…

カラーだったらなと思ったけど、カラーだと映像に気を取られすぎてしまい、モノクロの方がストーリーに集中できるのかな?

つらく痛々しい描写ばかりだけど、中身のない下らない映画より、僕は好きです。

映画上映にあたって様々な妨害があったらしい本作。

いろんな人に観てほしいです。

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RAIN DOG

4.5抗えない大きな出来事を前に何をするか

2024年5月7日
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鑑賞方法:映画館

ベラルーシ、ポーランド両国の思惑に翻弄され、利用される難民たち。国境付近では、ボールのように蹴っては返され、人間的扱いすらされない。紛争などで祖国を追われ、安全に暮らせる場所を求めて来たはずが、たどり着いた場所でも邪魔者扱いされ、どこまでも追いやられる。難民たちはなぜこんなことが起きているのか分からぬまま、ただただ弄ばれていく。その様子はまさに地獄絵図。

EUは混乱に満ちた世界情勢のなかで多くの難民・移民の受け入れを行なっている一方、その反動も大きいはずで、受け入れる国の市民の中でも意見は割れている。人権とは名ばかりで、実態は難民の選別(映画でも中東難民とウクライナ難民との対応の差が見受けられる)が行われ、差別と迫害が続いている。

ポーランドの国境警備隊の軍隊学校でのプロパガンダ的教育と、それに従う者と静かに抵抗する者。難民支援活動家たちの取り組みには頭が上がらないが、心ある者たちの助けだけでは到底解決できる問題でもない。しかし、最後にアフリカからの難民を受け入れた家族や精神科医の女性ように、結局はこうした人の優しさとあたたかさ、そして人と人との連帯が人間を救うのだと思った。

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mono

4.0救いはあるのか?

2024年5月7日
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鑑賞方法:映画館

同じように生を受けて生まれてきたのに国が違うだけで運命が決められている。

平等ではないし人権もない場所で生き残れるのは運の良い者だけ、

ただ、生きたいだけなのに許されず安心な場所すらない。

今の自分が置かれている状況がどれほど恵まれているか、

そしてそんな自分に何が出来るのかを考えさせられる映画だった。

移民映画はフィクションではないし他人事ではないので、また違った恐怖を抱く。

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バキ

5.0これが現実

2024年5月6日
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悲しい

怖い

難しい

物語りの舞台は
ベラルーシとポーランドの国境。

しかし同じような難民流入の問題は
ロシアとノルウェー、ロシアとフィンランドでも起きていることを
新聞やテレビのニュースで我々は知っている。

西欧諸国の混乱を狙い、
東欧の独裁国家が意図的に難民を送り込む。

ここで皮肉なのは、難民の誰もが
ロシアやベラルーシに定住したいと思わぬこと。

それらの国では自由が制限され、
自身の居場所が無いことを難民たちは知っており、
より将来の可能性がある場所(ここではポーランドのさらに先の北欧諸国を)を目指すことを
国家が認識しているとの、ある意味自虐的な状態。

ただ、そうしたことは表面的な知識であり、
難民対応の実態については
本作を観るまでまるっきり考えもしなかった。

ことポーランドに限ったことかもしれないが、
その扱いは悲惨の一言に尽きる。

もっとも、その前段としてのベラルーシ側の対応は
国家として受け入れ、しかし国境に送り込む際に
警備隊と業者は結託、なけなしの金で航空券を買い
はるばるやって来た難民たちから
更に金品をむしり取る。

加えて人を人とも思わぬ暴力的な扱い。

一方のポーランド側も、難民を発見した国境警備隊は
難民申請を受理することなくベラルーシ側に押し戻す。
時として暴力まがいの手段を使い。

そしてまた、戻された側も
再度押し返そうとする鼬ごっこ。

それは生きている人間はおろか死体にまで及び
両国の官憲はもはや人間としての心を失っているようにさえ見える。

『チャップリン』の{喜劇映画}に出てきそうなエピソードも
これは全くのリアル。

が、ポーランド側には難民を助けようと無私で動く人々や組織も、
また官憲の側にも、そうした非道の扱いに心を痛め、
少しでも力になろうとする人々も存在する。

それは一服の清涼剤のように。

本作ではそうした実態を
難民の立場、警備隊の立場、人権活動家の立場、個人の立場と
四様をドキュメンタリーに近い表現で描き、
イマイマを痛烈に非難する。

おそらく、対比の為に何処かでふれられるだろうと予想はしていた
ロシアの軍事侵攻によるウクライナからの避難民についての描写も
案の定あり。

シリアやアフガニスタンからの難民に比べ、
当然のように彼等・彼女等への対応は手厚く暖かい。

その背景にあるのは、人種の違いや、国の近遠や
文化や宗教の違いだけなのか?

日本には関係の無い他所での出来事と、関心を低く感じるかもしれない。

しかし「3.11」のあと、
福島からの避難者に対し「身体が汚染されていないか?」と危惧したのは誰だったか。

またコロナ禍の当初に医療従事者に対し
「感染が怖いから近くに住むな・寄るな」と反応したのは誰だったか。

本作は、全ての人の奥底に潜む差別意識や身勝手さに対して、
圧倒的な NO を突き付ける。

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ジュン一

3.5人間性の境界?

2024年5月6日
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最近難民を描く映画は多いけど、この作品で映し出される難民のリアルは見ていてとても辛かった まるで駒のようにベラルーシ⇔ポーランドを往来させられる人達 難民キャンプも国際的な人道施設も何も無い...そして逃げた先の国の政策に振り回される シリアからの家族はなぜあのルートなのか、スウェーデンに行けばそんなになんか良いこと有るのか?かなり疑問だった やはり国を離れると困難な道が待ち構えている、国際協力とかEUとか名ばかりなのか、眼の前に今起きている悲惨な状況を突きつけられたようであった

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ゆう

4.5いかに自分が何もわかってなかったか…

2024年5月6日
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知的

難しい

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まゆちき

4.5我々にも突き付けられている現実

2024年5月6日
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ベラルーシとポーランド国境で繰り広げられている、難民の押し付け合いという非人道行為を、ポーランドの映画監督・アグニエシュカ・ホランドが映画化した作品でした。先日観た「マリウポリの20日間」と異なり、本作はドキュメンタリー映画ではありませんでしたが、極めてリアリティがあり、限りなくノンフィクションに近い作品と感じました。

事の発端は、2021年5月にベラルーシがアイルランドの民間航空機を強制着陸させ、それに対して翌6月にEUがベラルーシに対して経済制裁を課したことのようです。ベラルーシは、その報復としてEU加盟国である隣国のポーランドやリトアニア、ラトヴィアに、中東やアジアから逃れてきた難民を”人間兵器”として送り込みました。既に2011年頃から始まったアラブの春を発端とした中東の混乱で難民は急増しており、多くの難民を受け入れた欧州各国では、賛成派、反対派の対立があったので、難民を送ることは間接的に敵対国の力を削ぐという効果があるという判断がベラルーシにあったのでしょう。

本作の一方の主役であるバシールらシリア人一家は、EU加盟国であるポーランドに入国すれば親戚のいるスウェーデンに行かれるという言葉を信じてベラルーシに渡り、そこから深い森の中に横たわる国境を越えてポーランドに入国する訳ですが、驚くことにポーランド当局は、こうした難民を捕まえて、ベラルーシに送り返してしまいます。ベラルーシに送り返されたバシール達は、今度はベラルーシ当局に捕まり、再度ポーランド側に送られることに。そうした驚くべき応酬が繰り返される内に、当然の結果として死んでしまう人も出て来るに至ります。バシールの長男も、途中アフガニスタンからの難民であるレイラと行動を共にする中で、沼地に嵌って溺れて亡くなってしまいました。

やや救いがあるとすれば、これまた本作の一方の主役であるポーランド側の難民支援者達の存在。国境が横たわる森の中で難民たちに食料や医療支援をする訳ですが、何せ森の中なので支援にも限界がある上、彼らのルールとして難民を輸送することや、国境付近の立ち入り禁止への立ち入りを禁じているため、根本解決には至りません。
そうしたジレンマは、支援者自身にもあるようで、新たに支援者グループに加わった精神科医のユリアが、こうした禁を破るところが物語としての見所でした。案の定ポーランド当局に拘束され、自動車も破壊されてしまう訳ですが、この一件で、支援者グループの中でも過激派の女性(名前を忘れてしまった)に、「あなたを見直したよ。てっきり自己評価(自己肯定感だったかな)を高めるために支援グループに入ったんだと思ったけど、違ったね」という言葉を投げかけて、それまで評価していなかったユリアのことを一転して認めます。そしてこの一言は、結構私自身にも刺さる言葉でした。一応平和な日本にいて、あれこれエラそうなことを言っても、それは自己満足に過ぎず、何ら世間的な問題を積極的に解決する効果はないんだと、改めて思わされることに。

ベラルーシがやっていることは非道の極致であり、一切擁護することが出来ないのは論を待ちません。一方ポーランドのやっていることはどうでしょうか。作品内で行っていたことが事実であれば、間違いなく惨たらしい人権侵害であることは間違いないとは思うものの、我が日本でも、入管施設に収容されたスリランカ人女性が亡くなった事件が話題になりましたし、最近では埼玉県川口市において、地元住民とクルド人住民との間の軋轢が、ちょくちょく報道されています。規模は小さいながらも、ポーランドで起きていることは、日本にもない訳ではないのです。たまたま自分の周辺にそうした事例がないだけなのです。それを思うと、自分が当事者になった時、ユリアのような行動を取れるのか、反対の行動を取るのか。そんな思いが、支援グループの女性のセリフを聞いて頭をよぎったところでした。

そんな訳で、難民問題を我がこととしても考えさせられた本作の評価は★4.5とします。

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鶏