「人間とそれ以外の境界とは」人間の境界 Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
人間とそれ以外の境界とは
政府の妨害をくぐり抜け1ヶ月足らずで撮影されたこの映画はドキュメンタリーのような現実感と緊迫感が常に漂う。
家畜以下のように難民をトラックに押し込められ移送し投げ出される難民たち。怪我人も子供も年寄りも妊婦もおかまいなしに。
二国間の境界で難民達を押しつけ合う国境警備隊、
夫の非人道的な任務を知っていて仕方ないと擁護する警備隊員の妻
難民申請を放置し悪質な環境の収容所にいれるだけの政府
政府に目をつけられない範囲でできる限りの支援する人権活動家たち、
自分にも家族がいる、と関わるのを避ける友人、
偶然難民と関わったことで義憤にかられる女性、
通りすがりに食べ物を分け与えて去る人、
原題は「GREEN BORDER」だが、「人間の境界」という邦題は巧みだ。
難民を前にして、果たして最も人間らしさを保っているのは誰なのだろうか。
本編でも言及されているように、ウクライナから来た白人の難民は大勢受け入れるのにアフリカや中東、アジアからの難民は受け入れず非人道的に扱うグロテスクな構図。これは人種差別の問題でもある。
日本人にとっても決して他人事ではない。
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