別れる決心のレビュー・感想・評価
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語り口の巧さで魅せる映画。何かの映画を思い起こさせると観ている間ずっと思っていたけど『めまい』だね、これは。
①ちょっと安い邦題(渡辺淳一の小説にありそうな題名)(二人は付き合っていたり結婚していたわけではないのだから、“別れる”よりも“離れる”“去る”にした方がよくはないか、韓国語の原題はどうかわからないが)が勿体ないような、巧緻な演出と斬新なカメラワークとで最後まで引っ張っていく監督の力量は大したものである。
こんなに凝った演出の映画は、最近の邦画はもとより洋画でもあまりお目にかからないくらい。
②サスペンスフルな展開の中にユーモアを忍ばせるところもヒッチコックの映画の幾つかと通底している。
台詞だけを追っていると混乱してしまうかも知れない。何よりカメラで語っている映画だから。
彼女が中国人で肝心なところは中国語で話し翻訳アプリで韓国語に変換させているのも細かい演出。私も翻訳の仕事をしているが、翻訳アプリが正確な翻訳をするとは限らない。ましてや言葉の裏に込められた感情は翻訳してくれない。
③韓国の捜査事情は知らないが、刑事と被疑者とがあんなに近い距離で良いのか、とは思った。
刑事が被疑者に惹かれ、それ故に見逃すというまではよくある話と云える。
これで終わりなら大した物語ではないな、と思ったらここから捻りが入る。
④イポの海鮮物市場でバッタリ出会ってしまう二組の夫婦。ソン・ソレの筋トレオタクみたいな旦那と、ヘジュンの理系女子で健康オタクの奥さんとが社交辞令を交わしている横で、ソン・ソレとヘジュンとは言葉少なに話すだけで互いに見つめ合う。表面的には二組の夫婦の単なる偶然の邂逅にしか見えないが、内面では単なるどころではない大嵐が起きている。ほぼ映像のみでそれを伝える心理的にスリリングな映画中盤の山。そして同時にこれが物語のターニングポイントとなる。
⑤
私は好き
演劇の舞台転換の様に展開する場面や、台詞が少なく背景をじっくり見せる伏線や隠れた要素がありそうな映像など、さすがパク・チャヌク監督ワールド。結末を知った上で、また何度でも観たくなります。ユニークで美しく不穏な感じのする作品で、海外の映画祭ウケしそう!
パク・チャヌク独特の奇妙な演出・編集が炸裂してたが、今作はちょっと...
パク・チャヌク独特の奇妙な演出・編集が炸裂してたが、今作はちょっと捻り過ぎたような気もするな。その分で過去作より乗れなかったところもあるけどタン・ウェイが素晴らしかったので満足。間をおいて観直してみるか。
山に始まり、海で終わる
おもしろいとは思ったが、
イマイチ上がり切らなかった本作
何故だろう
おそらく、パクチャヌクは男性主人公にしない方が
わたしの好みだ
パクチャヌクは、男に甘い
(女には散々酷い仕打ちを受けさせる癖に)
しかし、今作のような死に方は
初めて見て驚いた
ここで重要なのが、中盤で出て来た
「山は慈悲深く、海は〜〜」というやつ。
海のほうなんだったっけ……
めちゃくちゃ重要なのに……
あと女が殺そうとする場面で、
結局抱きしめる展開に持っていったのは何だったんだろう
女はずっと男を騙してたじゃ駄目??
そっちのほうが、ずっと好みなのだが。
結局愛してたのかそうじゃなかったのか、
……やっぱり海で死んだんだから
海は何だったかが大事なのに……
ただ男が女に取り付かれている様子は面白くて
終始飽きずに見れましたよ
てかこれ「氷の微笑」やないかい!
【喜多嶋舞は今何してる⁉︎】
廉潔な愛妻家の敏腕刑事が、夫殺し容疑の魔性の女に籠絡させられる古典的展開に終始するかと思いきや、海辺のラストシーンは演劇を観たような印象。タン・ウェイ観てたら若い頃の喜多嶋舞をふと思い出した。
相互の心理描写が目紛しく展開する練られた脚本が138分の長尺を感じさせなかった。併せて映像表現が面白く油断してると置いてかれる感覚。
【禁断の恋心・・、そして崩壊。”ミステリアスな展開と、一見、ファムファタール的な美しき容疑者と刑事の揺れる心模様を、斬新な映像で描いた作品。ラストは実に切ない。脳内フル回転で観る映画でもある。】
ー 今作のカメラワークが独特である。想像なのか、現実なのか曖昧なシーンが続く。
それが、観る側を混乱させつつも、ミステリアス要素を醸し出し、且つ、二人の心の機微の変遷を映し出しているのである。
誠実で仕事熱心だが不眠症である刑事チャン・ヘジュン(パク・ヘイル)の元に現れた可なり年上の夫がクライミング中に滑落しした、中国人の妻、ソレ(タン・ウェイ)疑惑はあったが、証拠不十分のため釈放されたソレ。
だが、二人は徐々に惹かれ合っていく。-
◆感想
・久方ぶりに脳内フル回転で観た映画である。想像なのか、現実なのか曖昧なシーンが続くし、観る側に解釈を委ねるシーンも多いからである。
・容疑者として拘留したソレに対しチャン刑事は高級な鮨を提供し、二人は食後、実に息が合ったように、手際よく後片付けをする。
ー その後の、二人の関係性を暗喩しているようなシーンである。-
・証拠不十分で釈放されたソレの生活を、不眠症のチャン刑事が夜中に隣のビルから見ているシーンや、ソレがチャン刑事に”自分がした事”をさり気無く示すシーン。
ー そして、彼女のアリバイは崩れるが、チャン刑事は彼女への追求を止め、彼女と僅かなる時間、交流を図る。
不眠症のチャン刑事の眼に手を当て、”私の呼吸に合わせて・・。”と言い、眠りに導くソレの姿。-
・13か月後、チャン刑事は週末婚だった妻が住む海辺の町イポに居を移すが、町の市場で”偶然”ソレと新たなる夫に会い、再び彼の心はかき乱される。
- 観ていれば分かるが、あれは偶然ではない。
ソレが、自らの罪を知りつつ、逃がしてくれた想い人、チャン刑事に自分の意思で会いに来たのである。-
・そして、投資家であった夫は再び殺される。
ソレは前の夫の時のように無実となるが、新たなる夫の殺害も、ソレが仕掛けたことであった事が分かるシーン。
- それでも、チャン刑事はソレへの想いを禁ずる事が出来ない。そして、ソレも又・・。-
<ラスト、初めてソレとチャン刑事が唇を交わした後、ソレは砂浜に深い穴を掘り、自らの身体をその中に入れる。
そして、潮が満ち彼女の姿は見えなくなる。
そこに、駆け付けたチャン刑事が波が打ち付ける中、ソレの名を絶叫しながら探し回る姿。
今作は、禁断の恋に落ちた刑事と、美しきファムファタール的な雰囲気を纏った女の哀しくも切ないラヴ・ストーリーである。>
ソレの心情が理解出来れば、非常に面白い映画(2回観賞)
ソレ(タン・ウェイ)の夫が崖から転落し、警察官のヘジュン(パク・ヘイル)が捜査する所が始まっていきます。
この映画の中に2つの事件が起きます。映画の中では、1番目の事件は自殺、2番目の事件は、別の男による他殺と結論づけます。
しかし、本当のところは、1番目の事件はソレによる他殺、2番目の事件もソレの指示による他殺と推察しました。
ソレが本当に好きな人は、ヘジュンだったのです。純愛がテーマなんですね。
ただ、場面の切り替えが速く、比喩表現も多いので、掴み取りにくい映画です。
タン・ウェイ主演だと、「ラスト、コーション」の方が印象が強く残っていますが、こちらの作品も知的好奇心をくすぐるような面白い映画でした。
追記 孔子の論語によると、「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」とあり、知者はソレ(青い服は水を暗喩)、仁者はヘジュン(段差を登りつめる山を暗喩)を示していると考えられます。霧の歌は未解決事件を暗に示していると感じます。
3月1日吹き替えで再観賞
孔子の論語は序盤のテープレコーダーで流れます。
2番目の殺害事件で、犯人は自分の母親が死んだら、2番目の夫であるイム・ホシンを殺すとソレに伝えています。ソレが犯人の母親の殺害に使った薬は、ソレが自分の母親を殺した残りの薬でした。
別れる決心の意味は、イポに引っ越してきて、ソレがヘジュンへの愛が始まった時を表していると推察します。
大変秀逸な脚本で、今回は感動しました。
"単一""唯一"
サスペンス、恋愛、不倫、謎解きとその要素を"チゲ"のように煮込んだと言えば乱暴すぎると反省する 良く出来た良質の作劇であり、そして演出も又現代的な手法を取り入れた飽きさせない仕上がりである 言われている後半の件は蛇足という評価も一理あるが、きちんと収束させるという監督の真摯さが、丸で主人公の刑事のその矜持と重なるのではないだろうか 自分としては最高峰の韓国映画の一翼を担っていると素直に評価したい
一つ、調べても分らない部分があり、何方かご教示願いたいのだが、中国語と韓国語のトランスレーションに於ける"崩壊"と"愛してる" これは単に発音が似ているのか、それとも比喩としての当事者間の捉え方なのか、吹き替え版を観てしまったのでその辺りのニュアンスが解明できなかった
ご存じの方、お教え下さい
すごく変なメロドラマ?
ラブミステリーというかメロドラマなんだけど、変化球すぎて、すごーく変な作品でした。
変すぎてどの登場人物にも感情移入出来なかった。
主人公の女性がタヌキ顔だけど、きれいだったのと、ラストは海のきれいだったなあ。
質が高く表現的な面白さ満載なんですが・・・
映像も面白いし音などの緻密さも感じて、非常に質が高い作品だというのはよく分かるのですが、あまりに知性あふれる構成・展開にまったくついていけませんでした。まわりではたびたび笑いなど起こっていて、好きな人は楽しんでいるんだろうなぁと嫉妬というか羨望に近い気持ちでもって、多少イライラ・・・理解できない自分が悪いんですが─。何せ気持ちの良い話ではないので、個人的には全く楽しむことができませんでした。
超絶変化球なメロドラマ
真面目な刑事と容疑者の女の恋愛の話 こんな単純な話なのに変わった映像やディテールのこだわりや奇想天外なストーリーのクセ強すぎ作品!
真面目な刑事は未解決事件を追うのに異常に執着していて不眠になってるんだけど
別件の事件の容疑者を捜査していく内に好きになってしまいます、
容疑者の女も徐々に刑事の事が好きになるのはいいんだけど、容疑者の女が嫉妬するのが刑事の嫁じゃなくて未解決事件に執着してる刑事なので、嫉妬の対象が未解決事件自体で事件を解決していって刑事の気を引こうとするとか変化球過ぎて面白かったです
映像の部分では死体の視点で見せたり 回想シーンの入り方とかが面白いです、
それと直接的なシーンが一切無いのに演出や仕草でエロくしてるシーンも多く取り調べシーンが完全にデート気分だったり変な描写も多いですね、
あと中国人であまり韓国語が分からないからアプリを使って言葉を伝えるシーンを効果的に使ってましたね、
それと狙ってるんだとは思うけど笑えるシーンとかかなりあって爆笑まではいかないけど ユーモラスなシーンが多く着地点が全く見えない展開だったので
かなり楽しめました。
しかし直接的な好きとか言わない恋愛モノで 霧の歌を歌うが 霧で見え方が変わるとか服の色が変わって見えるって部分も恋愛と一緒だよなあっと思わせたりかなり
わかり辛く恋愛描写を描いていますので細かいところまで神経張って観てほしいですね、
あと全てセリフで言ってしまうような事は無く心情を顔の演技のみで終わらせて考察させるような部分も多く一回見だけではわからない部分もあるし
2回見たときにやっと気付ける重要な会話とかもあるのでリピーターが多いのは納得ですが 説明不足過ぎて単純に理解出来なくて楽しめ無いから面白くないってパターンも多いと思うし賛否はかなり分かれるとは思います、ラストはある意味ハッピーエンドで容疑者の女の思う壺でしたね!
あと分かりずりいとは思いますが
前半は山パート
後半は海パートで 山と海に関する会話と合わせると案外あの会話は重要ですよ
あとパクチャヌク監督は一貫して恋愛モノを多く作っていて今までの中では割と設定的にはオールドボーイや渇きよりはこれでもまともな恋愛モノだったとおもいます最後に 別れる決心 てタイトルちょっと違うのではと思ったんだけど原題なんなんやろな。
考察が止まらない2人の関係性
試写会にて鑑賞。
ある事件で転落死した男性の妻(ソレ)と刑事(ヘジュン)の不倫のお話。容疑者となって取り調べをしていた2人がどんどん惹かれていく様がまた奇妙だった。
ソレの旦那さんは亡くなっているので「W不倫じゃないからよかったぁ」と一瞬思ったけど、不倫には変わりないと我に返った。
ソレについてだが、誘惑していく姿がまた魅力的。
中国人特有の発音の仕方で、普段聞き馴染みのある韓国語がネットリして聞こえた。そして何よりも目!!!
ソジュンをまっすぐ見つめる感じがいい!!!
2人の関係性で注目して欲しいところは
①ソジュンの洋服についているポッケ
ソレは一発でどこのポッケに何を入れているのか分かるが、ソジュンの奥さんは………
②2人が交わした言葉
2人は自分の言葉を録音し合っており、それがラストに大きく関わっていく
③ソジュンの変化
取り調べの時の出前、目薬、指鳴らし
独特なカメラワークと色彩、ストーリー構成で2時間があっという間で全く飽きなかった。不倫だと分かっていても、止められない2人の関係に胸を打たれた。
この映画は抽象的に物事が進むため、ぜひラストは他の人と考察して欲しいと思う。感受性が豊かな人なら考察が捗る作品だ。
海を愛するのは賢者であり、山を愛するのは聖者である
【崩壊】[ほうかい]崩れて壊れること…"単一"な映画監督ポン・ジュノ最新作は今までと違った方法で後世に残るような作品だった
韓国ノワールとはよく言ったものだが、こんなにしっかりと"ノワール"しながら、そうした言葉が内包しているものをもっと深い所へと導き、更新するような作品は見たことがなかった気がする。
撮影、編集、そしてユーモアによって独特なテンポを作りながら、至極真っ当な作りで(逆に)驚いた。今までの彼のフィルモグラフィーと比べたときに目に見える形での、性や暴力はかなり控え目ではある。が、それ故にかえって描かないことで際立つものがあった。本作の放つ男と女のなんとも言えない官能さみたいなものも。普段なら重要なところで足枷になることの多いスマホというアイテムをしっかりと組み込み、効果的に使っているのも印象的だった。賢い者は海を好む。
最年少で警部になったエリート刑事の妻はこれまた最年少で原子炉の要職に就いていて、順風満帆な主人公。白か黒かはっきりした世界で生きてきた彼が直面する、霧のかかったグレーの世界。そうした、出会うはずのなかった計算外/不都合な出会いが人生を狂わせていく。
絶対的に弱い立場にある女性、それが外国からやってきた人なら尚の事。何が彼女を"ファムファタール"たらしめるか、決して謎めいたものではなくしっかりとバックボーンやそこに至る過程を描いている。あなたの未解決事件になりたい…"中年の危機"も"クソ男に惹かれてしまう女性"も山頂から突き落とす。狩猟本能"追いかけられるより追いかけたい"男の性(さが)みたいなものもあった。
思惑通りの結末へ。永遠に忘れられない"不在の証明"が、何よりの存在となる瞬間。掌の上で転がされて、残された者の人生はこれを糧にして立ち直せるのだろうか?こんな消え方されたら生涯忘れられるわけがない。消えるヒロインの系譜。
設定は…
設定はドラマ「キリングイヴ」の構図〜からの、暴力性薄めて薄めてマイルドにし、めちゃくちゃねっとり、耽美に甘美に、非常に面倒くさく、じっとりじれったく捻れさせたラブミステリー。互いに懐柔したりされたり、し合ったり。
終盤振り返りでいつの時点から好きとか言わせちゃってるんだけど、それは言わなくてもよかった、と個人的には思う。気持ちがドライヴする転換点にはなってるのかもだけど、、、そっちの方がだいぶエロくなったと思う。
刑事側も、仕事としての理性保ちながら見かけ上は真摯に振る舞うので、一応安心して見れる。駆け引きそのものにはハラハラするけど。
ラストは、うーん…ファムファタール側がそのまま溺れて破滅に向かうのは、大きくシスターフッドに振り切った前作からのジェンダーバランスの均衡かもしれないけど…うーん。歯切れの悪い苦さだけが残る。
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