別れる決心のレビュー・感想・評価
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パク・チャヌク監督史上最高に切ないラブストーリー
スタオベまではいきませんが、かなり余韻の残る良質なラブストーリーでした。
被疑者の未亡人と既婚刑事との全く違う世界を歩む2人の関係性。追っていた/追ってきた相手を好きになるというのはよく耳にする話ですが、この2人の接点が《殺人》という出来事でしか生まれないとなると。
まあ…ですよねー、という展開に。
疑う/疑われる。
女の方は疑われることで、男との関係性を保とうとする。
男は女から距離を置こうとするも、いつの間にか女のことを考えることで泥濘にはまっていく。
ラストは本当に切なかったです。
なお、予告編はシリアス一辺倒のように思えるつくりでしたが、わりと笑える場面も多かったです。
特に大量のスッポンを追いかける場面。
あれ、入れなきゃダメだったんだろうか…。
タン・ウェイが存在感有った
男が岩山の山頂から転落死する事件が発生した。事故ではなく殺人の可能性を考えた刑事ヘジュンは、被害者の妻であるソレを疑い、取り調べをしてるうちに、いつしかヘジュンはソレにひかれ、ソレもまたヘジュンにひかれていった。ソレにはアリバイがあり、事故死で決着がついたが、その後また・・・という話。
事故死か他殺か、捜査する中で、ソレが中国からの移民で夫にDVを受けていた事がわかり、夫殺しの動機が有ることがわかったが、アリバイもあり事故死で決着した。そんな中で、刑事のヘジュンがソレに惹かれていくところが見所だった。
そのアリバイも崩れるのだが、追求しないほど愛してたのだろう。キスくらいでプラトニックだったのだろうけど。
ソレ役のタン・ウェイはミステリアスで綺麗だった。
迷宮入りの恋。不器用ながらも淡い恋愛劇と秀逸なサスペンスとの絶妙な融合。
主人公の刑事のキャラクターが先ずいい。何とも文学的でとうてい刑事っぽくないのだ。こんな刑事は現実にはいないだろうし、どちらかといえば相棒の粗暴な若手刑事のほうがそれっぽい。
妻が原子力発電所の主任だとか、容疑者となる女性が中国からの密航者であり、死んだ夫が入管職員等々、結構韓国の今の実情を想起させる細かな設定。
ストーリーは結構入り組んでるように見えるが、容疑者の女性に心を奪われた刑事が翻弄されるという、いわゆる「氷の微笑」系。ただ、本作は恋愛色が強い。まあ、主人公を翻弄するのが「ラストコーション」のタン・ウエイだから男なら翻弄されてもしょうがない。
事件を追う刑事と追われる容疑者の女。刑事は彼女を事件の犯人として追っているのか、あるいはただ、彼女に魅了されて追っているのか、自分自身わからなくなる。そして容疑者の彼女も自分を疑いつきまとう刑事に特別な感情を抱くように。
観ている観客もこれは刑事サスペンスなのか恋愛劇なのかその境界線が曖昧になってゆく。
ポン・ジュノ作品にもよく見られるサスペンスなのかコメディなのか、カテゴライズしづらいどんな枠にもあてはまらない作品と言えるだろう。あえて枠にはめる必要もない、面白ければいいのだから。そして本作は間違いなく面白い。
主軸となる恋愛サスペンスだけでなくディティールも凝っていて、長尺ながら観る者を飽きさせない。いちいち細かなところで笑わせてくる。取調室の寿司の件や、スッポン窃盗犯の件、主人公の妻が市場で魚の目をつっつく件等々。
韓国映画特有の登場人物のキャラ立ち具合、凝りに凝った演出、全く先が読めないストーリー展開と鑑賞中十二分に楽しめるエンターテイメントだった。
なかなか理解するのが難しい…。
今年54本目(合計706本目/今月(2023年2月度)20本目)。
本作品、他の方も書かれていますが、理解をするのが難しい映画ではないかな…と思います。
いろいろ考えさせる内容が多い内容で、こうした映画はフランス映画では多く好まれますが、一方で韓国映画はスカッとしたアクションだったりホラーだったりと、「趣旨がわかりにくい、あえてぼかしている」ような映画は少なかったか皆無だったかに思えるからです。
フランス映画ではよく見られるパターンなので、その韓国映画版だということになろうかな…と思います。
複数の見方ができるものの、個人的には恋愛的な要素でみました。ただ、いろいろな見方ができる映画ですし、また他の方が書かれている通り、「時間ずらし描写」もあるので一度で理解するのは難しく、複数回視聴することが想定されているタイプに思えます。
確かにわかりにくいというのは考えましたが、作品としては成り立っているし、「各自で考えてね」ということはわかりますので、減点なしにしました(ただ、かなりの覚悟がないと見づらい映画です。かつ、趣旨的に「ストーリーが理解しがたい」の大半は「展開があっちこっち飛ぶ」「時間ずらし描写が多数出る」というもので、法律ワードが飛びまくる、韓国の文化が要求されるということはほぼほぼないので(出ても1回くらいの模様)、その意味で「積極的に趣旨を混乱させていない」という点ではフルスコアにしました。
行き着く先の無い愛
ごめんなさい、この映画を観た時に私、少し眠かったんです。
だから、寝てはいないんだけど、あまり頭を回転させないで観てた。
でも、今回の私はそれが功を奏したみたいです。
与えられる情報が多い映画だと思うんだけど、それらを一切考察しないで観たの。感じるままに。
私の頭だとフル回転させても情報を処理しきれなかったと思う。
サスペンス的な楽しみ方も出来そうな映画だけど、そこは切り捨てて二人の表情だけを見てた。
ヘジュン役のパク・ヘイルさん、ソレ役のタン・ウェイさんの哀しみを纏った様な表情が凄く良いんですよね。
だから、だんだんと二人を応援したくなってくるんだけど、この愛の行き着く先に幸せが想像できないの。
行き着く先の無い愛とも言えるかな。
なので最後は見つけて欲しかったけど、そうなってしまうよねって結末かもしれません。
印象に残るシーンもいくつか有ったし、私はこの映画好きかな。
ミステリーでは無く‼️❓純粋なラブストーリーとして観るべし‼️❓
冷静に観たら、無茶苦茶な人間が、無茶苦茶なことをして、終わる、そんな映画です🎞🎟🎬🎦
でも、中国から韓国に逃げてきて、藁おも掴む思いでD V男に心が崩壊して、防衛の果てに、理想の男は、理想の刑事で妻子持ち、再度の崩壊、されば、その果てに行き着く先は。
刑事も、個人生活がいつのまにか破綻して、その果てに行き着く先は。
だから、この映画は冷静に観るのでは無く、それぞれに同化して、自分の人生のなれの果てに、何を望むのか、それを想像しながら、観るのです。
そうすると、胸が掻きむしられ、慟哭の、感慨に耽ることができます。
禁じられた愛、許されない愛、到達出来ない愛、そんな想いが少しでもある人生なら、共感のかけらもあることでしょう。
もし、日本でリメイクするなら、刑事は綾野剛、ヒロインは中村アンと思う、皆さんどうでしょう。
余韻が強い映画🎞🎟🎬🎦是非。
寿司で愛情表現は万国共通
あらゆるシーンの画作り、人物の行動とセリフ、かかる音楽、舞台の設定、物語の構成…。とにかく全部が全部、確かな意図と意味をもって練り上げられている、と思われる。1回の鑑賞では作品すべてを咀嚼して味わい尽くせず、完全に理解ができていなくとも、そう言うほかない。
マジックミラー越しの取調室で、実際の人物とミラーに映る人影、さらにモニターへの写し込みを入れたりで、どれが本物なのかわからない(という表現?)とか、ストーカーまがいに被疑者を双眼鏡で監視する刑事が部屋の中のタン・ウェイの背後にいるイメージとか、遺体の眼球の内側から見た蟻の姿とか、そんなアーティスティックでアクロバティックでエキセントリックな映像を観せられるだけでクラクラする。スマートウォッチでの録音や翻訳アプリを使った会話の仕掛けもいちいちうまい。
パク・チャヌク監督作を全部観ているわけではないが、ミステリアスな雰囲気はイノセント・ガーデンに近いと思う一方、妻役の戸田恵梨香似イ・ジョンヒョンの不倫場面にスッポン出すとか、取調べ中の食事が寿司からアメリカンドッグになるとか、ギャップのある笑いどころがあるのがまたすごい。
ストーリーのおもしろさより、緻密に構築された世界を見逃さず楽しむ作品だが、惜しむらくは、中国語と韓国語ができない自分は字幕で読んで理解するしかないところ。しかもその発音が本作のひとつの肝にもなっていて、すんなり頭に入ってこないのが実に悔しい。吹替版で観た方がスッとわかったかも。
朝から眠かった一日の終わりにレイトショーで観て大丈夫かと心配だったのだが、目薬使わずとも目が覚める傑作だった。オレに言われるまでもなく、パク・チャヌク天才。
業務連絡するしかない切なさ
刑事と容疑者の、落ちてはならない恋か~と思ってあまり期待せずに見てましたが、
最後は2人で逃避行でもするのかな?と思いきや
彼女が刑事の彼に遭うにはまた事件を起こすしかない、取り調べや捜査って名目ならお互いに結婚してても堂々と逢えるし。。っていう
事件での業務連絡でしかやり取り出来ない切なさ。
だからまた事件を起こす彼女。
自分を忘れずに自分の写真を貼り続け、彼に心の中で自分を想い続けてもらうには「彼の管轄区域内で自分が未解決事件の容疑者であり続けるしかない」という結論に辿り着いてしまった彼女。
そして彼女がいた時に感じた安らぎを忘れられない刑事。捜査が終われば彼女に逢えなくなるから、刑事なのに当該事件が解決してほしくないという矛盾を願ってしまう。。
「愛してる」と言った瞬間にこの愛は終わる
のような表現が逆説的で刺さりました。
お互いの本心はボイスメモやブログ的なものから後で知るしかないし。
切り口としてはなかなか興味深い脚本でした。
ただ捜査の過程で、想像でなく今そこにその人がいるような描写をしてたので、特に張り込み中は「あれ?今車から見てなかった?直接彼女の部屋に入ってるの?」と思ったらそれは刑事の妄想っていう。。最初この映像手法にちょっと混乱したのでそこだけ少し減点にしました。
最後、浜辺で足を滑らせたらそこで彼女に気付くかな。。?と思ったんですが、やはりいつまでも彼女を探し出せない感じが続いて。。まぁ、彼女がそういう未解決事件になるように計画したんだから仕方ないんですけど、どう頑張っても絶対に直接的には結ばれない2人がなんとも切なかったです。。
予定通り面白い!
予想通り…というか予定通り面白い!
刑事と容疑者の関係ながら、初めっから官能的な予感がピリビリするし、にもかかわらず疑ったり騙したり裏をかいたりとなにが真実なのか分からないままに引きずり回される快感よ…
視覚聴覚のみならず、触覚も嗅覚も想像させる、さすがのパク・チャヌク演出。視点がスマホだったり死体だったり、やっぱりかなり変わった映画ではあるのだけど…
なんといってもソレ役のタン・ウェイの美しさと限りないバリエーションの笑みがそうした物語に説得力を与えるよね。どうやら中国 延辺出身の朝鮮族(韓国ノワールでは殺し屋の出自として有名)という設定らしく、中国語の方が流暢、というのもぴったり。
行き先不明の官能ミステリー、というに相応しい一作でした!
普通のサスペンス劇場
海、絶壁ときたらどうしても火曜サスペンスを思い出してしまう😅
そこまで凄いと思う描写もなくドラマの様に楽しみました。容疑者の中国人女性がとても綺麗だったのでそれで成り立つ映画かなと。
延命
韓国映画は基本的に吹き替えが付かないので、吹き替えのある劇場公開作品珍しいな〜と思い鑑賞。以前観た「整形女」の時も諏訪部さんいたなーと。やはり信頼のおける方だなぁ。
肝心の内容の方ですが、自分にはことごとくハマりませんでした。韓国映画のサスペンスは展開の早さと物語を面白くする工夫が多く凝らされていて好きな作品が多いんですが、今作は真逆でゆったりしたペースで、サスペンスとまではいかない、不倫の色が強い作品だったので好みには合いませんでした。
解決できる糸口はすぐそこにあるのに、その度未解決事件がなんやらーとか女性への思いがうんとかーで踏みとどまっていたのも長いなと思ってしまった原因です。パク・チャヌク監督作品を見慣れていたらこの味も良いものだと思えるのかもしれませんが、見慣れていない自分からしたら違和感の連続でした。
最後の死に方も見方によっては斬新なのかもしれませんが、満潮を待って溺れ死に、男が探して海へと彷徨うっていうなんじゃそりゃ?な終わり方には疑問しかなかったです。余韻を残したいんだと思いますが、やはり映画はしっかり決着をつけてほしいなと思いました。考察は観た人が面白いと思ったり、自分なりの考えでワクワクするものだと思いますが、どうにも今作の考察は捗りませんでした。尻切れトンボでした。独特のカメラワークも安っぽく思えてしまい、その都度うーんってなってしまいました。
吹き替え陣は流石の安定感でした。やはり本職の方々が務める吹き替えの安心感は段違いでした。
好き嫌いの問題で評価は低くなってしまいましたが、乗れる人は乗れる、そんなタイプの映画だと思いました。
鑑賞日 2/17
鑑賞時間 12:15〜14:45
座席 G-10
だらだらと
24本目。
でかいスクリーンなのに、なんか無駄遣い。
にしても、長い作品ばっかで、何を観ようか迷う。
恋愛映画かと思ったら、始まりが殺人、ミステリー?と思ったら、そう言う流れね。
でも、まどろっこしいと言うか、なんだこの眠くなる流れ。
まあ寝てしまったけど、ハラハラドキドキ、背徳感すら感じられず、いや青二才が観るには、10年、いや20年早すぎたか。
炭酸の抜けた飲み物みたく、終始刺激を感じられずで。
温くない
「サスペンスしつつ実はピュアピュアな恋愛映画でもある」っていうのはよくあるプロットだけど、監督の作家性(直接的な性描写を除きながらどこまでも艷やかに撮る)でより面白さが強固になっている。
なんでこんなに女性を美しく品のあるように撮れるのか…今泉力哉とパク・チャヌク…信頼…
相手のことが好きすぎて好きすぎて彼女が生きている世界に入り込んでしまうというのを映画的に演出するとこうなるのかという驚きと実は二部構成で…という作りも本当に素晴らしい。能動的に客が見ざるを得ない、でも投げっぱなしにもしない説明量。
新海誠っぽくて、主人公二人以外が埋没してしまっている点については、過去作「お嬢さん」を上回っているとは思えなかったけど、邦画にありがちな温さがないのも本当にいい。
良心的すぎる刑事
映画ですが全体的にドラマを見ているような印象でした。
全体的にカメラワークが豊富で、映像の構成が良かったです!
予告にもあった1件目の事件について話が進む中盤くらいまでは良かった印象でした。
後半の話の展開が失速した感じで少し残念でした
(ソレさんと2人目の夫の出会い→2回目の殺人事件)
ヘジュンさんの誇りと品がある優しい警察として、
事件を解決する正義感があって良かったです。
刑事として張り込みをしますが、ソレさんに興味があるので怖いストーカーの様な気もしました😂
映画解説の記事を読みましたが、
ラストシーン、海での満潮に崩される砂山はソレさんに翻弄され自分が壊れてしまったヘジュンさんを表しているんですね…
私はちょっと苦手なラストでした。。。
ハッピーエンドではなくても、事件だけではなく人間関係としてもスッキリしたかったので。
ヒロインに、ファム・ファタールとしての魅力が感じられない
タン・ウェイは、良い女優だとは思うが、本作では役柄にマッチしていないと思えてしまった。物語の鍵を握るファム・ファタールとして、主人公の刑事を一目で虜にするような魅力が乏しいし、「魔性の女」といったイメージも感じられないのは、致命的だろう。
2つの殺人事件を巡るサスペンスも、あっと驚くような「衝撃の展開」がある訳ではなく、しかも、やたらともったいぶった描き方をしているので、少々退屈してしまった。
ヒロインの最後の選択も、永遠の存在になることを望んだ結果だろうが、それでも、どこか取って付けたようで、今一つ、共感できなかった。
映像としては、張り込んでいる相手に主人公が寄り添うような描写があったり、死人の視点やスマホ画面の裏側からのシーンがあったりと、色々と工夫が凝らされているものの、期待していた「どぎつい」描写は鳴りを潜めていて、全体的におとなしい印象で、その分、物足りなさを感じてしまった。
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